銚子ヶ峰

銚子ヶ峰（ちょうしがみね）

岐阜県郡上市と高山市の境界に位置する標高1,810mの山で、両白山地に属しています。この山は、続ぎふ百山にも選ばれており、その美しい山容と豊かな自然が魅力です。

地理と特徴

銚子ヶ峰は、九頭竜川水系の石徹白川の源流部に位置し、その山域は白山国立公園内に含まれています。郡上市の最高峰であり、旧白鳥町の北西端に位置しています。この山は、約500万年から80万年前に活動していた「九頭竜火山列」の一部であり、安山岩質の溶岩で形成されています。山頂から南へ3.1kmの場所には、樹齢約1,800年の石徹白大杉があり、国の特別天然記念物にも指定されています。

歴史

832年には、美濃から白山へと続く美濃禅定道が開設され、その道中に銚子ヶ峰がありました。当時、この道は多くの白山信仰者で賑わい、「登り千人下り千人」と古文書にも記されています。山頂の南南東0.5kmには、泰澄の母にゆかりのある「母御石」があり、かつては「神鳩の宿」と呼ばれる宿泊施設が、現在の神鳩ノ宮避難小屋の位置にあったと伝えられています。

自然

山頂部はクマザサに覆われていますが、ナナカマドなどの植物も点在しています。山腹にはブナやミズナラなどの落葉広葉樹林が広がり、豊かな自然を形成しています。山頂には、三等三角点と展望図の石柱が設置されており、周辺の山々、北アルプス、御嶽山などを一望できる絶景スポットとなっています。

登山

古くから美濃禅定道は白山への登拝ルートとして利用されてきました。長滝白山神社から白山中居神社、石徹白大杉を経由するルートが一般的でした。石徹白大杉から銚子ヶ峰へ至るルートは、現在の登山道とほぼ一致しています。石徹白登山口からのルートは、岐阜県によるグレーディングで技術的難易度が「ランクA」、体力度が「3」と評価されており、比較的登りやすい山と言えるでしょう。登山口には休憩所、駐車場、トイレが整備されています。

登山ルートのポイント

おたけり坂: 石徹白大杉と神鳩ノ宮避難小屋の間には、「おたけり坂」があります。ここは、女人禁制の白山に登ろうとした泰澄の母を神様が叱ったという伝説が残る場所です。
カムロ杉: おたけり坂の上部には、泰澄が差した杖が根付いたとされる「カムロ杉」があります。
岩屋: 泰澄の母が雨宿りしたとされる岩屋も、登山道沿いに存在します。
熊清水: 石徹白大杉付近には、「熊清水」と呼ばれる湧水があり、登山者の喉を潤します。
登山道の植物: 登山道の下部では、タムシバ、ブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹林が見られます。また、アカモノ、オオバキスミレ、ゴゼンタチバナ、コバイケイソウ、ショウジョウバカマ、サンカヨウ、ツバメオモト、ニッコウキスゲ、ハクサンチドリなどの花々も楽しめます。上部の稜線では、クマザサの笹原にナナカマドなどが点在しています。

その他の登山

残雪期には、野伏ヶ岳や大日ヶ岳から稜線伝いに山スキーで訪れる人もいます。

周辺の山小屋

付近には有人の山小屋やキャンプ指定地はありませんが、要所には避難小屋が設置されています。特に、神鳩ノ宮避難小屋は、三光工務店によって新しく建て替えられたログハウス風の建物で、利用者の休憩場所として活用されています。小屋の近くには神鳩ノ宮の祠があり、東に70mほど下ると水場があります。ただし、豪雪地帯のため、厳冬期には雪に埋もれて利用できない場合があります。

地理

両白山地の主稜線に位置し、山頂のすぐ北側が野伏ヶ岳と大日ヶ岳への尾根の分岐点となっています。

源流の河川

銚子ヶ峰を源流とする河川は、日本海へと流れています。

石徹白川：九頭竜川の支流で、山頂の南南西2.5kmには大滝があります。また、山頂の南南東4.3kmの支流である初河谷には、八反滝（落差30m）があり、遊歩道が整備されています。
別山谷の支流：庄川水系の尾上郷川につながります。

山頂の約600m西の笠羽谷の源流部には湿原があり、ミズバショウなどの小群落が見られます。

交通アクセス

石徹白大杉下の登山口付近には公共交通機関はありません。

長良川鉄道越美南線北濃駅の北北西15.7km。
東海北陸自動車道高鷲インターチェンジの北西17.2km。
岐阜県道314号石徹白前谷線が白山中居神社まで通じています。その北側には、石徹白川左岸に石徹白大杉下に至る林道があります。

銚子ヶ峰の風景と展望

山頂からは360度の素晴らしい景色を見渡すことができ、周辺の山々や遠く北アルプスまで望むことができます。

参考文献

飛騨山岳会『飛騨の山』ナカニシヤ出版、2010年12月、298-301頁。ISBN 978-4-779-50504-1。

外部リンク

銚子ヶ峰の天気予報

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