被災地支援競走

被災地支援競走とは

被災地支援競走とは、公営競技の主催者が、大規模災害からの復興を支援するために、売上金の一部を被災地の復興財源に充てることを目的とした開催の総称です。これは、災害からの復興を後押しするための重要な取り組みであり、各競技団体や主催者が連携して行われています。

概要

1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災など、日本の歴史に残る大災害からの復興を支援する目的で、被災地支援競走は開催されます。各主催者は、収益を日本赤十字社や被災自治体などの関係機関に寄付したり、被災自治体自身が主催し、収益を全て復興財源に充てたりします。

開催の名称は、各公営競技や支援対象とする災害の名称に基づいて様々です。例えば、「東日本大震災復興支援競輪」や「熊本地震被災者支援競走」などがあります。

阪神・淡路大震災

中央競馬

1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震（阪神・淡路大震災）により、京都[[競馬場]]の開催が中止となり、阪神競馬場も甚大な被害を受けました。そのため、2月から9月にかけての開催は、中京[[競馬場]]や京都[[競馬場]]での代替開催となりました。12月2日には、改修工事を終えた阪神競馬場が再開しました。

この震災を受けて、農林水産省は省令を改正し、中止となった京都[[競馬場]]の代替開催を「震災復興支援競走」としました。6月3日と4日に、東京[[競馬場]]、中京[[競馬場]]、京都[[競馬場]]の3場で「阪神・淡路大震災復興支援競走」が開催され、当初予定されていた「阪急杯」や「宝塚記念」も日程が変更されました。

地方[[競馬]]

園田[[競馬場]]と姫路[[競馬場]]は、3月末まで開催が中止されましたが、4月4日に園田[[競馬場]]から再開しました。

競輪

西宮競輪場と甲子園競輪場も、3月末まで開催が中止となりました。西宮競輪場は4月2日、甲子園競輪場は4月19日に再開しました。

3月に開催された特別競輪「日本選手権競輪」には「震災復興支援」のサブタイトルが付けられ、翌年のレースにも同様のサブタイトルが付けられました。また、名古屋競輪場では「兵庫県南部地震災害復興競輪」が開催され、西宮記念の代替として「震災復興特別競輪」も開催されました。年末には、復興支援競輪としてヤンググランプリも開催されました。

競艇

尼崎競艇場は、3月末まで開催が中止となりました。また、1月の新鋭王座決定戦や3月の総理大臣杯競走の場外発売も中止となりました。尼崎競艇場の本場開催は4月4日に再開しました。びわこ競艇場と住之江競艇場も一部開催を中止し、新鋭王座決定戦の場外発売も中止となりました。

オートレース

1995年と1996年の10月には、川口オートレース場で「阪神・淡路大震災復興協賛レース」が開催されました。

東日本大震災

概要

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方を中心に甚大な被害をもたらしました。この災害を受け、公営競技は相次いで中止されましたが、その後、「被災地支援競走」として再開されました。

中央競馬

福島[[競馬場]]と中山[[競馬場]]が被災し、3月12日と13日には、中山、阪神、小倉の全開催が中止となりました。3月19日に再開されましたが、東日本地区の開催は4月17日まで中止されました。福島[[競馬場]]の夏季開催は中山[[競馬場]]に、秋季開催は新潟[[競馬場]]に代替され、2011年の福島競馬は全て中止となりました。2012年4月7日に福島競馬が再開し、中央競馬は全場復旧しました。

3月19日から27日にかけて「被災地支援競馬」が開催され、馬券の売上やチャリティーオークションの収益、騎手や調教師からの寄付などが義援金として拠出されました。また、「JRAプレミアムレース」を被災地支援競走に変更し、その売上の一部を義援金としました。さらに、インターネットを活用した電話投票サービス「WIN5」でも、売上全額を義援金としました。

地方[[競馬]]

盛岡競馬場、水沢[[競馬場]]、船橋競馬場などが被災しました。南関東公営[[競馬]]は、3月11日の大井[[競馬場]]の開催途中から4月12日の川崎[[競馬場]]の再開まで中止されました。岩手県[[競馬組合]]も4月に予定していた水沢[[競馬場]]での開催を中止し、5月に盛岡競馬場で開始しました。2011年1[[2月10日]]に水沢[[競馬場]]が再開し、地方[[競馬]]は全場復旧しました。

各地方[[競馬]]主催者は、積極的に復興支援活動を実施しました。帯広市では募金活動を行い、兵庫県[[競馬組合]]は「東日本大震災被災地支援シリーズ」として売上金の一部を寄付しました。岐阜県地方[[競馬]]組合や佐賀県[[競馬組合]]も、復興支援競走を実施し、収益金を寄付しました。その他、多くの地方[[競馬]]主催者が義援金受付やチャリティーイベントを実施しました。

競輪

いわき平競輪場、宇都宮競輪場、取手競輪場などが被災し、3月12日から31日まで全場開催が中止となりました。取手競輪場は施設改装も並行して行ったため再開が遅れましたが、2012年10月22日に再開し、全ての公営競技場が復旧しました。大津びわこ競輪場は、震災前に廃止が決まっていましたが、3月11日以降の開催が打ち切りとなり、そのまま廃止となりました。

2011年4月1日以降の開催からは、「東日本大震災被災地支援競輪」として売上金の一部を義援金として拠出しました。2013年には、被災地であるいわき平競輪場でチャリーズ杯が開催されました。

ボートレース

ボートレース桐生が被災し、3月13日から31日まで全場開催が中止となりました。2011年5月より全場再開しました。総理大臣杯競走は、電力不足により延期となり、「SG東日本復興支援競走」として開催されました。その他にも多くのレースで売上の一部が義援金として寄付されました。

オートレース

伊勢崎オートレース場と船橋オートレース場が被災し、3月12日から4月13日まで全場開催が中止となりました。2011年5月より全場再開し、4月14日以降の開催では「東日本大震災被災地支援オートレース」として売上金の一部が義援金として拠出されました。

その他の災害

新潟県中越地震

2005年5月には、松戸競輪場で開催された全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪に「新潟県中越地震復興支援」のサブタイトルが付けられました。

平成28年熊本地震

熊本地震では、熊本競輪場が被災し、開催休止が続きましたが、2024年7月20日に再開しました。

中央競馬では、競馬場やWINSに募金箱が設置され、小倉競馬の売上の一部が熊本県に支援されました。地方[[競馬]]でも、各主催者が「熊本地震被災者支援競走」を実施し、売上金の一部を義援金として寄付しました。競輪では、日本選手権競輪に「平成28年熊本地震被災地支援競輪」のサブタイトルが付けられ、グレードレースや復興支援レースが実施されました。オートレースでも、全てのグレードレースが「平成28年熊本地震被災地支援オートレース」として開催されました。

令和6年能登半島地震

2024年2月から7月にかけて、一部の競輪開催が「令和6年能登半島地震復興支援競輪」として開催されました。

まとめ

被災地支援競走は、公営競技が被災地の復興に貢献する重要な取り組みです。各競技団体や主催者の連携により、多くの義援金が集められ、被災地の復興を後押ししてきました。これらの活動は、公営競技が社会貢献の一環として重要な役割を果たしていることを示しています。

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