1987年の日本
1987年（昭和62年）は、日本が経済的に大きな転換点を迎え、社会や文化にも多様な動きが見られた年です。この年は、西暦1987年、元号は昭和62年、皇紀2647年、干支は丁卯（ひのと う）にあたります。
政治面では、内閣総理大臣が中曽根康弘氏から竹下登氏へと交代しました。中曽根内閣は当時歴代3位の長期政権となりました。国会は、常会と臨時会が合計5回開催されています。
この年の最も象徴的な出来事の一つは、4月1日に日本国有鉄道（国鉄）が分割・民営化され、JRグループ7社として新たなスタートを切ったことです。115年の歴史を持つ国有鉄道が民営化されたことは、大きな時代の変化として受け止められました。
経済はバブル景気の兆候が鮮明になり、株価や地価が高騰。特に東京都心部の地価は坪1億円を超える地点が出現するなど、異常な上昇を見せ、社会問題となりました。財テクブームが広がり、2月にはNTT株が上場。外貨準備高が西ドイツを抜いて世界一となるなど、経済的な活況を呈しました。
通信分野では、NTTがハンディタイプ・アナログ方式の携帯電話サービスを開始。これは、後の携帯電話普及の礎となる出来事です。また、フルタイムシステムから日本で最初の宅配ボックスが発売され、ライフスタイルの変化に対応する動きも見られました。
商品面では、アサヒスーパードライやエビアンといった商品がヒットし、ロングセラーへと成長しました。
一方で、社会的な懸念事項もありました。この年の出生数は約134万7千人と、統計開始以来（当時）の最低を記録。また、1月には日本初の女性エイズ患者が確認され、「エイズ・パニック」が発生するなど、新たな社会問題も浮上しています。
1月には関西国際空港の建設が始まりました。また、多くのローカル線（宮之城線、広尾線、大隅線、瀬棚線、湧網線、士幌線、佐賀線、志布布線、筑波鉄道、幌内線、三菱石炭鉱業大夕張鉄道線など）がこの年限りで廃止・転換されています。3月31日には国鉄の鉄道事業が終了。4月1日にJRが発足しました。
5月には朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者1名が死亡、1名が負傷する「赤報隊事件」が発生。この事件は未解決のまま、言論・報道機関へのテロとして社会に衝撃を与えました。
夏の猛暑は首都圏で電力不足を引き起こし、大規模な停電が発生しました。また、台風12号や19号が日本列島に被害をもたらしています。
裁判では、7月にロッキード事件丸紅ルートの田中角栄元首相に対する控訴審判決で、一審の実刑判決が支持されました。また、帝銀事件の平沢貞通死刑囚が獄中で死亡しました。
9月には群馬県で功明ちゃん誘拐殺人事件が発生しましたが、これも未解決に終わっています。
文化面では、俵万智の歌集「サラダ記念日」が空前のベストセラーとなり、「サラダ記念日現象」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。この年発表された新語・流行語大賞では、新語部門で「マルサ」、流行語部門で安部譲二氏の「懲りない○○」が金賞を受賞。「JR」や「第二電電」、「サラダ記念日」、「ゴクミ」（後藤久美子氏）なども話題となりました。
芸術分野では、安田火災（現：損害保険ジャパン日本興亜）がゴッホの「ひまわり」を巨額で落札したことが話題となり、円高を背景にした海外有名絵画の購入ブームが起きました。
出版界では、「サラダ記念日」のほか、村上春樹氏の「ノルウェイの森」などもベストセラーとなりました。芥川賞は村田喜代子氏、池澤夏樹氏、三浦清宏氏が、直木賞は白石一郎氏、山田詠美氏、阿部牧郎氏が受賞しています。
音楽界では、近藤真彦氏の「愚か者」、中森明菜氏の「難破船」、光GENJIの「ガラスの十代」、TM NETWORK|TM_NETWORKの「Get Wild」、BOØWYの「Marionette」、THE BLUE HEARTS|THE_BLUE_HEARTSの「リンダリンダ」など、多数のヒット曲が生まれました。また、ビリー・ジョエル、マドンナ、マイケル・ジャクソンといった海外の大物アーティストが来日公演を行いました。
