園家

園家は、藤原北家持明院流を祖とする由緒ある公家・華族の家系です。羽林家としての家格を持ち、明治時代には伯爵家に列せられました。家業は雅楽、神楽（琵琶）、そして生花と多岐に渡り、特に生花においては、青山流（青山御流、園家御家流、青山御家御流とも呼ばれる）の宗家として、日本の華道史に大きな足跡を残しました。家紋は杏葉です。

園家の起源は、藤原道長の孫にあたる藤原頼宗の子孫、鎌倉時代の持明院基家に遡ります。基家の三男、基氏は後堀河天皇に仕え、後堀河天皇崩御の際に仏に供花したことがきっかけとなり、生花を深く研究、青山流生花の基礎を築いたと伝えられています。室町時代には、基秀が後花園天皇から「青山」の号を賜り、家名の由来となっています。

江戸時代には、186石の石高を有していました。特に江戸時代前期の当主、園基任と園基音親子は、それぞれ娘を後水尾天皇の後宮に入れました。その娘たちは、後光明天皇と霊元天皇を産み、園家は天皇の外祖父という地位を得て、宮廷において大きな影響力を持つようになりました。基任と基音には死後に左大臣が追贈され、基音の子である園基福は、羽林家としては異例の出世を果たし、准大臣にまで昇進しました。それ以降の当主も、早世した者を除き、全員が権大納言に昇進するなど、園家の隆盛は著しいものがありました。

江戸時代後期には、当主の園基衡（基持）が華道に精進し、『活花手引』を著すなど、華道家の顔も持ちました。幕末から明治維新にかけては、園基祥が安政勤王八十八廷臣の一人として、国事に奔走しました。明治維新後、1885年（明治17年）には伯爵位を授けられ、華族としての地位を確固たるものとしました。

園家は、皇室との繋がりも深く、基祥の二女である園祥子は明治天皇に典侍として仕え、猷仁親王、輝仁親王、静子内親王、昌子内親王（竹田宮恒久王妃）、房子内親王（北白川宮成久王妃）、允子内親王（朝香宮鳩彦王妃）、聡子内親王（東久邇宮稔彦王妃）、多喜子内親王ら、多くの皇子女を産みました。

近世においては、園基信が青山流28世家元として活躍し、『青山御流・活花手引種』や『青山いけばな』などの著書を残しています。

このように園家は、公家としての歴史、華道家としての伝統、そして皇室との深い繋がりなど、数々の側面を持つ名家であり、その歴史は日本の歴史と深く関わり合っています。幕末期の領地は山城国にあり、葛野郡と乙訓郡に点在していました。

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