堀内康雄

堀内康雄について

堀内康雄（ほりうち やすお、1965年3月7日 - ）は、日本の声楽家（バリトン）、オペラ歌手、音楽教育者です。武蔵野音楽大学教授として後進の指導にも力を注いでいます。

経歴

東京都中野区出身の堀内康雄は、武蔵野市立第二中学校、國學院大學久我山高等学校を経て、1987年に慶應義塾大学法学部政治学科（国際法専攻）を卒業しました。大学在学中は慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団に所属し、畑中良輔、北村協一、皆川達夫、山田一雄、渡邊暁雄といった著名な指揮者の下で歌う魅力に惹かれました。

大学卒業後は味の素株式会社札幌支店に勤務しましたが、畑中良輔の強い勧めで、札幌在住の弟子・長内勲のプライベートレッスンを受け始め、オペラの勉強に熱中。オーストリアから帰国した三部勲夫妻らの薫陶も受け、オペラ歌手になることを志しました。会社員として働きながら、イタリア声楽コンコルソや日本音楽コンクールなど、4つの国内コンクールで優勝、入賞、入選を果たしました。1990年8月末に味の素を退社し、1991年6月にイタリアへ渡り、ミラノ・ヴェルディ国立音楽院に留学。1994年に同音楽院を中退しました。

堀内は、畑中良輔、長内勲、翁長剛、三部勲、松本美和子、ジャンフランコ・パスティネ、ジョヴァンナ・カネッティ、ニーノ・スカトッリーニといった著名な指導者に師事しました。トゥールーズ、ビニャス、ビルバオ、ガヤッレ、パヴィーア、リッチャレッリ、ヴェルディなど、数々の国際コンクールで優勝および入賞を果たしています。

1992年から活動を始め、ミラノ・イタリア放送交響楽団（現RAI国立交響楽団）、パブロ・サラサーテ管弦楽団、サンレモ交響楽団、レッジョ・エミリア・ヴァッリ劇場、バルセロナ・リセウ大劇場、スペイン国営放送交響楽団、パルマ王立劇場、ボローニャ市立劇場管弦楽団、スウェーデン・マルメ歌劇場、アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団などの演奏会に出演しました。

1994年にはヴェネツィア・フェニーチェ劇場でプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』のショナール役で海外オペラデビュー。翌年にはローマ歌劇場でヴェルディのオペラ『マクベス』のタイトルロールに抜擢され、以降、ヨーロッパの一流歌劇場で数々のオペラにプリモ・バリトンとして出演し、主要な役柄を演じています。フリーランスの歌手としての活動実績から、イタリア共和国永久滞在許可証（EC長期滞在許可証包括）を取得しています。

日本では1989年に北海道二期会で清水脩のオペラ『修禅寺物語』の行親役で客演した後、1997年に藤原歌劇団でヴェルディのオペラ『椿姫』のジェルモン役で中央楽壇デビューを果たしました。その後、藤原歌劇団、新国立劇場を中心に、数多くのオペラで日本を代表するプリモ・バリトンとして活躍しています。

コンサート活動も盛んで、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団をはじめ、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会、札幌交響楽団、東京交響楽団、東京都交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、読売日本交響楽団、大阪シンフォニカー（現：大阪交響楽団）、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、群馬交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、中部フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団など、国内の主要オーケストラと共演しています。

リサイタル活動も数多く行い、NHKニューイヤーオペラコンサート、読響シンフォニックライブ、NHK芸術劇場など、多数の放送収録にも出演しています。

2012年より武蔵野音楽大学教授として後進の育成に尽力する一方、数々のコンクールで審査員を務め、音楽界に貢献しています。1998年より藤原歌劇団団員です。

欧州での活躍

堀内は、ヨーロッパの主要な歌劇場で数々のオペラに出演しています。以下はその代表的なものです。

1992年：イタリア・RAI国立交響楽団 ヨハン・シュトラウス2世『こうもり』ファルケ博士役
1993年：スペイン・バルセロナ・リセウ大劇場 第31回F.ビニャス国際声楽コンクール入賞者記念演奏会
1994年：イタリア・ヴェネツィア・フェニーチェ劇場 プッチーニ『ラ・ボエーム』ショナール役
1995年：イタリア・ローマ歌劇場 ヴェルディ『マクベス』タイトル・ロール
1996年：ギリシャ・アテネ国立劇場 ヴェルディ『リゴレット』タイトル・ロール
2001年：イタリア・ブッセート ヴェルディ没後100年記念『ナブッコ』タイトル・ロール
2002年：イタリア・カリアリ歌劇場 ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』ルーナ伯爵
2011年：イタリア・トリエステ・ヴェルディ劇場 ザンドナーイ『フランチェスカ・ダ・リミニ』ジャンチョット役

