香港植民地史 (1800年代-1930年代)

香港の植民地化と発展

19世紀、イギリス、オランダ、フランス、インド、アメリカ合衆国は中国を巨大な未開発市場と見なし、その支配を巡って争いました。イギリス帝国は1840年、ヴィクトリア女王の下で領有権を主張するため、最初の攻撃的な遠征軍を派遣しました。これにより、香港は中国最後の王朝からイギリスの支配下に入ることになりました。

わずか数十年で、香港は未開発の岩山地帯から世界貿易の主要な自由貿易港へと変貌を遂げました。アヘン戦争と一連の条約を通じて、イギリスは1997年までこの地域を合法的に領土と主張することができました。初期には東洋と西洋の思想や文化の劇的な違いから社会・経済問題も存在しましたが、香港は東アジアで最初に工業化と近代化を推し進める地域の一つになりました。

領域開発と交易の開始

18世紀末までに、イギリス帝国は貿易の世界で隆盛を極め、世界を席巻していました。中国はイギリスへの主要なお茶の輸出国であり、1830年までにイギリス市民一人当たり2ポンドに相当する3000万ポンドもの中国茶を賄っていました。イギリス経済にとって、中国茶は「大班」（中国におけるイギリス人実業家）に巨額の富をもたらす重要な商品であり、茶にかかる関税は政府収入の10%を占めていました。

イギリスの外交官は、中国皇帝に対して三跪九叩頭の礼を行うことを嫌い、対等な扱いを求めました。しかし、清王朝はイギリスの使節を、お茶、絹、東アジアの商品を求める文明化されていない外国人と見なしていました。当時の中国社会では、儒教的な価値観から、商人は社会的に低い地位に置かれていました（農民より低く、奴隷より高い）。

初期には、お茶との交換にイギリスの置き時計、腕時計、オルゴールなどが中国に売られましたが、貿易不均衡を改善するには不十分でした。中国は銀を強く求めており、1757年にインドのベンガル地方を領有化すると、イギリスはアヘンに目を付けました。アヘンは西洋では水を浄化する溶剤として用いられていましたが、中国では常習性のある麻薬として吸引されました。ベンガルには巨額の財政赤字がありましたが、アヘン輸出は政府の税収増に用いられました。アヘン貿易に反対する立場から、林則徐は1839年にヴィクトリア女王に手紙を書いた中国の欽差大臣となり、港にあった2万箱以上のアヘンを没収し、焼き捨てました。

衝突と香港の割譲

イギリス女王はこのアヘン破壊行為を侮辱とみなし、「古代の商業権」を守るために遠征軍を派遣しました。アヘン戦争（1839年-1842年）は、イギリス海軍のチャールズ＝エリオット大佐とイギリス海兵隊のアンソニー＝ブラックスランド＝ストランスハム大佐によって開始されました。一連の中国側の敗北を経て、香港島は1841年1月20日にイギリスに占領されました。サー・エドワード・ベルチャー卿は1月25日に香港に上陸し、ポゼッション・ストリートはこの出来事を記念して存在しています。

1841年1月26日、提督ゴードン＝ブレマー卿はイギリス国旗を掲げ、香港を英国領と宣言しました。香港島は、イギリスが戦時中の寄港地として初めて使用され、エリオットは長期的な視点から島を私有化しました。占領に関する権威は、エリオットと広東省長官との交渉によって行われました。穿鼻草約が締結されましたが、北京の清王朝はこれを承認しませんでした。その後、香港島は1842年の南京条約に基づいてイギリスに割譲され、イギリス領となりました。

アヘン戦争は、表向きは中国に対して貿易を自由化させる戦争でした。イギリスの貿易商、アヘン商人などは、香港を拠点として東洋で「自由貿易」を行う都市を築きました。ラッセル家、ジョン＝パーキンス＝カシング、フォーブス家などのアメリカのアヘン商人や商業銀行家も、すぐにこの貿易に加わりました。イギリスは1860年の北京条約に基づき、九龍半島に対する永久租借権を獲得しました。1898年には、イギリスは周辺地域がイギリス領でないと香港を守れないと考え、99年の租借が締結され、新界が加わることで香港の領域が大幅に拡大しました。租借は1997年6月30日に期限切れとなりました。

