1972年の日本競馬

1972年（昭和47年）の日本競馬界は、馬インフルエンザの流行や厩務員ストライキといった混乱に見舞われながらも、数々のドラマが生まれた一年でした。この年、競馬界は様々な出来事を経験し、その後の発展に繋がる重要な転換期となりました。

出来事

1月 - 3月

馬インフルエンザの流行: 年明け早々、馬インフルエンザが猛威を振るい、中央競馬の東京開催や地方[[競馬]]の一部開催が中止となりました。この影響は大きく、競馬界全体に深刻な影響を与えました。
流行の終息: 1月18日には発熱馬が全て解熱し、流行は終息に向かいました。その後、馬の移動制限が段階的に解除され、2月26日には関東地区の競馬が中央・地方ともに再開されました。
国際交流: 3月にはオーストラリアでアジア[[競馬会議]]が開催され、日本からも関係者が出席。さらに、国際騎手招待競走では、加賀武見騎手が優勝という快挙を成し遂げました。

4月 - 6月

新佐賀県競馬組合の設立: 4月1日には、新佐賀県競馬組合が設立され、地方[[競馬]]の組織体制が強化されました。
厩務員ストライキ: 4月中旬には厩務員ストライキが発生し、中山・阪神・福島、東京・京都・福島と複数回に渡り中央競馬の開催が中止となる事態に発展しました。競馬開催の裏には、厩務員の存在が不可欠であることを改めて認識させられる出来事でした。
施設の拡充: 4月には益田[[競馬場]]でスタンドが完成し、5月には横浜[[競馬場]]の一部が横浜市に無償貸与、一部は日本中央[[競馬会]]に払い下げられることが決定。また、佐賀[[競馬場]]が落成・開場するなど、競馬施設の整備が進みました。
賞金制度の改正: 5月には中央競馬の重賞競走における厩務員賞が騎手賞と同額に改正され、厩務員のモチベーション向上に繋がる動きが見られました。
人事異動: 6月には日本中央[[競馬会]]の理事長が交代し、新たな体制がスタートしました。

7月 - 9月

発馬機の故障: 7月には中央競馬で発馬機が故障するアクシデントが発生、レースが再発走となる珍しい事例がありました。
最多勝記録の更新: 7月には、野平祐二騎手が中央競馬の最多勝記録を更新し、新たな歴史を刻みました。
地方[[競馬]]の発展: 8月には地方[[競馬]]全国協会の創立10周年記念式典が開かれ、地方[[競馬]]の発展を祝いました。また、同月には軽種馬防疫協議会が発足し、競馬界全体の防疫体制が強化されました。
競馬場イベント: 8月には宝塚市で市民フェスティバルが開催され、阪神競馬場がその会場となりました。

10月 - 12月

施設の完成: 10月には札幌[[競馬場]]の運動公園が完成し、競馬ファンへのサービス拡充が図られました。
海外レースへの挑戦: 11月にはメジロムサシがアメリカのワシントンDCインターナショナルに出走、また、加賀武見騎手が南アフリカの国際騎手招待競走に出場しました。国際的な舞台での挑戦は、日本の競馬界に新たな刺激を与えました。
組合設立: 11月には全国公営競馬厩務員組合連合会が設立され、厩務員の労働環境改善に向けた動きが本格化しました。
売上記録の更新: 12月には有馬記念の売上が100億円を突破し、競馬人気の高さを証明しました。
全日本アラブ大賞典の創設: 12月には大井[[競馬場]]で第1回全日本アラブ大賞典が開催され、地方[[競馬]]の新たなスターホースが誕生しました。

競走成績

中央競馬の主な競走

天皇賞（春）: ベルワイド（騎手：加賀武見）
桜花賞: アチーブスター（騎手：武邦彦）
皐月賞: ランドプリンス（騎手：川端義雄）
宝塚記念: ショウフウミドリ（騎手：松本善登）
優駿牝馬（オークス）: タケフブキ（騎手：嶋田功）
東京優駿（日本ダービー）: ロングエース（騎手：武邦彦）
菊花賞: イシノヒカル（騎手：増沢末夫）
ビクトリアカップ: アチーブスター（騎手：武邦彦）
天皇賞（秋）: ヤマニンウエーブ（騎手：福永洋一）
有馬記念: イシノヒカル（騎手：増沢末夫）

中央競馬・障害

中山大障害（春）: ナスノセイラン（騎手：柴崎勇）
中山大障害（秋）: マスヒロ（騎手：成島正規）

表彰

年度代表馬・最優秀4歳牡馬: イシノヒカル
最優秀3歳牡馬: レッドイーグル
最優秀3歳牝馬: キシュウローレル
最優秀4歳牝馬: アチーブスター、トクザクラ
最優秀5歳以上牡馬: ヤマニンウエーブ
最優秀5歳以上牝馬: ジョセツ
最優秀障害馬: ムーテイイチ
最優秀アラブ: ジャズ

誕生

1972年は、後のクラシック世代となる多くの競走馬が誕生した年でもあります。

主な競走馬: グレートセイカン、エリモジョージ、スティールハート、フェートメーカー、ペルースポート、コクサイプリンス、グランディ、サクラセダン、テスコガビー、イシノアラシ、ウラカワチェリー、ダンディルート、ホクトライデン、ブレイヴェストローマン、ロングホーク、フィディオン、バローネターフ、カブラヤオーなど

人物

この年には、後に競馬界を支える多くの騎手や調教師が誕生しました。

主な人物: 日吉正和、石井勝男、浜野谷憲尚、江田照男、玉ノ井健志、藤田伸二、牧田和弥、加藤利征、松下裕樹、宝来城多郎、吉村圭司、奥平雅士、清水久詞、明神繁正、橋本広喜、板垣吉則、河北通、脇本一幸、安田康彦、水野貴史、水野貴広、郷原洋司、木村哲也、伊藤大士、四位洋文、高橋康之など

死去

岩下密政（元騎手、調教師）

まとめ

1972年の日本競馬は、馬インフルエンザの流行や厩務員ストライキといった困難に見舞われながらも、数々の名馬や騎手、調教師が誕生し、その後の競馬界の発展に繋がる重要な一年でした。この年の出来事は、現代の競馬界にも大きな影響を与えています。

もう一度検索