テレビでは、「午後は○○おもいッきりテレビ」「関口宏のサンデーモーニング」「朝まで生テレビ！」といった長寿報道・情報番組や、「FNSの日」「ねるとん紅鯨団」「志村けんのだいじょうぶだぁ」などの人気バラエティ番組が放送を開始しました。アニメーション分野では、「シティーハンター」「きまぐれオレンジ☆ロード」「ビックリマン」といった作品が放送されています。
ゲーム業界では、家庭用ゲーム機の競争が活発化。NECから「PCエンジン」が登場したほか、カプコンからは「ロックマン」、スクウェアからは「ファイナルファンタジー」といった、後に大人気シリーズとなるRPGの第1作が発売されました。また、アーケードゲームでも「アルカノイド」「ダライアス」「アフターバーナー」などがヒットしています。
スポーツ界では、プロ野球の後楽園球場がこの年限りで閉鎖。読売ジャイアンツがセ・リーグを、西武ライオンズがパ・リーグを制し、日本シリーズは西武が巨人を破って優勝しました。高校野球ではPL学園が春夏の甲子園大会を連覇する快挙を達成。
広島東洋カープの衣笠祥雄選手が、世界のプロ野球史上初となる連続試合出場2131回の記録を樹立し、国民栄誉賞を受賞しました。大相撲では北勝海、大乃国が横綱に昇進。ゴルフ界では岡本綾子氏が日本人として初めて全米女子プロゴルフの賞金女王に輝いています。
この年は、経済的な発展と社会の変化が加速する一方で、過去の遺産（国鉄、後楽園球場など）が終わりを告げ、新しい時代への移行が明確になった、記憶に残る一年と言えるでしょう。
この年に生まれた著名人も多く、井上真央氏（女優）、市原隼人氏（俳優）、長澤まさみ氏（女優）、辻希美氏（タレント）、加藤シゲアキ氏（NEWS）、大島麻衣氏（元AKB48）、宮下麻衣子氏（ファッションモデル）、鈴木杏氏（女優）、三浦大知氏（歌手）、本仮屋ユイカ氏（女優）、茅野愛衣氏（声優）、渡辺直美氏（お笑い芸人）、絢香氏（歌手）、安藤美姫氏（フィギュアスケート選手）などがいます。
また、漫画原作者の梶原一騎氏、帝銀事件の平沢貞通死刑囚、歌手の石原裕次郎氏らがこの年に亡くなっています。
政治面では、内閣総理大臣が中曽根康弘氏から竹下登氏へと交代しました。中曽根内閣は当時歴代3位の長期政権となりました。国会は、常会と臨時会が合計5回開催されています。
経済と社会の動向
この年の最も象徴的な出来事の一つは、4月1日に日本国有鉄道（国鉄）が分割・民営化され、JRグループ7社として新たなスタートを切ったことです。115年の歴史を持つ国有鉄道が民営化されたことは、大きな時代の変化として受け止められました。
経済はバブル景気の兆候が鮮明になり、株価や地価が高騰。特に東京都心部の地価は坪1億円を超える地点が出現するなど、異常な上昇を見せ、社会問題となりました。財テクブームが広がり、2月にはNTT株が上場。外貨準備高が西ドイツを抜いて世界一となるなど、経済的な活況を呈しました。
通信分野では、NTTがハンディタイプ・アナログ方式の携帯電話サービスを開始。これは、後の携帯電話普及の礎となる出来事です。また、フルタイムシステムから日本で最初の宅配ボックスが発売され、ライフスタイルの変化に対応する動きも見られました。
商品面では、アサヒスーパードライやエビアンといった商品がヒットし、ロングセラーへと成長しました。
一方で、社会的な懸念事項もありました。この年の出生数は約134万7千人と、統計開始以来（当時）の最低を記録。また、1月には日本初の女性エイズ患者が確認され、「エイズ・パニック」が発生するなど、新たな社会問題も浮上しています。
主な出来事
1月には関西国際空港の建設が始まりました。また、多くのローカル線（宮之城線、広尾線、大隅線、瀬棚線、湧網線、士幌線、佐賀線、志布布線、筑波鉄道、幌内線、三菱石炭鉱業大夕張鉄道線など）がこの年限りで廃止・転換されています。3月31日には国鉄の鉄道事業が終了。4月1日にJRが発足しました。
5月には朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者1名が死亡、1名が負傷する「赤報隊事件」が発生。この事件は未解決のまま、言論・報道機関へのテロとして社会に衝撃を与えました。
