WEST EXPRESS 銀河

「WEST EXPRESS 銀河」は、西日本旅客鉄道（JR西日本）が運行する臨時特別急行列車です。この列車は、JR西日本が地域活性化を目指す取り組みの一環として導入されました。

概要

コンセプト

「気軽に鉄道の旅を楽しめる列車」をコンセプトに、鉄道ファンだけでなく、普段あまり鉄道を利用しない人や訪日観光客など、幅広い層をターゲットとしています。豪華な「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」とは異なり、よりカジュアルで親しみやすい旅を提供することを目指しています。

キーワード

「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードとしています。

多様性: 普通座席に加え、グリーン個室、ノビノビ座席、コンパートメントシート、女性専用席など、さまざまなタイプの座席を用意しています。また、西日本エリアの様々な方面への旅行需要に応えるため、複数の区間を運行します。
カジュアル: 寝台料金を設定せず、普通車も設定することで、気軽に鉄道の旅を楽しめる価格設定を実現しています。寝台展開時はフルフラットシートとして扱い、寝台料金は徴収しません。
くつろぎ: 快適で落ち着いた車内空間、沿線の風景を楽しめる座席配置、自由に使えるフリースペースを提供しています。これにより、乗客にリラックスした鉄道の旅を楽しんでもらい、リピーターの増加を目指しています。

列車名の由来

「銀河」という名前は、宇宙に広がる星々の集まりを意味し、この列車が走る西日本エリアを宇宙、各地の魅力を星になぞらえています。各地を結ぶ列車として、この名前が選ばれました。かつて運行されていた寝台急行「銀河」の名を12年ぶりに復活させたものです。

乗車方法

乗車には、運賃に加えて特急券、グリーン券が必要です。JR西日本のインターネット予約「e5489」や全国のみどりの窓口、旅行会社で購入できます。当初は旅行商品としてのみ発売されていましたが、現在は一般販売も行われています。

グリーン個室料金

グリーン個室料金は、1人あたり100kmまでが4,360円、200kmまでが5,860円、300kmまでが7,240円、400kmまでが8,450円となっています。

運行ルート

かつての夜行快速ムーンライト八重垣と同じルートを大阪 - 出雲市間で運行、大阪 - 下関間はかつて特急つばめ・はとが運行されていたルート、京都 - 新宮間は特急くろしおと同じルートを運行します。下り列車は夜行として運行します。

運行概況

「WEST EXPRESS 銀河」は、運行時期により以下の3形態で運行されています。

山陰方面: 京都・大阪 - 出雲市間を結ぶ夜行特急列車
山陽方面: 大阪 - 下関間を結ぶ昼行特急列車
紀南方面: 京都 - 新宮間を結ぶ夜行/昼行特急列車

各方面とも週2往復程度の運行です。

運行実績

過去の運行実績は以下の通りです。

山陰方面: 2020年9月～2024年6月
山陽方面: 2020年12月～2025年 3月（予定）
紀南方面: 2021年7月～2024年9月

新型コロナウイルスの影響で運行開始が延期された時期もありました。

停車駅

山陰方面

京都駅 - 新大阪駅 - 大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - （西明石駅） - （姫路駅） - 〔備中高梁駅〕 - （生山駅） - 〔根雨駅〕 - 米子駅 - 安来駅 - 松江駅 - 玉造温泉駅 - 宍道駅 - 出雲市駅

（）は出雲市行きのみ停車、〔〕は京都行きのみ停車
下り列車は茨木駅で新快速の通過待ちを行います。
上り列車は備中高梁駅で35分間停車し、地元のおもてなしが提供されます。

山陽方面

京都駅 - 新大阪駅 - 大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - 〔西明石駅〕 - 〔姫路駅〕 - 広島駅 - 〔宮島口駅〕 - 岩国駅 - 柳井駅 - 徳山駅 - 防府駅 - 新山口駅 - 宇部駅 - 新下関駅 - 下関駅

〔〕は下関行きのみ停車
柳井駅では、下り列車と上り列車で停車時間が異なります。

紀南方面

京都駅 - 新大阪駅 - 大阪駅 - 天王寺駅 - 日根野駅 - 和歌山駅 - （海南駅） - （紀伊田辺駅） - （白浜駅） - （周参見駅） - 串本駅 - （古座駅） - （太地駅） - 紀伊勝浦駅 - 新宮駅

（）は京都行きのみ停車
下り列車では、和歌山駅で夜食、串本駅で朝食が提供されます。
上り列車では、新宮駅 - 紀伊田辺駅間で長時間停車に合わせて物販やおもてなしが行われます。

車両

デザイン

使用車両は、かつて新快速などに使用された117系を改造したものです。デザインは川西康之氏が担当しました。車体は瑠璃紺色で塗装され、美しい海や空を表現しています。

特徴

LED灯火類を採用
大きな窓で車窓を楽しめる
ノイズ対策としてコンプレッサーを交換
昼行時は座席、夜行時はベッドとして使える
2+2列シートは他の特急列車のグリーン車並みの座席間隔
Wi-Fi、USBポート、大型荷物置場を完備

編成

全6両が異なる座席構成となっています。

1号車: グリーン車指定席。1+1列の座席「ファーストシート」。ラウンジあり。
2号車: 普通車指定席。ノビノビ座席（クシェット）、2+2列シート。女性専用設備あり。
3号車: 普通車指定席。コンパートメントシート（ファミリーキャビン）、2+2列シート。フリースペース「明星」あり。
4号車: フリースペース車両「遊星」。
5号車: 普通車指定席。ノビノビ座席（クシェット）。車いす対応。
6号車: グリーン車指定席。個室（プレミアルーム）。ラウンジ「彗星」あり。

沿革

発表・計画

2016年 11月：新長距離列車の構想発表。
2019年 3月：列車名・エクステリア・設備愛称名発表。
2019年 11月：運行概要発表。
2020年1月：使用車両公開。
2020年 3月：運行日・時刻詳細発表。

運行開始

2020年9月：運行開始（新型コロナの影響で延期）。
2020年12月：山陽方面運行開始。
2021年7月：紀南方面運行開始。

受賞

2021年：グッドデザイン賞「グッドデザイン・ベスト100」、「グッドフォーカス賞（地域社会デザイン）」受賞。

特別運行

各地のデスティネーションキャンペーンに合わせて、通常の運行区間とは異なる区間での特別運行も行われています。

四国方面: 大阪駅 - 琴平駅間（2021年12月）
城崎温泉方面: 大阪駅 - 城崎温泉駅間（2022年7月）
岡山方面: 大阪駅 - 笠岡駅、尾道駅 - 京都駅、大阪駅 - 新見駅、新見駅 - 京都駅、大阪駅 - 備中高梁駅、新見駅 - 京都駅など（2022年7月～9月）
関西空港方面: 京都駅 - 2024年9月'>[関西空港駅]

その他

2018年：サンライズ出雲93号でのおもてなし運行。
2020年：貨客混載輸送の一環として山陰地方の特産品販売。
2021年・2022年：京都鉄道博物館での特別展示。
2023年：大阪駅での車両公開イベント。

「WEST EXPRESS 銀河」は、多様なニーズに応え、鉄道の旅の魅力を再発見させてくれる列車です。その運行は、西日本各地の活性化にも貢献しています。

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