人口統計学

1841年1月26日にイギリス国旗が水坑口街に掲げられた頃、香港の人口は約7450人でした（大部分は沿岸の村に住む蛋民や客家の炭焼き人でした）。1850年代には、太平天国の乱を逃れて多くの中国人が香港に流入しました。また、大陸での洪水、台風、飢饉などの災害を逃れる場所として、香港は重要な役割を果たしました。1865年の人口調査によると、香港には12万5504人が住んでおり、そのうち2000人が欧米人でした。第一次世界大戦中の植民地での攻撃を恐れて6000人の中国人が出国しましたが、人口は1916年の53万人から1925年の72万5000人、1941年の160万人へと増加し続けました。

隔離と社会構造

自由貿易港の創設は、香港を主要な貨物集散地とし、中国人やヨーロッパ人を魅了しました。しかし、人種隔離政策が残り、イギリスの植民地政策や姿勢を特徴づけていました。19世紀後半までにイギリスで教育を受けた中国人の上流階級が増えましたが、山頂区保留条例のような人種法により、ヴィクトリア・ピークのようなエリート地域には中国人は住むことができませんでした。多数派を占める中国人は、初期には公務員になる機会もほとんどありませんでした。しかし、何啓卿や何啓東のような例外もいました。彼らは香港の階層構造における自らの立場を受け入れ、政府と中国人の主要な橋渡し役を務めました。何啓卿は立法会の非公式議員であり、何啓東は香港が中国の最後の王朝が滅亡してからの新しい家であることを中国市民に認識してほしいと願っていました。財政的な成功を収めた億万長者として、香港の人口を占めるのは純粋な先住民ではないことを強調しました。

文化と生活様式

植民地化された香港東部は、主にイギリス人に捧げられ、競馬場、練兵場、兵舎、クリケットやポロのグラウンドで埋め尽くされていました。一方、西部には中国人の商店、大衆市場、茶室がありました。香港の茶文化はこの時代に始まり、飲茶へと発展しました。最も大衆的な朝食の一つは、魚と大麦の入った粥でした。

1800年代中葉には、絹やヒスイを売る商人たちが、風水の助けを得て精神的な安定が得られる場所に開店しようとしました。苦力のような下層階級は、きつい仕事で将来良い地位が得られると考えました。香港で船頭、商人、運搬人、漁師として成功することは、中国で最も一般的な広東の港を飛び出す機会となりました。1800年までに、香港の港は大陸の輸出の27％、輸入の37％を取り扱うようになりました。

イギリスの旅行家イザベラ・バードは、1870年代の香港を、ヴィクトリア朝の社会が唯一楽しめる快楽と娯楽に満ち溢れていると語りました。また、宮廷、ホテル、郵便局、商店、市庁舎、美術館、図書館、建造物にもこの時代の礼儀作法が見られました。多くのヨーロッパ人実業家が事業を行うために香港に移住し、「大班」または「大尽」とみなされました。大班の有名な溜まり場の一つが、皇后大道の香港会所でした。

教育と法秩序

1861年、フレデリック・ステュアートは東洋に西洋式の哲学を導入する香港の教育制度を創設しました。この貢献が香港を近代化できたとする中国人や、中国では近代化は行われなかったと主張する中国人の間で議論が起こっています。教育は、西洋式の財政、科学、歴史、技術を香港文化にもたらしました。現代中国の父である孫文も、香港の中央書院で教育を受けました。

1843年には立法会が創設されました。香港総督は、初期の東アジアにおけるイギリスの特命全権大使でした。政務司司長も法律部門を補佐しました。

植民地警察は、香港の犯罪に対処するために1840年代に創設されました。しかし、中国の基準からすると、植民地香港の刑法は漠然としていて寛大だとみなされました。威嚇するものが欠如していたことが、犯罪増加の主な原因になったかもしれません。保良局は、女性の拉致と売春に対峙するために設立された最初の組織の一つでした。海賊による犯罪も、カットラスや回転式拳銃を持つ海賊の存在によって頻繁に発生していました。

流行病と災害

1880年代には、腺ペストの第三次流行が中国で発生し、1894年春までに約10万人が死亡したとされています。1894年5月には、腺ペストが香港の太平山で人口密集地域に拡大し、月末までに約450人が死亡しました。多いときには1日に100人が死亡し、この年合計で2552人が死亡しました。腺ペストは貿易に大きな損害を与え、中国人10万人が一時的に植民地から出国することになりました。その後30年間、ペストは香港で問題となりました。1870年代には、台風が香港を襲い、約2000人が命を落としました。

