広橋兼綱

広橋兼綱（ひろはし かねつな）は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて活躍した公卿です。勘解由小路兼綱（かでのこうじ かねつな）とも呼ばれ、権中納言・広橋光業（ひろはし みつなり）を父に持ちます。最終的な官位は従一位・准大臣にまで昇り、死後には左大臣を追贈されました。瑞雲院（ずいうんいん）と号しました。

経歴

広橋兼綱の足跡は、『公卿補任』と『尊卑分脈』といった史料に詳しく記されています。

正中3年（1326年）3月14日：叙爵（元文章生）。
正中3年（1326年）4月22日：治部権少輔に任ぜられる。
嘉暦3年（1328年）6月13日：治部権少輔を止める。
嘉暦3年（1328年）11月27日：治部権大輔に任ぜられる。
元徳2年（1330年）1月13日：従五位上に昇叙。
元徳2年（1330年）3月22日：兵部権大輔に転任。
元弘3年（1333年）11月8日：近江守を兼ねる。
建武元年（1334年）7月9日：治部少輔を兼ねる。
建武2年（1335年）5月23日：近江守を止める。
建武4年（1337年）1月7日：治部少輔を止める。
建武4年（1337年）3月29日：治部権少輔に任ぜられる。
建武4年（1337年）10月8日：正五位下に昇叙。
暦応元年（1338年）12月20日：春宮権大進を兼ねる。
暦応4年（1341年）2月19日：蔵人に補される。
暦応4年（1341年）4月16日：春宮権大進と治部権少輔を止める。
暦応4年（1341年）12月22日：春宮学士に任ぜられる。
康永2年（1343年）1月28日：相模権介を兼ねる。
康永3年（1344年）12月11日：母の喪に服す。
貞和2年（1346年）2月23日：五位蔵人に還補される。
貞和2年（1346年）3月22日：治部少輔に任ぜられる。
貞和3年（1347年）7月10日：権右少弁に任ぜられる。
貞和3年（1347年）12月27日：権左少弁に転任。
貞和4年（1348年）8月10日：従四位下に昇叙、右中弁に転任。
貞和5年（1349年）9月：氏院別当に補される。
貞和5年（1349年）12月21日：従四位上に昇叙。
観応元年（1350年）6月19日：左中弁に転任。
観応元年（1350年）8月16日：右大弁に転任。
観応元年（1350年）10月12日：正四位下に昇叙。
観応2年（1351年）8月13日：蔵人頭に補され右大弁を止める。
観応3年（1352年）閏2月20日：春宮学士を止める。
観応3年（1352年）8月17日：新帝後光厳天皇の蔵人頭に補される。
観応3年（1352年）8月29日：大蔵卿を兼ねる。
文和2年（1353年）11月23日：正四位上に昇叙。
文和3年（1354年）8月13日：参議に任ぜられる。同日に左大弁に任ぜられる。大蔵卿は元の如し。
文和4年（1355年）1月7日：従三位に叙される。
文和4年（1355年）1月28日：阿波権守を兼ねる。
延文3年（1358年）8月12日：権中納言に任ぜられる。
延文4年（正平14年）（1359年）3月25日：権中納言を辞した。
貞治2年（1363年）4月20日：正三位に昇叙。
貞治6年（1367年）5月5日：従二位に昇叙。
応安6年（1373年）1月6日：正二位に昇叙。
応安8年（1375年）8月5日：権大納言に任ぜられる。
永和2年（1376年）2月12日：権大納言を辞退し、按察使に任ぜられる。
永和5年（1379年）1月19日：従一位に叙せられる。
永徳元年（1381年）9月4日：准大臣宣旨。
永徳元年（1381年）9月5日：出家。
永徳元年（1381年）9月26日：薨去。

系譜

父：広橋光業（1287年 - 1361年）
母：坊門俊輔の娘
妻：不詳
男子：広橋仲光（1342年 - 1406年）
男子：忠業
男子：綱厳
養女：広橋仲子（? - 1427年） - 崇賢門院。後光厳天皇の典侍。石清水八幡宮検校法印・紀通清（善法寺通清）通清の娘。

広橋兼綱は、養女である広橋仲子を通じて皇室と足利将軍家の両方の外戚となりました。仲子は後円融天皇の生母であり、足利義満の母・紀良子の姉妹にあたります。このような縁戚関係から、四辻善成と同様の処遇を受け、従一位准大臣にまで昇りつめたと考えられています。

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