憲法問題研究会

憲法問題研究会について

憲法問題研究会は、1958年（昭和33年）6月8日に、大内兵衛、宮沢俊義、我妻栄といった著名な学者を中心に、東京と京都の知識人が集まって設立された団体です。1976年（昭和51年）4月に解散するまで、法曹界だけでなく、当時の学界を代表する多くの知識人が参加し、日本国憲法に関する研究と啓蒙活動を積極的に展開しました。

設立の背景

1956年、岸信介らによる議員立法で憲法調査会法が公布・施行されました。翌年、岸信介が内閣総理大臣に就任すると、内閣は自主憲法制定、あるいは憲法改正を目指し、「憲法調査会」を設置しました。政府は、宮澤俊義、我妻栄、清宮四郎らに憲法調査会への参加を要請しましたが、3人はいずれもこれを拒否しました。この政府の動きに対抗するため、大内兵衛、宮澤俊義、我妻栄、清宮四郎、茅誠司、恒藤恭、矢内原忠雄、湯川秀樹ら8名が発起人となり、憲法問題研究会が結成されました。

活動内容

憲法問題研究会には、50名以上の知識人が集まり、大内兵衛が代表世話人を務めました。研究会では、日本国憲法に関する活発な議論や研究が行われ、その成果は講演会や出版物を通じて広く社会に発信されました。1960年5月3日には、主催講演会において、丸山真男による「現代における態度決定」という講演が行われ、安保条約の国会審議を慎重に進めるべきだと主張しました。1964年5月3日には、憲法調査会の多数意見や、伝統と自由の名による憲法改悪に反対する声明を発表するなど、憲法改正の動きに対して積極的に意見を表明しました。

会員

研究会には、以下のような著名な知識人が参加していました。

東京側

有沢広巳
家永三郎
入江啓四郎
鵜飼信成
大内兵衛
大河内一男
戒能通孝
菊池勇夫
城戸又一
清宮四郎
久野収
佐藤功
高木八尺
竹内好
谷川徹三
辻清明
都留重人
中野好夫
中村哲
南原繁
野村平爾
真野毅
丸山真男
峯村光郎
宮沢俊義
務台理作
宗像誠也
我妻栄

京都側

青山秀夫
浅井清信
磯村哲
井上清
猪木正道
岡本清一
大西芳雄
加藤新平
貝塚茂樹
河野健二
黒田了一
桑原武夫
佐伯千仭
島恭彦
末川博
田畑茂二郎
田畑忍
俵静夫
恒藤恭
名和統一
前芝確三
松井清
松田道雄
森義宣
湯川秀樹
吉村正一郎

主な著作物

憲法問題研究会は、以下の著作物を刊行し、憲法に関する知識を広めることに貢献しました。

『憲法を生かすもの』岩波新書、1961年。
『憲法と私たち』岩波新書、1963年。
『憲法読本 上』岩波新書、1965年。
『憲法読本 下』岩波新書、1965年。

参考文献

邱静『憲法と知識人：憲法問題研究会の軌跡』岩波書店、2014年。

関連事項

日本国憲法改正案一覧
憲法調査会
平和問題談話会

外部リンク

* 新資料発掘 “私たちの憲法” - NHK NEWS WEB

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