ミル・マスカラス

ミル・マスカラス：千の顔を持つレスリングレジェンド

ミル・マスカラス（本名：アーロン・ロドリゲス・アレジャーノ、1942年7月15日生まれ）は、メキシコ・サン・ルイス・ポトシ出身の伝説的プロレスラーです。日本では「千の顔を持つ男」「仮面貴族」の異名で親しまれ、ジグソーの『スカイ・ハイ』を入場テーマ曲に用いていました。

華麗なるキャリアの始まりと初期の活躍

学生時代からレスリングとボディビルに打ち込み、レスリングではメキシコ代表候補として東京オリンピックを目指した経歴も持ちます。1962年にはミスター・メキシコに輝き、さらに空手や柔道も修得するなど、類まれな身体能力と武道の素養を兼ね備えていました。1965年7月16日、EMLL（現：CMLL）アレナ・メヒコでのデビュー後、1966年にはナショナル・ライトヘビー級王座を獲得。その後、アメリカ、NWAロサンゼルス地区を主戦場とし、バディ・オースチン、ザ・シークら強豪レスラーたちを相手にNWAアメリカス・ヘビー級王座を4度獲得するなど、アメリカマットでもその名を轟かせました。1969年にはドリー・ファンク・ジュニアのNWA世界ヘビー級王座にも挑戦しています。ロサンゼルス時代はベビーフェイスとして絶大な人気を誇った一方、斬新な覆面デザインから日本では「悪魔仮面」とも呼ばれていました。

アメリカでの活躍と革新的な功績

1970年にはテキサス、NWAビッグタイム・レスリング（後のWCCW）にも参戦。ジョニー・バレンタイン、キラー・カール・コックスといった強豪たちと激闘を繰り広げ、タッグマッチでも活躍しました。1972年、WWWFのMSG定期戦において、ニューヨーク州の「覆面レスラーはマスクを脱いで出場しなければならない」という条例を覆面を被ったまま出場することで解禁。覆面を被ったままマディソン・スクエア・ガーデンに登場した最初の人物となり、北東部での人気も獲得しました。その後、WWWF/WWFには1970年代から1990年代にかけて度々参戦。スーパースター・ビリー・グラハム、アンドレ・ザ・ジャイアント、ストロング小林らと対戦し、日本テレビの『ワールドプロレスリング』でもその試合が中継されるなど、国際的な人気を不動のものにしました。AWA、テキサスでも活躍し、ニック・ボックウィンクルが保持するAWA世界ヘビー級王座にも挑戦しています。1984年以降はビンス・マクマホン・ジュニア率いるWWFにも参戦し、数々のレスラーから勝利を収めました。

ヨーロッパ進出と多様な活動

1974年には西ドイツのミュンヘン・トーナメントにも参加、吉田光雄、ローラン・ボックらと対戦。俳優としても活動し、20本以上のルチャ映画に出演。『愛と宿命のルチャ』、『ミル・マスカラスの幻の美女とチャンピオン』などが日本で公開・放映されています。2011年にはWWEスマックダウンに登場、2012年にはWWE殿堂入りを果たしました。

日本プロレス界への貢献

1971年、日本プロレスの『ダイナミック・ビッグ・シリーズ』で初来日。星野勘太郎をダイビング・ボディ・アタックで下し、センセーショナルなデビューを飾りました。アントニオ猪木、ジャイアント馬場らと対戦し、1977年にはジャンボ鶴田との試合がプロレス大賞年間最高試合賞を受賞しました。全[[日本プロレス]]では鶴田やザ・デストロイヤーと好勝負を展開、ドス・カラスとの兄弟タッグも人気を博し、夏のシリーズの風物詩となりました。1970年代後半から1980年代前半にかけては全[[日本プロレス]]の夏のシリーズに参戦し、ドス・カラスとの兄弟タッグは夏の風物詩的存在でした。W★ING、WAR、みちのくプロレスなどにも参戦し、2016年には東京愚連隊の後楽園ホール大会でIWA世界ヘビー級王座を防衛。2019年には全[[日本プロレス]]のジャイアント馬場没後20年追善興行にも参加しています。2021年には秋の叙勲で旭日双光章を受章しました。

「千の顔を持つ男」の秘密

試合毎にマスクを変えることから「千の顔を持つ男」と呼ばれていました。リングネーム「ミル・マスカラス」はスペイン語で「千の仮面」を意味し、2023年現在約1200枚のマスクを所有していると言われています。マスクは全て自身デザインで、頭頂部の5本のラインには「五大陸で活躍できるように」という願いが込められています。入場時にオーバーマスクを被り、試合前に客席に投げるパフォーマンスも人気を集めました。

家族と栄光

父は鉱山企業の役員、母は教師でした。12人兄弟の4男で、弟のエル・シコデリコ、ドス・カラスもプロレスラーです。甥のドス・カラス・ジュニアは、アルベルト・デル・リオとしてWWEで活躍しました。

得意技と獲得タイトル

主な得意技はフライング・クロスチョップ、ダイビング・ボディ・アタック、ドロップキックなど。EMLLナショナル・ライトヘビー級王座、NWAアメリカス・ヘビー級王座、IWA世界ヘビー級王座など数々のタイトルを獲得しています。また、NWA殿堂、WWE殿堂にも名を連ねています。

ミル・マスカラスは、その華麗な技と独特のマスク、そして類まれな人気で、プロレス界に大きな足跡を残した、真のレジェンドと言えるでしょう。

もう一度検索