マリオ・ミラノ

マリオ・ミラノ：甘いマスクで世界を魅了したイタリアの伊達男

マリオ・ミラノ（Mario Milano）は、1935年5月15日にイタリアのトリエステで生まれたプロレスラーです。本名はマリオ・ブルフォーネ（Mario Bulfone）。アメリカ合衆国とオーストラリアを主戦場とし、日本では全日本プロレスの常連外国人選手として活躍しました。

南米での下積み時代

少年時代に家族で南米ベネズエラに移住。学生時代はレスリング選手として活躍し、その才能を見込まれてブラジル人プロレスラー、ヘニー・ハワードにスカウトされます。1953年、ベネズエラの首都カラカスで10代にしてプロレスラーとしてデビュー。初期には、ブラック・ディアブロ（Black Diablo）という覆面レスラーとしても活動していました。

アメリカでの成功

1962年にアメリカへ渡り、当初はマリオ・ラ・パンテラ（Mario La Pantera）と名乗っていましたが、後にマリオ・ミラノ（Mario Milano）に改名。テネシーのNWAミッドアメリカ地区（後のCWA）を主戦場に、甘いマスクと肉体美を持つイタリア人ベビーフェイスとして人気を博します。同地区のヒーローだったジャッキー・ファーゴとタッグを組み、1965年から1966年にかけては、レン・ロッシーとのコンビで、ヒロ・マツダ&カンジ・イノキや、トージョー・ヤマモトらのチームを破り、NWA南部タッグ王座を再三獲得しました。

オーストラリアでの黄金時代

1960年代後半からは、オーストラリア（ジム・バーネット主宰のワールド・チャンピオンシップ・レスリング）を活動拠点とします。1967年9月8日には、キラー・コワルスキーからIWA世界ヘビー級王座を奪取。その後も、バロン・シクルナやザ・スポイラーを破り、通算4回に渡って戴冠しました。IWA世界タッグ王座も、同じイタリア出身のドミニク・デヌーチらをパートナーに、コワルスキー&ビル・ミラーやスカル・マーフィー&ブルート・バーナードなどの強豪チームを下して再三獲得しています。

1970年には、ニューヨークのWWWFに参戦。ジョニー・ロッズ、ルー・アルバーノ、プロフェッサー・タナカ、アーニー・ラッド、イワン・コロフ、エリック・ザ・レッド、ウィリー・ファーカスらヒール勢と対戦。ゴリラ・モンスーンやビクター・リベラ、チーフ・ジェイ・ストロンボーともタッグを組み、ザ・モンゴルズが保持していたWWWFインターナショナル・タッグ王座にも挑戦しました。

1974年5月19日には、IWA世界ヘビー級王座の後継タイトルであるNWA豪亜ヘビー級王座をワルドー・フォン・エリックから奪取。1978年にワールド・チャンピオンシップ・レスリングが活動を停止するまで、豪州マットのスターとして活躍しました。1986年に引退後も、オーストラリアに居住。

日本での活躍

日本では、1968年5月に日本プロレスに初来日。1972年10月には、国際プロレスに参戦し、グレート草津と金網デスマッチで2回対戦。全日本プロレスのジャイアント馬場とのシングルマッチも行われました。1975年1月には、覆面レスラー "海賊仮面" ザ・バラクーダ（The Barracuda）に変身して全日本プロレスに初参加。1976年の『チャンピオン・カーニバル』では、ザ・バラクーダのギミックでジャンボ鶴田と時間切れ引き分けに持ち込み、優勝戦線を撹乱しました。

ジャイアント馬場に見込まれ、以降は素顔のマリオ・ミラノに戻り、全日本プロレスの常連外国人レスラーとして活躍。1977年6月には、天龍源一郎のデビュー戦の相手を務めました。1985年5月の『激震! サンダーウォーズ』では、タイガー・ジェット・シンとのタッグマッチで、石川敬士のギロチン・ドロップを受け失神。このアクシデントに対し、観客が「死んじゃった」コールを行い、マスコミから批判を浴びました。これが最後の来日となり、全日本プロレスには7回、日本マットには通算11回来日しました。

2016年12月9日、ビクトリア州メルボルンで81歳で死去。

得意技

ジャンピング・パイルドライバー
アトミック・ドロップ
アブドミナル・ストレッチ

タイトル歴

NWA世界タッグ王座（ミッドアメリカ版）
NWA南部タッグ王座（ミッドアメリカ版）
IWA世界ヘビー級王座（オーストラリア版）
IWA世界タッグ王座（オーストラリア版）
NWA豪亜ヘビー級王座
* NWA豪亜タッグ王座

マリオ・ミラノは、その甘いマスクと鍛え上げられた肉体美、そして紳士的な人柄で、世界中のファンを魅了しました。彼のプロレスは、多くの人々に感動と興奮を与え、記憶に残るものとして語り継がれるでしょう。

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