1970年のメジャーリーグベースボール

1970年のメジャーリーグベースボール：激動のシーズンの記録

1970年のメジャーリーグベースボール（MLB）は、アメリカンリーグがボルチモア・オリオールズ、ナショナルリーグがシンシナティ・レッズという、後の黄金時代を築くチームがそれぞれリーグを制覇したシーズンでした。しかし、その舞台裏では、球団移転、選手の権利を巡る訴訟、そして選手の不祥事など、様々な出来事が同時進行していました。

アメリカンリーグの動向

東地区では、オリオールズが圧倒的な強さを見せ、108勝という驚異的な成績で地区優勝を果たしました。投手陣は、マイク・クェイヤー、デーブ・マクナリー、ジム・パーマーという20勝トリオを擁し、鉄壁の守備陣には、デーブ・ジョンソン、ブルックス・ロビンソン、マーク・ベランジャー、ポール・ブレアーという4人のゴールドグラブ賞受賞者が名を連ねていました。打線もフランク・ロビンソンとブーグ・パウエルが牽引し、投打ともに充実したチームでした。

西地区では、ミネソタ・ツインズが優勝しました。ロッド・カルーが怪我で戦線離脱したものの、ハーモン・キルブルーとトニー・オリバが打線を支え、ジム・ペリー、バート・ブライレヴン、ロン・ペラノスキーといった投手陣が活躍しました。

リーグチャンピオンシップシリーズでは、オリオールズがツインズを圧倒し、ワールドシリーズへの切符を手にしました。

個人タイトルでは、アレックス・ジョンソンが首位打者、フランク・ハワードが本塁打王と打点王に輝きました。オリオールズのマイク・クェイヤー、デーブ・マクナリー、ツインズのジム・ペリーが最多勝を分け合い、サム・マクダウェルが最多奪三振、ディエゴ・セギーが最優秀防御率を獲得しました。MVPには、オリオールズのブーグ・パウエルが選ばれました。

ナショナルリーグの動向

東地区では、前年優勝のメッツが失速し、パイレーツが地区優勝を果たしました。パイレーツは、新球場スリー・リバース・スタジアムを開場し、新たな時代を迎えました。一方、カージナルスは、オーナーの意向により主力選手が放出され、チームの弱体化が進みました。

西地区では、レッズがスパーキー・アンダーソン監督の下、ジョニー・ベンチ、トニー・ペレス、リー・メイ、ボビー・トーラン、ピート・ローズといった強力打線を擁し、若い投手陣も台頭し、黄金時代への序章を飾りました。レッズもまた、リバーフロント・スタジアムを開場し、新たなスタートを切りました。

リーグチャンピオンシップシリーズでは、レッズがパイレーツを破り、ワールドシリーズに進出しました。

個人タイトルでは、リコ・カーティーが首位打者、ジョニー・ベンチが本塁打王と打点王、ボビー・トーランが盗塁王に輝きました。ボブ・ギブソンとゲイロード・ペリーが最多勝を分け合い、トム・シーバーが最優秀防御率と最多奪三振を獲得しました。MVPには、ジョニー・ベンチが選ばれました。

ワールドシリーズ

ワールドシリーズでは、オリオールズがレッズを4勝1敗で破り、1966年以来2度目の世界一に輝きました。ブルックス・ロビンソンが攻守にわたり活躍し、シリーズMVPに選ばれました。

その他の出来事

シアトル・パイロッツがミルウォーキーに移転し、ミルウォーキー・ブルワーズとなりました。
カート・フラッドがトレードを拒否し、選手会とともに球団を訴える「フラッド訴訟」を起こしました。これは、選手の権利を巡る大きな転換点となりました。
デニー・マクレインが賭博に関与した疑いで出場停止処分を受けました。これは、スター選手の不祥事として大きな波紋を呼びました。
ハンク・アーロンとウィリー・メイズが3000本安打を達成しました。

1970年のMLBは、オリオールズの強さ、レッズの台頭、そして球界内外で起こった様々な出来事が複雑に絡み合った、記憶に残るシーズンとなりました。

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