夏の猛暑は首都圏で電力不足を引き起こし、大規模な停電が発生しました。また、台風12号や19号が日本列島に被害をもたらしています。
裁判では、7月にロッキード事件丸紅ルートの田中角栄元首相に対する控訴審判決で、一審の実刑判決が支持されました。また、帝銀事件の平沢貞通死刑囚が獄中で死亡しました。
9月には群馬県で功明ちゃん誘拐殺人事件が発生しましたが、これも未解決に終わっています。
文化と流行
文化面では、俵万智の歌集「サラダ記念日」が空前のベストセラーとなり、「サラダ記念日現象」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。この年発表された新語・流行語大賞では、新語部門で「マルサ」、流行語部門で安部譲二氏の「懲りない○○」が金賞を受賞。「JR」や「第二電電」、「サラダ記念日」、「ゴクミ」（後藤久美子氏）なども話題となりました。
芸術分野では、安田火災（現：損害保険ジャパン日本興亜）がゴッホの「ひまわり」を巨額で落札したことが話題となり、円高を背景にした海外有名絵画の購入ブームが起きました。
出版界では、「サラダ記念日」のほか、村上春樹氏の「ノルウェイの森」などもベストセラーとなりました。芥川賞は村田喜代子氏、池澤夏樹氏、三浦清宏氏が、直木賞は白石一郎氏、山田詠美氏、阿部牧郎氏が受賞しています。
音楽界では、近藤真彦氏の「愚か者」、中森明菜氏の「難破船」、光GENJIの「ガラスの十代」、TM NETWORK|TM_NETWORKの「Get Wild」、BOØWYの「Marionette」、THE BLUE HEARTS|THE_BLUE_HEARTSの「リンダリンダ」など、多数のヒット曲が生まれました。また、ビリー・ジョエル、マドンナ、マイケル・ジャクソンといった海外の大物アーティストが来日公演を行いました。
テレビでは、「午後は○○おもいッきりテレビ」「関口宏のサンデーモーニング」「朝まで生テレビ！」といった長寿報道・情報番組や、「FNSの日」「ねるとん紅鯨団」「志村けんのだいじょうぶだぁ」などの人気バラエティ番組が放送を開始しました。アニメーション分野では、「シティーハンター」「きまぐれオレンジ☆ロード」「ビックリマン」といった作品が放送されています。
ゲーム業界では、家庭用ゲーム機の競争が活発化。NECから「PCエンジン」が登場したほか、カプコンからは「ロックマン」、スクウェアからは「ファイナルファンタジー」といった、後に大人気シリーズとなるRPGの第1作が発売されました。また、アーケードゲームでも「アルカノイド」「ダライアス」「アフターバーナー」などがヒットしています。
スポーツ
スポーツ界では、プロ野球の後楽園球場がこの年限りで閉鎖。読売ジャイアンツがセ・リーグを、西武ライオンズがパ・リーグを制し、日本シリーズは西武が巨人を破って優勝しました。高校野球ではPL学園が春夏の甲子園大会を連覇する快挙を達成。
広島東洋カープの衣笠祥雄選手が、世界のプロ野球史上初となる連続試合出場2131回の記録を樹立し、国民栄誉賞を受賞しました。大相撲では北勝海、大乃国が横綱に昇進。ゴルフ界では岡本綾子氏が日本人として初めて全米女子プロゴルフの賞金女王に輝いています。
この年は、経済的な発展と社会の変化が加速する一方で、過去の遺産（国鉄、後楽園球場など）が終わりを告げ、新しい時代への移行が明確になった、記憶に残る一年と言えるでしょう。
この年に生まれた著名人も多く、井上真央氏（女優）、市原隼人氏（俳優）、長澤まさみ氏（女優）、辻希美氏（タレント）、加藤シゲアキ氏（NEWS）、大島麻衣氏（元AKB48）、宮下麻衣子氏（ファッションモデル）、鈴木杏氏（女優）、三浦大知氏（歌手）、本仮屋ユイカ氏（女優）、茅野愛衣氏（声優）、渡辺直美氏（お笑い芸人）、絢香氏（歌手）、安藤美姫氏（フィギュアスケート選手）などがいます。
また、漫画原作者の梶原一騎氏、帝銀事件の平沢貞通死刑囚、歌手の石原裕次郎氏らがこの年に亡くなっています。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。