人形山

人形山（にんぎょうざん）

人形山は、富[[山県]]南砺市（五箇山地域）と岐阜県白川村（白川郷）にまたがる飛騨高地北部に位置する標高1,726mの山です。この山は、日本三百名山、新日本百名山、そしてぎふ百山の一つに選ばれており、その美しい景観と歴史的な背景から多くの登山者に親しまれています。登山口は富[[山県]]側にあり、岐阜県側からの登山道はありません。

歴史

人形山は、白山を開山したとされる泰澄によって開かれたと伝えられており、古くから修験の場として信仰を集めていました。泰澄は奈良時代に山頂の東北東約1.4kmの地点に白山権現堂を創建したとされ、この白山権現堂は後に山麓の南砺市上梨に移されました。現在、この場所は宮屋敷と呼ばれ、鳥居が設置されています。

移された白山宮本殿は、1958年に国の重要文化財に指定されており、その歴史的な価値を今に伝えています。また、白山宮の祭礼で奉納される「こきりこ節」は、五箇山の歌と踊りの一つとして、1973年に国の無形民俗文化財に指定されました。

伝説

人形山には、五箇山地域に伝わる悲しい伝説があります。この伝説は「まんが日本昔ばなし」でも「人形山」というエピソードとして制作され、放送されました。山腹には、2人の幼子が手をつないで踊っているかのように見える雪形が現れ、これが山名の由来となっています。この雪形は、毎年6月中旬頃に見ることができます。かつては「ひとがたやま」と呼ばれていたとされています。

また、伝説では、左甚五郎が木の人形を彫り、それに入魂して山地を開拓した後、この場所に埋葬したとも伝えられています。

登山

人形山の山開きは、例年6月の第1日曜日に開催されます。山頂からは、西に両白[[山地]]の大門山、笈ヶ岳、白山などの山々、東には飛騨山脈（北アルプス）の立山連峰から乗鞍岳へと連なる山並みが一望できます。また、御嶽山や周辺の飛騨高地の山々も見渡せる絶景スポットです。近くにある三ヶ辻[[山]]（標高1,764m）と共に登山する人も多くいます。三ヶ辻[[山]]への登山道は、1986年に五箇山保勝会によって開かれました。

登山道

富[[山県]]側からは、以下の2つの登山道が利用できます。

中根平コース
中根平から中根山荘、第一休憩所、第二休憩所、宮屋敷を経由して、三ヶ辻[[山]]分岐から人形山山頂へ至ります。登山道の下部ではイワウチワやマイヅルソウ、ミツバオウレンなどの植物が見られ、中間付近ではサラサドウダンの大木やゴゼンタチバナが、上部ではイワカガミやイワハゼ、コバイケイソウ、ササユリ、ダケカンバ、チシマザサ、ブナ、ホンシャクナゲ、リンドウなどの植物を観察できます。山頂付近には池塘があり、ニッコウキスゲの群落が広がっています。
高草嶺コース
林道取付から大滝山（標高1,498m）、カラモン峰（1,679m）を経由して人形山に至ります。このコースは大滝山までは比較的整備されていますが、その先は踏み跡が薄くなっているため、注意が必要です。

山小屋

中根平コースの登山口には、中根山荘という無人の山小屋があり、15人程度が宿泊可能です。この山小屋は、山頂の北4.4kmに位置しています。

地理

人形山は、庄川を挟んで西側の両白[[山地]]に対峙する飛騨高地の飛越国境山地に位置しています。麓の南砺市にある世界遺産「越中五箇山相倉集落」からは、人形山の山容と西面に見られる雪形を6月中旬頃に見ることができます。砺波平野からは、なだらかな女性的な山容に見えます。山頂部には高層湿原が広がっています。

周辺の山

山頂の南東1.5kmには三ヶ辻[[山]]があり、西北西3.6kmには大滝山があります。

源流の河川

人形山は、庄川水系の支流である以下の河川の源流となっています。これらの河川は、日本海側の富[[山湾]]に流れ込みます。

湯谷
大芦倉谷
岩長谷（利賀川の支流）

交通・アクセス

道路
西山麓の庄川沿いには東海北陸自動車道と国道156号が通っています。東山麓の利賀川沿いには富[[山県]]道・岐阜県道34号利賀河合線が通っていますが、上部区間は豪雪地帯のため冬季閉鎖されます。山頂の南東5.2kmには牛首峠があり、林道が通っています（標高1,084m）。
鉄道
JR西日本城端線の終着駅である城端駅からは、南に約19.5kmの場所に位置しています。
高速道路
東海北陸自動車道の五箇山インターチェンジからは、東南東に約7.4kmの場所に位置しています。

人形山の風景

[人形山の風景写真1]

[人形山の風景写真2]

[人形山の風景写真3]

脚注

注釈

出典

参考文献

岩崎元郎『新日本百名山登山ガイド〈上〉』山と溪谷社、2006年4月20日。ISBN 4635530469。
岐阜県山岳連盟『ぎふ百山』岐阜新聞社、1987年7月。ISBN 4905958474。
徳久球雄 編『コンサイス日本山名辞典』（修訂版）三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
佐伯郁夫、佐伯克実、佐伯岩雄『改訂版　富[[山県]]の山』山と渓谷社〈新・分県登山ガイド17〉、2010年2月5日。ISBN 978-4-635-02367-2。
日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
『日本三百名山』毎日新聞社、1997年3月。ISBN 4620605247。
『日本の山1000』山と溪谷社、1992年8月。ISBN 4635090256。
林正一『白山と北陸の山』山と溪谷社〈アルペンガイド21〉、2000年8月。ISBN 4-635-01321-9。

関連項目

飛騨高地
五箇山
白川郷
新日本百名山
* ぎふ百山

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