佐藤地

佐藤地（さとう くに）

1954年生まれの日本の外交官。外務省において、女性として初めて局長級ポストである外務報道官に就任したことで知られています。その後もユネスコ大使、ハンガリー駐箚特命全権大使を歴任し、国際的な舞台で活躍しました。

経歴

福島県（一部資料では神奈川県）出身。東京大学教養学部卒業後、コロンビア大学政治学部大学院を修了。1981年に外務省に入省しました。

入省後は、在タイ日本国大使館、在アメリカ合衆国日本国大使館、内閣法制局参事官、外務省条約局国際協定課長、経済局国際機関第一課長、EU政府代表部公使、ジュネーブ国際機関代表部公使など、様々な要職を歴任しました。

2010年8月20日には外務省国際法局審議官に就任し、2012年9月11日には総括担当審議官を経て、2013年6月28日に外務報道官に就任しました。この外務報道官への就任は、外務省において女性が局長級ポストに就く初の事例として注目されました。

この人事は、当時の安倍内閣が掲げる「女性力の発揮」という政策目標を背景に、首相官邸主導で女性幹部の登用を進めた結果として実現しました。

2013年9月20日には、人権人道大使を兼任することも発表されました。2015年1月22日に外務省大臣官房付となり、同年2月17日には国連教育科学文化機関日本政府代表部特命全権大使（ユネスコ大使）に就任しました。

ユネスコ大使在任中の2015年7月には、世界遺産登録を巡る日韓間の交渉において、その手腕を発揮しました。特に、端島の登録勧告に対する韓国側の反発に対し、関係者と連携しながら、徴用工問題に配慮した表現を盛り込むことで、両国の合意形成に大きく貢献しました。この結果、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録が全会一致で決定されました。

2017年10月20日にはハンガリー駐箚特命全権大使に任命され、2020年10月19日に離任しました。2022年5月には国連大学理事に就任しています。

人物

佐藤氏は、外務省における女性のキャリアパスを切り開いた先駆者であり、その活躍は多くの女性に勇気を与えています。また、国際的な交渉の場においては、その冷静な判断力と高いコミュニケーション能力を発揮し、難題を解決に導いてきました。人権問題に対する深い理解を持ち、関係者との丁寧な対話を通じて、国際社会における日本のプレゼンス向上に大きく貢献した人物として評価されています。

同期入省者

佐藤氏と同期には、以下のような人物がいます。

兼原信克（元国家安全保障局次長、元内閣官房副長官補）
泉裕泰（現日本台湾交流協会台北事務所長、元バングラデシュ大使）
上月豊久（元ロシア大使）
岡村善文（現OECD大使、元人権人道担当大使）
山田彰（元ブラジル大使、元メキシコ大使）
上村司（現日本国政府代表（中東和平担当特使）、元サウジアラビア大使）
側嶋秀展（元ミクロネシア大使、元ザンビア大使）
香川剛廣（元国際貿易・経済担当大使、元エジプト大使）
石兼公博（現国連大使、元カナダ大使）
高岡正人（元クウェート大使、元モンゴル大使、元シドニー総領事、元イラク大使）
高木昌弘（現駐ドミニカ共和国大使、元クリチバ総領事）
冨田浩司（現駐米大使、元韓国大使、元イスラエル大使）
川村裕（元ノルウェー大使、元沖縄大使、元コートジボワール兼トーゴ兼ニジェール大使）
川村泰久（元カナダ大使）
嘉治美佐子（元クロアチア大使、元ジュネーヴ代表部大使）
宮島昭夫（元ポーランド大使、元トルコ大使）
重枝豊英（元リトアニア大使）
石井哲也（元トンガ大使）
岡田誠司（元バチカン大使、元南スーダン大使）
冨永純正（元青年海外協力協会会長、元コンゴ民主共和国大使）
奥克彦（イラク日本人外交官射殺事件犠牲者、殉職のため大使の称号付与）
伊藤光子（世界の子どもにワクチンを日本委員会事務局長）
福嶌教輝（現駐メキシコ大使、元駐アルゼンチン大使）
福嶌香代子（元ナッシュビル総領事）

外部リンク

* （コロナ特集）ハンガリーにおけるコロナウイルス対応 - 2020年10月7日

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