経済と交通

香港の成長は、ビクトリアハーバーを通る人や貨物の輸送に大きく依存していました。スターフェリーやヨーマティフェリーが創業すると、非常に重要な役割を果たしました。1843年には、植民地初の私企業造船所で船が建造され、フィリピンのスペイン政府や中国海軍も顧客にいました。ピークトラムは1888年に開業し、1904年にはトラムの運行が開始されました。最初の鉄道線は、九広鉄路として1910年に開業しました。

陸上では、町の商人が商品を運ぶ必要があったため、1874年に日本から輸入された人力車が非常に人気を博しました。駕籠は、ピークトラムが建設されるまで、急勾配を登れない人力車に代わって、ビクトリアピークに住む裕福なヨーロッパ人に好まれた移動手段でした。香港最初の自動車は、1903年から1905年にかけて到着しましたが、当初は普及しませんでした。1910年ごろになってようやく世間に受け入れられるようになり、ほとんどの所有者はイギリス人でした。さまざまな独立企業がバスを運行していましたが、政府は1933年に中華汽車有限公司を国有化しました。

飛行艇は、1928年に香港に到着した最初のイギリスの航空機でした。1924年までには、啓徳空港も建設され、帝国航空による最初の飛行は、1937年までに1回の飛行で288ポンドで行われるようになりました。

病院と金融

1841年にイギリスが香港を占領してまもなく、プロテスタントとカトリックの宣教師が社会保障の提供を開始しました。イタリアの宣教師は、1843年にイギリスと中国の少年だけを対象とした青年教育を始めました。聖ポール・ド・シャルトルカトリックフランス姉妹会は、最初の孤児院の一つであり、養老院は1848年に設立されました。1870年には、東華病院が香港初の公立病院となり、香港島と広東省で無料の予防接種を実施しました。1877年の中国の飢饉の際には基金が集められ、東華病院は多数派の中国人を代表する権威とともに病院の代表となりました。この時代に流行したホテルには、ヴィクトリアホテル、ニューヴィクトリアホテル、キングエドワードホテルがありました。

1864年には、最初の大規模な近代銀行である香港上海銀行が、香港をアジアの金融の中心にするために設立されました。頭取トーマス・ジャクソン・バート卿の像が、女王像広場にあります。銀行は1864年にウォードリーハウスを月500香港ドルで賃貸し、資本金を500万香港ドルに増資した後、1865年に開業しました。香港証券取引所も1891年に開業しました。

1890年12月には、香港電力集団有限公司が事業を開始し、ガス灯から電球への移行が始まりました。ジャーディン・マセソンのような会社は、政府の歳入に匹敵するほどの富を蓄積する「香港土地取引会社」を設立しました。（中華電力有限公司参照）

政治と社会

ある観察者は、植民地化の時期を「政治、宣伝、恐慌、噂、暴動、革命、難民」と表現しました。中国人難民にとっての香港の役割は、より強固なものになりました。1900年代初頭には、所有権を覆そうとする試みも始まりました。中国共産党と中国国民党の扇動者たちは、中国の騒乱に積極的に関わらなかった時期に香港に避難しました。しかし、1920年代と1930年代の造船所労働者のストライキは、当局が共産党の責任を広範に追求する反動の原因になりました。1920年のストライキは、32セントの賃金上昇で終わりました。

金耀基は、1975年の香港併合における植民地香港の統治を「エリートによる合意された政治」と表現しました。彼は、適法な香港の統治機構に挑戦する有能なエリートや軍の連合体は、委員会を監視する指導的な政治活動家や実業家などのエリートを任命し、組織を維持することで、イギリスの評判を保証し、香港ジョッキークラブなどのエリート機構に組み込むことで委員が任命されたと主張しました。これは、中国の清朝後期の政治機構を表すジョン・K・フェアバンクの用語であるシナーキーの拡大版です。

近代中国が最後の王朝の終焉と共に始まると、香港で行われた最初の政治的行動の一つは、辮髪から短髪への即時変更でした。1938年には、広州市が日本軍の手に落ち、香港は東アジアの貿易にとって軍事戦略上重要な場所とみなされました。ウィンストン・チャーチルは香港が「難攻不落の要塞」であると請け合いましたが、実際には、イギリス陸軍が二正面作戦によって手薄になった現状に対する反応に過ぎませんでした。

参照

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