日本でのオペラ出演歴

堀内は、日本国内でも数多くのオペラに出演しています。以下はその代表的なものです。

1989年：北海道二期会 清水脩『修禅寺物語』金窪兵衛尉行親役
1997年：藤原歌劇団 ヴェルディ『椿姫』ジェルモン役
1997年：藤原歌劇団 ヴェルディ『マクベス』タイトル・ロール
1999年：藤原歌劇団 プッチーニ『ラ・ボエーム』マルチェッロ役
2001年：新国立劇場 ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』ルーナ伯爵
2007年：日本オペラ団体連盟・藤原歌劇団・神奈川県民ホール共同公演 ヴェルディ『リゴレット』タイトル・ロール
2012年：錦織健プロデュース・オペラ ロッシーニ『セビリアの理髪師』フィガロ
2013年：いずみホール・オペラ ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』タイトル・ロール
2015年：びわ湖ホール・神奈川県民ホール・iichiko総合文化センター・東京二期会・京都市交響楽団・神奈川フィルハーモニー管弦楽団共同制作公演 ヴェルディ『オテッロ』イアーゴ役

コンサート

堀内は、オーケストラとの共演も数多く行っています。

2004年：フランス放送フィルハーモニー管弦楽団演奏会 ヴェルディ『ドン・カルロ』抜粋
2006年：夏の二夜 オルフ『カルミナ・ブラーナ』ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、札幌交響楽団
2010年：神奈川県民ホール オルフ『カルミナ・ブラーナ』神奈川フィルハーモニー管弦楽団
2012年：東京都交響楽団 マーラー『嘆きの歌』
2013年：東京フィルハーモニー交響楽団 ロッシーニ『小荘厳ミサ曲』

リサイタル

堀内は、リサイタル活動にも積極的に取り組んでいます。

1991年：木下記念日本歌曲研究会
1991年：渡伊記念リサイタル
2007年：紀尾井ホール、軽井沢大賀ホール

受賞歴

堀内は、数々の賞を受賞しています。

1990年：第21回イタリア声楽コンコルソ第1位
1991年：第2回五島記念文化財団オペラ新人賞
1993年：トゥールーズ国際声楽コンクール第1位
1994年：フリアン・ガヤレ国際声楽コンクール第1位
1994年：ビルバオ国際声楽コンクール第1位
1997年度：第25回ジロー・オペラ賞

音楽教育者として

堀内は、音楽教育者としても活躍しています。

2008年 - 2010年：武蔵野音楽大学インターナショナル・サマースクール講師
2011年：昭和音楽大学マスタークラス講師
2012年 - 現在：武蔵野音楽大学教授
2014年 - 2015年：日本オペラ振興会 オペラ歌手育成部部長
2020-2021年：新国立劇場オペラ研修所・声楽レッスン出講

楽界活動

堀内は、数多くのコンクールで審査員を務めるなど、楽界活動にも貢献しています。

日本音楽コンクール審査員
日伊声楽コンコルソ審査員
東京音楽コンクール審査員
全日本学生音楽コンクール審査員
東京国際声楽コンクール審査員
静岡県学生音楽コンクール審査員
びわ湖ホール声楽アンサンブル・オーディション審査員
新国立劇場オペラ研修所第22・23期生選考試験審査員
ハイメスコンクール審査委員長
武蔵野音楽協会理事
日本音楽コンクール委員会 楽壇側委員
日伊音楽協会　評議員

収録

堀内は、数多くの放送にも出演しています。

NHK-FMリサイタル
NHKニューイヤーオペラコンサート
NHK芸術劇場
NHKクラシック・ロイヤルシート
NHK-FM ベストオブクラシック
NHK-FMサンデークラシックワイド
読響シンフォニックライブ

書籍等掲載

堀内に関する記事や書籍も出版されています。

『北海道新聞』1991年1月「つれづれカルテット」
『三田評論』1997年4月号「<塾員 Who's Who>華麗なる転身 : 営業マンからオペラ歌手へ オペラ歌手 堀内康雄君」
『三田評論』2012年3月号「社中交歓（マスク）」
『音楽現代』2007年11月号 「堀内康雄」

ディスコグラフィ

堀内のCDも発売されています。

ガラ・リリカ スペイン放送交響楽団
カルミナ・ブラーナ 札幌交響楽団
第九 東京フィルハーモニー交響楽団
Verdi: Macbeth

脚注

武蔵野音楽大学による公式プロフィール

外部リンク

公式ウェブサイト
* 武蔵野音楽大学 堀内康雄

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