一般用医薬品の種類と有効成分

一般用医薬品（OTC医薬品）の種類と成分

この記事では、日本で一般的に販売されているOTC医薬品の種類と、それらに含まれる主な有効成分について解説します。ただし、国によって認可されている成分とそうでない成分があることに注意してください。

神経系作用薬

風邪薬

風邪の諸症状（発熱、鼻水、咳など）を緩和するために使用される風邪薬は、総合感冒薬と呼ばれます。これらの薬には、以下のような成分が含まれています。

解熱鎮痛成分

解熱鎮痛成分は、プロスタグランジンの生成を抑制することで効果を発揮しますが、胃粘膜を保護する作用も阻害するため、胃を荒らすことがあります。そのため、制酸成分が配合されていることが多いです。アセトアミノフェン以外の製剤は、15歳未満への使用、特にインフルエンザや水痘への投与は、ライ症候群を発症する危険性があるため禁忌です。

アセトアミノフェン: 比較的胃に優しいですが、抗炎症作用はありません。アルコールとの併用は厳禁です。
エテンザミド: 即効性があり、アセトアミノフェン、カフェインと併用されることがあります。
アスピリン（アセチルサリチル酸）: 胃を荒らしやすいので、制酸成分が併用されることが多いです。15歳未満は使用禁止です。
イブプロフェン: 解熱鎮痛だけでなく、抗炎症にも効果を発揮しますが、胃を荒らしやすいです。15歳未満は使用禁止です。
イソプロピルアンチピリン: 市販薬では唯一のピリン系成分ですが、ピリン薬疹の既往歴がある場合は注意が必要です。

くしゃみ、鼻水などを抑える成分

抗ヒスタミン剤や抗コリン成分が該当します。これらの成分は眠気を誘発することがあるため、服用後の機械操作や運転は控えるべきです。

ジフェンヒドラミン塩酸塩: 強い催眠作用があります。
クロルフェニラミンマレイン酸塩:
クレマスチンフマル酸塩:
メキタジン: 第二世代抗ヒスタミン薬に属し、眠気が比較的少ないです。

気管支拡張成分

アドレナリン作動成分であり依存性が高い成分なので、薬物依存症に注意が必要です。

メチルエフェドリン塩酸塩:
プソイドエフェドリン塩酸塩: アレルギー用薬に利用されますが、依存性の高さが問題になっています。

鎮咳成分

リン酸コデイン/リン酸ジヒドロコデイン: 鎮咳作用が強い一方で、依存性も高い成分です。
デキストロメトルファン臭化水素酸塩:
ノスカピン:

去痰成分

アンブロキソール塩酸塩: 市販感冒薬で比較的新しい成分です。
グアイフェネシン:
ブロムヘキシン塩酸塩:

抗炎症成分

塩化リゾチーム: 抗炎症作用のほか、去痰作用も持ちますが、卵アレルギー患者は禁忌です。
トラネキサム酸: 優れた抗炎症作用を持ちますが、血栓症の既往歴がある場合は注意が必要です。

鎮静成分

ブロムワレリル尿素:
アリルイソプロピルアセチル尿素:

制酸成分

解熱鎮痛成分によって荒れた胃粘膜を修復する目的で使用されます。

ケイ酸アルミニウム:
酸化マグネシウム:
水酸化アルミニウムゲル:
合成ヒドロタルサイト:

ビタミン、その他滋養強壮成分

アスコルビン酸: ビタミンCのこと。粘膜の健康維持目的で多用されます。
リボフラビン: ビタミンB2のこと。発熱時に消耗しやすいので、それを補う目的で多用されます。

漢方製剤

葛根湯: 風邪の引き始めに効果を発揮します。
柴胡桂枝湯: 治りかけの症状や風邪に伴う胃腸炎に効果を発揮します。
小青竜湯: くしゃみ、鼻水などに効果を発揮します。

解熱鎮痛薬

風邪薬と同様の解熱鎮痛成分を主剤とした薬品です。

鎮咳去痰薬

咳を鎮め、痰を切るための薬品です。トローチ型の薬では殺菌消毒成分を含む場合もあります。

睡眠改善薬

ジフェンヒドラミン塩酸塩の催眠作用を利用したもので、医療用の睡眠薬とは異なります。

眠気防止薬

カフェインなどが用いられます。

乗り物酔いの薬（鎮暈薬）

平衡機能の異常による吐き気、頭痛などを緩和する目的で使用されます。

小児用鎮静薬

主として疳の虫対策に用いられます。

口腔咽喉薬、含嗽薬

口腔内の炎症を緩和するもので、トローチやドロップなどがあります。

胃腸薬

消化不良、食欲不振、胃の痛み、胸焼け、腹部膨満感などに効果を発揮します。

整腸薬

腸内細菌を整えるために生菌（善玉菌）を配合した物が多いです。

止瀉薬

下痢を止めるための薬ですが、食中毒などでは使用を避けるべきです。

瀉下薬（一般に便秘薬）

腸の運動を活発にし、排便を促進します。妊婦は使用に注意が必要です。

胃腸鎮痛鎮痙薬

胃腸の痛みや差し込み用の薬品です。

浣腸・坐剤

肛門に注入して使用します。

駆虫薬

腸内に寄生した回虫、蟯虫の駆除に用います。

血液に作用する薬

強心薬

生薬成分を用いることが多いです。

コレステロール改善薬

高コレステロール症状の改善に用いられます。

貧血用薬

鉄分不足による貧血を補う薬品です。

痔治療薬

外用薬

局所麻酔成分、鎮痒成分、抗炎症成分などが含まれます。

痔疾治療用内服薬

主に生薬が用いられます。

泌尿器用薬

残尿感や頻尿、尿漏れなどに用いられます。

婦人薬

更年期障害や月経などに伴う体調の不良を対象とした薬品です。

アレルギー用薬

花粉症、ハウスダスト症候群などのアレルギー症状を改善します。

鼻炎用点鼻薬

鼻粘膜の炎症や急性鼻炎を対象とします。

点眼薬

目の疲れ、かすみ、乾燥、結膜炎、ものもらいなどを治療したり緩和したりする薬です。

外皮用薬

殺菌消毒薬

外皮に用いる殺菌消毒薬です。

外皮用薬（一般に塗り薬、貼り薬と呼ばれているもの）

痒み、腫れ、痛みなどに効く成分が含まれています。

毛髪用薬

発毛剤や発毛促進剤などがあります。

精力増強剤

外皮用のほか、飲用する場合もあります。

歯や口中に用いる薬

歯痛、歯槽膿漏用薬

主に歯槽膿漏、歯肉炎などの改善に用います。

口内炎治療薬

口内炎、舌炎、口角炎などの緩和に用います。

禁煙補助剤

タバコに含まれるニコチンをタバコ以外から摂取することで、徐々に禁煙を促すものです。

滋養強壮保健薬

一般にドリンク形式のものはドリンク剤、ビタミンやミネラルが入った保健薬はビタミン剤と呼んでいます。

その他の医薬品

公衆衛生薬

消毒薬、殺虫剤・忌避剤などがあります。

一般用検査薬

尿糖検査薬、尿蛋白検査薬、妊娠判定薬などがあります。

もう一度検索