杉本信行

杉本信行：激動の時代を駆け抜けた外交官

杉本信行（すぎもと のぶゆき、1949年1月12日 - 2006年8月3日）は、日本の外交官です。京都府京都市で生まれ、1973年に京都大学法学部を卒業後、外務省に入省しました。中国語研修を受け、チャイナ・スクールとして活躍しました。入省試験では英語、フランス語に次いで中国語を第三希望としていましたが、当時の中国は文化大革命の最中であったため、当初は香港での研修を希望していました。しかし、上司の小倉和夫首席事務官に聞き入れられず、北京語言学院（現北京語言大学）での研修を開始しました。その後、教育内容に不満を感じ、再び香港での研修を希望しましたが、これも叶わず、遼寧大学に転学しました。

1977年7月には外務大臣官房付となり、同年9月にはダッカ日航機ハイジャック事件が発生し、日本国政府専用機でダッカへ向かう途中で軍事クーデターに遭遇するという経験もしました。1978年1月には外務省アジア局中国課に配属され、日中平和友好条約や尖閣諸島問題を担当しました。1979年には外務省経済協力局技術協力第一課に異動し、中国への円借款などに携わりました。

1987年2月からは、対共産圏輸出統制委員会日本政府代表として在フランス日本大使館一等書記官に就任しました。1989年に帰国後は、外務省経済局国際経済第一課経済安全保障室長として、引き続き対共産圏輸出統制委員会や安全保障貿易管理を担当しました。1991年には外務省経済協力局国際機構課長に就任し、経済協力開発機構（OECD）開発援助委員会に参加し、対中ODAなどに関わりました。

1998年からは3年間、二度目の北京赴任として在中華人民共和国日本大使館経済担当公使を務め、宮本雄二とともに活躍しました。2001年には上海総領事に就任し、上海総領事館員自殺事件の対応にあたりました。この事件の対応の経験を基に、著書『大地の咆哮』を執筆し、山本七平賞特別賞を受賞しました。

しかし、肺癌のため帰国し、2005年には財団法人日本国際問題研究所主任研究員に就任しましたが、翌2006年8月3日に57歳で亡くなりました。その生涯は、激動の国際情勢の中で日本の外交に尽力したものでした。

杉本信行の経歴

1973年：外務省入省
1974年：北京語言大学（旧北京語言学院）で研修
1975年：遼寧大学で研修
1976年：アメリカ合衆国で研修
1977年：外務省外務大臣官房付（調査部企画課勤務）
1978年：外務省アジア局中国課
1979年：外務省経済協力局技術協力第一課
1981年：外務省経済協力局技術協力第一課首席事務官
1983年：在中華人民共和国日本大使館一等書記官
1987年：対共産圏輸出統制委員会日本政府代表（在フランス日本大使館一等書記官）
1989年：外務省経済局国際経済第一課経済安全保障室長
1991年：外務省経済協力局国際機構課長
1993年：財団法人交流協会総務部長
1996年：欧州連合日本政府代表部公使
1998年：在中華人民共和国日本大使館経済担当公使
2001年：上海総領事
2005年：財団法人日本国際問題研究所主任研究員
2006年：死去、山本七平賞特別賞受賞

同期入省

杉本信行と同期で外務省に入省した人物には、以下のような人々がいます。

河野雅治（11年駐伊大使・09年駐露大使・07年外務審議官・05年総合外交政策局長）
塩尻孝二郎（11年EU大使・08年駐インドネシア大使・05年外務省大臣官房長）
天野万利（07年OECD事務次長）
塩崎修（08年駐ホンジュラス大使）
坂場三男（08年駐ベトナム大使・06年外務報道官・中南米局長）
伊藤哲雄（09年駐ハンガリー大使・05年駐カザフスタン大使）
加来至誠（11年駐ホンジュラス大使、07年駐エルサルバドル大使）
野川保晶（12年駐ニュージーランド大使、07年駐ミャンマー大使）
鈴木一泉（10年駐コロンビア大使）
並木芳治（10年駐コスタリカ大使）
中村滋（11年駐マレーシア大使・06年駐サウジアラビア大使・04国際情報統括官）
岩谷滋雄（10年駐オーストリア大使・07年駐ケニア大使）
鹿取克章（11年駐インドネシア大使・06年駐イスラエル大使）
黒田義久（10年駐ウズベキスタン大使）
塩口哲朗（11年駐ベネズエラ大使・08年駐ヨルダン大使・06年国際協力銀行理事・04年駐コートジボワール大使）
水野達夫（07年駐ネパール大使）
堀江正彦（07年駐マレーシア大使・04年駐カタール大使）
神谷武（11年駐パラグアイ大使・08年駐アルジェリア大使）
岡田眞樹（11年駐タンザニア大使・09年農畜産業振興機構理事）
小林正雄（11年駐ガボン大使・10年官房調査官）
佐藤博史（12年駐キューバ大使）
川原英一（13年駐グアテマラ大使）
吉田潤（13年駐モーリタニア大使）

著書

『大地の咆哮』PHP研究所, 2006.7
* 『大地の咆哮』(PHP文庫)PHP研究所, 2007.9


杉本信行は、激動の時代に外交官としてその才能を発揮し、国際社会の平和と安定に貢献しました。彼の功績は、後世に語り継がれるべきものです。

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