日吉町日置

日吉町日置（ひよしちょうひおき）

概要

日吉町日置は、鹿児島県日置市に位置する大字です。かつては日置郡日吉町の中心地として町役場が置かれ、地域の行政・文化の中心を担っていました。2020年10月1日現在の人口は3,106人、世帯数は1,345世帯です。郵便番号は899-3101。

地理

日置市の西部に位置し、大川の中流域から下流域にかけて広がっています。北に東市来町宮田、伊集院町大田、南から東にかけて日吉町吉利、東に伊集院町飯牟礼、西に日吉町山田、日吉町神之川、そして東シナ海に面しています。地域は北部の住吉地区と南部の日置地区に分かれています。

交通の要所でもあり、西側を国道270号が南北に走り、南部から東方へ鹿児島県道37号伊集院日吉線が通っています。かつては鹿児島交通枕崎線が通っていましたが、1984年に廃止されました。吹上浜沿いには鹿児島県道2号加世田日吉自転車道線が走り、サイクリングを楽しむことができます。

地域内には、日置市役所日吉支所や日置市立日吉学園などの公共施設が集中しています。西に広がる吹上浜は県立自然公園に指定されており、豊かな自然が保護されています。

地名の由来

日置の地名の由来には二つの説があります。

1. 日置部（ひおきべ）：古代の律令制において宮内省主殿寮に属したとされる「日置部」がこの地に置かれていたとする説。
2. 墾田開発：この地を開発した一族に由来するという説。

自然公園・自然保護地区

日置の西端部は、吹上浜金峰山県立自然公園に指定されており、美しい自然が保護されています。

河川・湖沼

大川: 日吉町吉利との境界付近を流れる。
宇都池: ため池。
御伊勢殿池: ため池。

歴史

古代から近世

日置の地名は鎌倉時代から見られ、薩摩国の一部でした。古代には荘園として存在し、日置荘は日置北郷と日置南郷に分かれました。日置北郷は後に日置郷となりました。

戦国時代には島津氏の支配下にありましたが、豊臣秀吉の九州平定により、一時的に豊臣氏の蔵入地となりました。その後、島津氏が再び領主となり、江戸時代には薩摩藩の日置郡日置郷として統治されました。

日置郷は、薩摩藩の直轄領になったり、日置島津家の私領となったりと、支配が変遷しました。江戸時代には、吉利郷との間で境界論争が起こり、解決されました。また、紙漉の荒野が開拓され、水田が作られました。当時の日置村は農業が中心で、農民が多く住んでいました。

明治以降

明治時代に入り、廃藩置県によって鹿児島県が設置されました。日置は、一時的に伊作の区長事務扱所に属しました。その後、郡区町村編制法により日置村に戸長役場が設置されました。

1889年には町村制が施行され、日置村が成立しました。1955年には、日置村が吉利村と合併して日吉町となり、日置は日吉町の大字となりました。2005年には、日吉町が周辺の町と合併して日置市となり、日吉町日置という名称になりました。

文化財

日置市内には、数多くの文化財が指定されています。

史跡：八幡神社、大乗寺跡、光禅寺跡、桂山寺跡、熊野神社、毘沙門天など。
彫刻：釈迦木像、石屋和尚手彫りの石地蔵。
書跡：扁額「醫王寳殿」。
無形民俗文化財：お田植え踊、太鼓踊。

祭事

せっぺとべ

八幡神社で毎年6月第1日曜日に行われる御田植祭は、1595年から続く伝統的な祭りです。祭では、虚無僧踊り、棒踊り、鎌踊りなどが奉納された後、若者が田んぼで飛び跳ねる「せっぺとべ」が行われます。この飛び跳ねる行為には、土を耕す意味や害虫を駆除する意味があると言われています。せっぺとべは「精一杯跳べ」という意味です。

施設

公共施設: 日置市役所日吉支所、日置市立ひよし図書館、日置警察署日吉駐在所、日吉運動公園、日吉多目的広場、日吉総合体育館、日吉武道館、日吉弓道場、日吉相撲道場、日吉グラウンドゴルフ場、日吉テニスコート、日吉研修棟（せっぺとべひよし館）、ひおき診療所、日吉中央公民館、天然温泉ひよし。
教育施設: 日置市立日吉学園、明信寺保育園。
郵便局: 日置郵便局、日置住吉簡易郵便局、日新簡易郵便局。
寺社: 八幡神社、三光寺、明信寺。

人口

国勢調査による1995年以降の人口推移は以下の通りです。

（詳細な人口データは省略）

教育

日吉町日置には、義務教育学校である日置市立日吉学園が設置されています。かつては、日吉中学校、日吉小学校、日置小学校、住吉小学校が設置されていました。

義務教育学校

日置市立日吉学園: 2021年4月1日に開校した義務教育学校。

中学校

日置市立日吉中学校: 1972年に日置中学校と吉利中学校が合併して設立。2021年3月31日に閉校。

小学校

日置市立日吉小学校: 2018年に旧日吉町の小学校が統合されて開校。2021年3月31日に閉校。

交通

道路

国道: 国道270号
県道: 鹿児島県道37号伊集院日吉線、鹿児島県道300号日置停車場線、鹿児島県道加世田日吉自転車道線。

鉄道（廃止路線）

鹿児島交通枕崎線: 上日置駅、日置駅。

バス

鹿児島交通: 伊集院・伊作、伊集院高校・加世田・枕崎、日置大橋 - 毘沙門など。

出身人物

寺師義信: 陸軍軍医中将、医師。
古川静夫: 官選佐賀県知事、官選愛媛県知事、大阪法務局長。
古垣鉄郎: ジャーナリスト、外交官。

参考文献

角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
日吉町郷土誌編さん委員会『日吉町郷土誌 上巻』日吉町長 野元春男、1983年。
日吉町郷土誌編さん委員会『日吉町郷土誌 下巻』日吉町長 野元春男、1988年。
鹿児島県総務部参事室『鹿児島県市町村変遷史』鹿児島県、1967年。
橋口兼古、五代秀堯、橋口兼柄 著、島津久光 編『三国名勝図会』薩摩藩、1843年。

関連項目

日置（曖昧さ回避ページ）

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