容共

容共主義とは

容共（ようきょう）または容共主義（ようきょうしゅぎ）とは、共産主義に理解を示し、協力する立場を指します。その対義語は反共主義です。

世界における容共の例

最も有名な例としては、中華民国における第一次国共合作時に用いられた「連ソ・容共・扶助工農」の方針が挙げられます。これは、1924年1月に中国国民党がソ連との協力関係を築き、共産党との連携を図ったものです。コミンテルン（共産主義インターナショナル）は反帝国主義を掲げ、各国の民族運動を支援する中で、中国国民党に接近しました。当時の国民党指導者であった孫文は、内紛で疲弊しており、ソ連からの軍事支援を求めたことが背景にありました。

日本における容共の展開

戦前

日本では、1920年に日本社会主義同盟が結成されましたが、1925年には反共の社会民衆党と容共の労働農民党に分裂しました。その後、戦争体制が進むにつれて労働農民党は1928年に結社を禁止され、社会民衆党から変わった社会大衆党は1940年に大政翼賛会に合流しました。

戦後

戦後、社会大衆党と労働農民党の流れを汲む日本社会党が結成されましたが、1953年のサンフランシスコ講和会議をめぐり、ソ連や中国などの共産主義国家との関係をどう捉えるかで右派社会党と左派社会党に分裂しました。1955年に両派は合同するも、1960年には日米安全保障条約を巡って右派が民主社会党（後の民社党）を結成し、更に民社党は自民党以上に容共を攻撃しました。

朝鮮戦争以降、反共の最前線となった韓国では、軍事政権が容共的な人物を共産主義者とみなし、取り締まりの対象としました。

社会党の変遷

日本社会党は、容共派、反共派、全野党共闘派など多様な勢力が混在していましたが、1980年の社公合意により反共派が主導権を握り、社会民主党（社民党）に引き継がれると「社会民主主義」を掲げ、反共の立場を明確化しました。一方、容共派は新社会党を結成し、共産党の公認候補も推薦しましたが、共産党からの共闘を拒否され、国政では議席を失いました。

その他の容共を巡る動き

保守系メディアは、社会党の路線転換を歓迎し、社民党が共産党と国政で共闘しつつも、地方政治では自民党などと連携する現状を指摘しました。

「がんばろう、日本!」国民協議会（旧「民主統一同盟」）は、共産党中心の民主的統一戦線を訴え、青島幸男を容共議員と名指ししましたが、現在は反共・親米保守に転換しています。小沢一郎も、選挙での勝利のために共産党との協力も辞さないという見解を示しましたが、保守系メディアから批判されました。

野党共闘の動きと容共

2016年以降、民進党、社民党、自由党などが共産党と「野党共闘」を開始しましたが、2017年に民進党が分裂し、共闘体制も破綻と継続に分かれました。2018年には希望の党が国民民主党と新希望の党に分離し、国民民主党が共産党との共闘を再開しました。

2021年、立憲民主党は共産党と部分的な閣外協力で合意しましたが、自公や維新などから「立憲共産党」と批判され、議席を減らしました。その後、立憲民主党内で共闘見直し論が浮上し、2024年の代表選挙では共闘に消極的な野田佳彦が代表に選出されたことで、共産党との共闘は再び難しくなっています。

結論

容共主義は、単なる共産主義への支持ではなく、政治的な戦略や情勢によってその姿を変えてきました。反共主義との対立軸の中で、各国の政治情勢における複雑な容共の動きを理解することは、現代社会を読み解く上で重要な要素となります。

参考文献

(ここに参考文献があれば記載)

関連項目

反共主義
ラパッロ条約 (1922年)
ハプスブルク家「赤い皇女（エリーザベト・マリー・ペツネック）」
国防の本義と其強化の提唱、日本改造法案大綱
人民戦線
独ソ不可侵条約、平沼内閣、汎ユーラシア大陸ブロック構想（リッベントロップ版「ユーラシア枢軸構想」）、日独伊三国同盟#同盟拡大の動き、日ソ中立条約#締結への経緯、松岡洋右#四国同盟構想とその失敗
孫文#孫文・ヨッフェ共同宣言、国共合作、張学良#西安事件、浙江財閥令嬢（孫文の妻）宋慶齢の中華人民共和国政治協力・国家副主席就任
レンドリース法#ソ連に対する援助物資、エルベの誓い、ヤルタ会談
ソ連を仲介とした和平工作構想
チャンドラ・ボース ソ連亡命・再起構想
ニューディーラー、GHQ民政局
フィンランド化
片山内閣、自社さ連立政権
英国労働党政権によるロールス・ロイス・エンジン技術協力、クリーモフ RD-500（ソ連版「ロールス・ロイス ダーウェント 5」）、クリーモフ RD-45（ソ連版「ロールス・ロイス ニーン」）、クリーモフ VK-1（RD-45の発展型。ソ連初のジェット戦闘機であるMiG-15戦闘機、およびMiG-17初期型開発を可能とした）
開発独裁#開発独裁と反共主義
中ソ対立による米中接近
コアビタシオン
創共協定（日本共産党と創価学会との合意についての協定）、社共共闘
中川一郎#ペルソナ・ノン・グラータ、日ソ共同宣言、日中国交正常化、日中友好議員連盟
太陽政策、現代峨山、日朝平壌宣言、日朝国交正常化推進議員連盟
中露善隣友好協力条約、上海協力機構

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