サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会

サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会は、イタリアのローマにある名義小バシリカであり、カトリック教会の[[ドミニコ会]]にとって重要な教会堂です。カンポ・マルツィオのミネルヴァ広場に面しており、ローマで唯一のゴシック建築の教会として知られています。この教会には、シエナのカタリナや[[ドミニコ会]]の画家フラ・アンジェリコの墓があります。また、近代天文学の父ガリレオ・ガリレイが、隣接する修道院での異端審問後に自らの科学的命題を否認した場所としても有名です。

教会の名称は、かつてこの場所に存在したエジプトの女神イシスの神殿の基礎の上に建てられたことに由来します。この神殿は誤ってミネルヴァの神殿だと考えられていたため、現在の名称になりました。教会の外観は控えめですが、内部には鮮やかな赤色のリブヴォールトと金色の星がちりばめられた青い天井があり、19世紀にゴシック様式で修復されました。

歴史

この教会の敷地周辺には、古代ローマ時代にグナエウス・ポンペイウスが紀元前50年に建てたミネルヴァの神殿、イシス神殿、セラピス神殿の3つの神殿がありました。ミネルヴァ神殿の詳細は不明ですが、最近の調査で教会の東にあるコレジオ・ロマーノ広場に小さな円形ミネルヴァ神殿があったことが判明しています。1665年には、教会に隣接する[[ドミニコ会]]修道院の庭からエジプトのオベリスクが発見されました。このオベリスクは、イシス神殿の入り口前に設置されていたものと考えられています。

教皇ザカリアスの時代（741年 - 752年）に、廃墟となった神殿がキリスト教会に転換され、東方の修道士に与えられました。その後、1255年にアレクサンデル4世が改宗した女性たちの共同体を創設しましたが、間もなくサン・パンクラツィオ教会に移転されました。1275年には[[ドミニコ会]]のものとなり、教会と隣接する修道院を本部としました（後に本部はサンタ・サビーナ聖堂に移転）。現在もこの教会は[[ドミニコ会]]の管轄下にあります。

[[ドミニコ会]]は1280年から、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会をモデルに、教会をゴシック様式に改修し始めました。設計は、[[ドミニコ会]]修道士のFra Sisto FiorentinoとFra Ristoro da Campiが行いました。ボニファティウス8世の資金援助もあり、ローマ初のゴシック様式の教会が1370年に完成しました。その後、カルロ・マデルノらがバロック様式のファサードに改修しましたが、19世紀には新中世様式に改修されました。出入り口は15世紀のものです。

聖具保管室では過去に2度、コンクラーヴェ（教皇選挙）が行われました。1度目は1431年3月でエウゲニウス4世が選出され、2度目は1447年3月でニコラウス5世が選出されました。

1633年6月22日、ガリレオ・ガリレイはこの教会で、異端審問で有罪となった後に有名な自説の放棄を発表しました。1556年に、この教会は小バシリカに位置づけられました。現在のTitulus S. Mariae supra Minervamの枢機卿は、イギリス人のコーマック・マーフィー＝オコーナーです。

外観

ファサード

16世紀末にカルロ・マデルノがバロック様式に改修したファサードは、19世紀に現在の新中世様式に再改修されました。ファサードには、16世紀と17世紀にテヴェレ川が何度も氾濫し、水位が20メートルまで上がったことを示す印があります。

ミネルヴァのひよこ

教会の前には、「ミネルヴァのひよこ (Pulcino della Minerva)」と呼ばれる奇妙な記念碑があります。これは、バロック期の彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニがデザインし、弟子のエルコール・フェラッタが1667年に完成させたものです。エジプトのオベリスクが、ゾウの彫像を土台として支えられています。このオベリスクは、ローマにある11本のオベリスクの中で最も短く、古代エジプト第26王朝のファラオであるアプリエスの治世下に建てられたものです。ディオクレティアヌス帝がローマに運び、イシス神殿の前に設置しました。オベリスクの土台に刻まれたラテン語の碑文は、「堅固な知識を支えるには強い心が必要である」という意味です。この独特な構成は、フランチェスコ・コロンナの小説『ヒュプネロトマキア・ポリフィリ』に着想を得たと言われています。この小説には、オベリスクを支える石のゾウが登場します。最初は「子豚」と呼ばれていましたが、後に「小さなひよこ」を意味する「Pulcino」と呼ばれるようになりました。これは、オベリスクが短いことを表しているとも、[[ドミニコ会]]が貧しい女性のための寄付を集める慈善活動を行っていたことと関係があるとも言われています。

