主動作筋

主動作筋（しゅどうさきん）とは

主動作筋とは、特定の運動を行う際に最も主要な役割を果たす筋肉のことです。主動筋、主力筋、または英語でアゴニスト（agonist）とも呼ばれます。筋肉が収縮することで、関節を動かし、身体運動を実現します。

各部位における主動作筋の例

以下に、身体の各部位における主な運動と、その際に主動作筋として働く筋肉の例を示します。

頚部

屈曲（前屈）: 胸鎖乳突筋、椎前筋群
伸展（後屈）: 板状筋群、脊柱起立筋群、後頭下筋群、短背筋群

腰部

屈曲: 腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋
伸展: 長背筋群、短背筋群

上肢帯

挙上: 僧帽筋（上部）、肩甲挙筋、菱形筋
下制: 鎖骨下筋、小胸筋、僧帽筋（下部）
外転（屈曲）: 前鋸筋、小胸筋
内転（伸展）: 僧帽筋（中部）、菱形筋
上方回旋: 僧帽筋（上部・下部）、前鋸筋
下方回旋: 菱形筋、小胸筋

肩関節

屈曲（前方挙上）: 三角筋（前部）、大胸筋（鎖骨部）
伸展（後方挙上）: 三角筋（後部）、大円筋、広背筋
外転（側方挙上）: 三角筋（中部）、棘上筋、上腕二頭筋（長頭）
内転: 大胸筋（腹部）、大円筋、広背筋
外旋: 棘下筋、小円筋
内旋: 肩甲下筋、大円筋、広背筋
水平屈曲（水平内転）: 三角筋（前部）、大胸筋、烏口腕筋、肩甲下筋（外転90°までは外転筋の働き）
水平伸展（水平外転）: 三角筋（中部・後部）、棘下筋、小円筋（外転90°までは外転筋の働き）

肘関節

屈曲: 上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋
伸展: 上腕三頭筋、肘筋

前腕

回外: 回外筋、上腕二頭筋
回内: 方形回内筋、円回内筋

手関節

屈曲（掌屈）: 橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋
伸展（背屈）: 長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋
橈屈: 長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋
尺屈: 尺側手根屈筋、尺側手根伸筋

股関節

屈曲: 腸腰筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋、恥骨筋
伸展: 大殿筋、大腿二頭筋（長頭）、半膜様筋、半腱様筋
外転: 大腿筋膜張筋、中殿筋
内転: 大内転筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、恥骨筋
外旋: 大殿筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、梨状筋
内旋: 小殿筋

膝関節

伸展: 大腿四頭筋、大腿筋膜張筋
屈曲: 大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋
外旋: 大腿二頭筋
内旋: 半膜様筋、半腱様筋

足関節

伸展（背屈）: 前脛骨筋、長趾伸筋、第三腓骨筋
屈曲（底屈）: 長腓骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋
内がえし（回外＋内転＋底屈）: 後脛骨筋、長趾屈筋
外がえし（回内＋外転＋背屈）: 長腓骨筋、短腓骨筋

足趾

屈曲: 長趾屈筋、長母趾屈筋
伸展: 長趾伸筋、長母趾伸筋

拮抗筋との関係

主動作筋の働きに対し、反対の動きをする筋肉を拮抗筋（きっこうきん）といいます。例えば、肘を曲げる際の主動作筋が上腕二頭筋であるのに対し、肘を伸ばす際の主動作筋である上腕三頭筋は、上腕二頭筋にとっての拮抗筋となります。 筋肉は、主動作筋と拮抗筋が互いに協調し合うことで、スムーズで正確な運動を可能にしています。

もう一度検索