1978年の鉄道

1978年の鉄道

1978年（昭和53年）は、日本の鉄道史において、都市交通網の拡張と地方路線の再編が同時に進行した、変化に富んだ一年でした。多くの地下鉄や新線が開業・延伸し、利便性が向上した一方で、経営環境の変化により姿を消した路線も存在します。

主要な出来事

この年は、各地で様々な鉄道関連の出来事が起こりました。主なものを以下にまとめます。

2月
名古屋鉄道瀬戸線の貨物輸送が廃止されました。
3月
札幌市営地下鉄南北線が北24条駅から麻生駅まで延伸し、新たに北34条駅と麻生駅が開業しました。
名古屋鉄道瀬戸線が従来の直流600Vから直流1,500Vへの昇圧を実施。
帝都高速度交通営団（現在の東京メトロ）千代田線が代々木公園駅から代々木上原駅まで延伸開業し、代々木上原駅が誕生しました。
4月
日本国有鉄道（国鉄）総武本線の貨物支線（銚子～新生間）と新生駅が廃止されました。
5月
京成電鉄本線（現在の東成田線区間）が京成成田駅から初代の成田空港駅（現在の東成田駅）まで延伸開業し、成田空港駅が開設されました。
6月
国鉄東北本線の瀬上駅が東福島駅に改称されました。
7月
東京都交通局の地下鉄路線名が「地下鉄1号線」から浅草線、「地下鉄6号線」から三田線にそれぞれ変更されました。
タイ国有鉄道の一部路線と駅が廃止されました。
国鉄鹿島線の一部区間（鹿島神宮～北鹿島間）で旅客営業が開始されました。
鹿島臨海鉄道鹿島臨港線でも北鹿島～鹿島港南間で旅客営業が始まり、鹿島港南駅が開設されたほか、居切駅と神栖駅での客扱いが開始されました。
8月
帝都高速度交通営団半蔵門線が渋谷駅から青山一丁目駅の間で新規開業しました。
広島電鉄宮島線に田尻駅（現在の広電阿品駅）が開業。
名古屋鉄道瀬戸線が栄町駅への乗り入れを果たし、休止していた東大手～土居下間が再開されるとともに、栄町駅が開業。土居下駅は廃止されました。
9月
北恵那鉄道線が中津町駅から下付知駅まで全線廃止となり、沿線の多くの駅が姿を消しました。
国鉄羽越本線の一部区間（小波渡～三瀬間）が複線化されました。
10月
名古屋市営地下鉄鶴舞線が八事駅から赤池駅まで延伸開業し、新たな駅が開設されました。
京都市電の主要路線のうち、河原町線、七条線、東山線、北大路線、西大路線、九条線が廃止され、多くの電停が姿を消しました。これは京都市における路面電車の歴史に大きな転換点をもたらしました。
国鉄東北本線利府支線が電化（交流20,000V・50Hz）されました。
国鉄東北本線に北上操車場が開業。
国鉄武蔵野線が新松戸駅から西船橋駅まで延伸開業し、新八柱駅、市川大野駅、船橋法典駅が新設されました。
国鉄紀勢本線の和歌山操駅から新宮駅までが電化（直流1500V）されました。
国鉄久留里線に東清川駅、鹿児島本線に東福間駅がそれぞれ開業。
国鉄白新線の新潟操車場前仮乗降場が常設駅化され、東新潟駅となりました。
国鉄の札幌市場駅、旭川大町駅（函館本線貨物支線）、名古屋市場駅（東海道本線貨物支線）が廃止されました。
11月
函館市電の一部路線（ガス会社前～五稜郭駅前間）と沿線の停留場が廃止されました。
鹿島臨海鉄道鹿島臨港線の居切駅が廃止。
東濃鉄道笠原線（多治見～笠原間）が全線廃止となり、沿線駅も廃止されました。
「国有鉄道運賃法の一部を改正する法律」が成立し、新幹線の運賃算定に関する規定が明文化されました。
12月
能勢電鉄日生線が山下駅から日生中央駅間で新規開業し、日生中央駅が開設されました。
東京都交通局新宿線が岩本町駅から東大島駅間で開業し、多数の新駅が誕生しました。
オランダ鉄道ではスキポール空港駅やアムステルダム南駅が開業しました。

その他の動向

ダイヤ改正

年間を通じて、近畿日本鉄道、名古屋鉄道、小田急電鉄、京成電鉄、国鉄などで主要なダイヤ改正が実施されました。

災害・事故・事件

2月には、帝都高速度交通営団東西線の荒川中川橋梁で列車横転事故が発生しました。
* 11月には、新幹線の運賃算定方法を巡る訴訟で、東京地方裁判所が国鉄側敗訴の判決を下しました。

新形式車両

1978年には、国鉄の417系、781系などの新型車両が登場したほか、札幌市交通局3000形、新京成電鉄8000形、京浜急行電鉄800形、名古屋鉄道100系、6600系、近畿日本鉄道2000系、30000系、京阪電気鉄道2600系など、各地の鉄道事業者で多数の新型車両が投入されました。海外でも、中華人民共和国鉄道部、台湾鉄路管理局、アムトラック、フランス国鉄などで新形式の車両が開発・投入されています。

受賞

鉄道友の会によるこの年のブルーリボン賞は近畿日本鉄道12400系電車が、ローレル賞は東京都交通局7000形電車と神戸市交通局1000形電車が受賞しました。

これらの出来事を通じて、1978年は日本の鉄道が、都市部での近代化と利便性向上を図りつつ、経営効率化や地方交通のあり方を模索するなど、将来に向けた様々な課題に取り組んだ一年であったと言えるでしょう。

もう一度検索