アール・メイナード

アール・メイナード：世界を舞台に活躍したレスラーの生涯

アール・メイナード (1935年11月28日生まれ) は、イギリス領バルバドス出身の元プロレスラーであり、ハリウッド俳優としても知られています。鍛え上げられた肉体とベビーフェイスの魅力で世界中のファンを魅了した、レスリング史に輝く黒人レスラーの一人です。

華麗なるレスラー人生：イギリスから世界へ

イギリス空軍除隊後、ボディビルダーとして鍛錬を積んだメイナードは、1961年にイギリスでプロレスラーデビュー。イギリスと西ドイツを主戦場として活躍し、アルバート・ウォール、シーン・リーガン、ポール・バションといった当時のスター選手たちとしのぎを削りました。レス・ソントンやビル・ロビンソンらとも交流を持ち、レスリング界での地位を着実に築いていきます。1964年にはボディビルディングの最高峰、ミスター・ユニバースに輝くなど、類まれな肉体美も持ち合わせていました。

1967年、プロモーターのグスト・カラスに招かれアメリカへ渡ります。NWAセントラル・ステーツ地区では、トーア・カマタ、ボブ・ブラウン、ボブ・ガイゲルといった強豪たちと激闘を繰り広げ、同年5月12日にはジン・キニスキーのNWA世界ヘビー級王座に挑戦するなど、トップレスラーとしての実力を証明しました。 AWAにも参戦し、アーニー・ラッドとタッグを組み、ラリー・ヘニング＆ハーリー・レイス組が保持するAWA世界タッグ王座に挑戦するなど、タッグマッチでも活躍しました。クリス・マルコフ＆アンジェロ・ポッフォ組のデビルズ・デュオとも対戦しています。

1968年にはWWWFに参戦。ゴリラ・モンスーン、プロフェッサー・タナカ、ブル・ラモスなど、錚々たるヒールレスラーたちと対戦し、ブルーノ・サンマルチノとのタッグも組むなど、その活躍は多岐に渡ります。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでは、ジョニー・ロッズやルーク・グラハムから勝利を収めるなど、大きな成功を収めました。

1969年には太平洋岸に進出。カナダのバンクーバーでは日系アメリカ人のディーン樋口とタッグを組み、NWAカナディアン・タッグ王座を獲得しました。サンフランシスコでは、ピーター・メイビア、ロッキー・ジョンソンらと共闘し、パット・パターソン、スタン・スタージャックらとの抗争を繰り広げました。

1971年2月には日本プロレスに初来日。大木金太郎のアジアヘビー級王座に挑戦するなど、日本マットでもその存在感を示しました。翌1972年には再来日し、ボボ・ブラジルとタッグを組んで、ジャイアント馬場＆大木金太郎組と対戦するなど、日本のプロレスファンにも強烈な印象を残しました。

アメリカではロサンゼルスを拠点に活動。ドリー・ディクソンとの黒人コンビでNWAアメリカス・タッグ王座を争い、シングルではNWA "ビート・ザ・チャンプ" TV王座を2回獲得しています。ミル・マスカラスとはタッグを組み、マスカラスはメイナードを「数少ない気の合ったパートナーの一人」と評しています。

1973年9月には新日本プロレスの「闘魂シリーズ」に参加。アントニオ猪木とのシングルマッチを3回行い、ビクター・リベラ、ジョニー・パワーズ、ジョニー・バレンタインらともタッグを組みました。

1974年にはジョージア地区で一時的に覆面レスラーとなり、タイガー・コンウェイ・ジュニアと「ブラック・クルセーダーズ」を結成。ガービン・ブラザーズと抗争を繰り広げました。キャリア晩年はサンフランシスコ地区で活躍し、1976年に引退しました。

ハリウッド俳優としての成功

引退後はハリウッドへ進出し、アクション映画俳優として活躍。「ブラック・ハンター」「マンディンゴ」「カリブの嵐」「ザ・ディープ」など、約20本の映画に出演し、成功を収めました。その後、バルバドスに戻り、不動産事業を営んでいます。

輝かしいタイトルと功績

メイナードは、数々のタイトルを獲得し、レスリング界に大きな足跡を残しました。主なタイトルは以下の通りです。

NWAカナディアン・タッグ王座（バンクーバー版）：1回（w / ディーン樋口）
NWA "ビート・ザ・チャンプ" TV王座：2回
* NWAアメリカス・タッグ王座：2回（w / フランキー・レイン、ドリー・ディクソン）

アール・メイナードは、レスラーとして、そして俳優として、世界を舞台に活躍した稀有な存在でした。その輝かしい功績は、これからもレスリング史に語り継がれていくでしょう。

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