内装

尖頭アーチで覆われた身廊はゴシック様式で、ローマでは珍しいものです。13世紀の身廊にカルロ・マデルノがバロック様式の要素を加えたことで、部分的に印象が変化しました。ステンドグラスの窓の多くは19世紀のものです。ゴシック様式の建築ですが、最良の芸術作品はルネサンス期のものが多く見られます。

カラファ礼拝堂

15世紀末に枢機卿オリヴィエロ・カラファがトマス・アクィナスに捧げたカラファ礼拝堂には、フィリッピーノ・リッピによるフレスコ画があります。受胎告知と聖母の被昇天が描かれており、祭壇の上には聖トマス・アクィナスがカラファ枢機卿を祝福されたマリアに紹介する様子が描かれています。1493年に開館し、聖トマス・アクィナスの遺骨が安置されていましたが、1511年にナポリに移されました。カラファ家出身の教皇パウルス4世の墓もこの礼拝堂にあります。

カプラニカ礼拝堂

「ロザリオの礼拝堂」とも呼ばれるカプラニカ礼拝堂の化粧しっくいの天井は、1573年にマルチェッロ・ヴェヌスティが制作しました。

ミケランジェロの「あがないの主イエス・キリスト」

「あがないの主イエス・キリスト」（または「ミネルヴァのイエス・キリスト」、「十字架を運ぶイエス・キリスト」）は、ミケランジェロが1521年に制作した大理石像で、主祭壇の左にあります。

アルドブランディーニ礼拝堂

アルドブランディーニ礼拝堂は、ジャコモ・デッラ・ポルタが設計し、カルロ・マデルノが1602年以降に完成させました。聖体の制定を描いた絵は、フェデリコ・フィオーリが1594年以降に制作しました。クレメンス8世の両親の記念碑は、ジャコモ・デッラ・ポルタの手によるものです。世界初の聖体拝領の結社がこの礼拝堂で創設され、イグナチオ・デ・ロヨラも初期の一員でした。この礼拝堂には、フェデリコ・バロッチの祭壇画『使徒たちの聖体拝領』があります。

その他

『受胎告知』 - アントニアッツォ・ロマーノ（1485年）
レオ10世とクレメンス7世の墓 - アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネ
ウルバヌス7世の墓
フラ・アンジェリコの墓 - イザイア・ダ・ピサ（1455年）
マリア・ラッジの記念碑 - ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ（1643年）
フランチェスコ・トルナブオーニの墓 - ミノ・ダ・フィエーゾレ（1480年）

墓所

シエナのカタリナはここに埋葬されていますが、頭部だけはシエナのサン・ドメニコ教会にあります。彼女が亡くなった部屋は聖具保管室の裏に位置し、1637年に復元されました。フラ・アンジェリコも隣接する修道院で亡くなり、この教会に埋葬されています。また、パウルス4世、メディチ家のレオ10世、クレメンス7世もこの教会に埋葬されています。

この教会は、サン・ジョバンニ・デイ・フィオレンティーニ教会が完成するまでフィレンツェ共和国の国民教会であったため、トスカーナ地方の聖職者や貴族、富裕な市民の墓が多数あります。ピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチの失脚を企てたディオティサルヴィ・ネローニもここに埋葬されています。その他、ウルバヌス7世やジュール・マザランの兄弟であるミシェル・マザランなども埋葬されています。

同じ名称の他の教会

アッシジには、共和政ローマ時代のミネルヴァ神殿を利用して16世紀に建てられた同名の教会があります。コリント式のポルチコが今も残っています。

この教会は、ローマの歴史と芸術が融合した素晴らしい場所であり、訪れる人々に深い感銘を与えるでしょう。

もう一度検索