1983年の鉄道

1983年の鉄道

1983年（昭和58年）の日本における鉄道関連の主な出来事、すなわち新線・新駅の開業や路線の延伸・廃止、電化、ダイヤ改正、車両の登場など、鉄道を取り巻く様々な動きを月別にまとめます。

主な動き

この年は、都市圏での交通網拡充が活発に行われました。特に福岡都市圏では、日本国有鉄道（国鉄）筑肥線の大規模な改良と、福岡市交通局（福岡市地下鉄）1号線との相互直通運転が開始されたことが特筆されます。また、東京圏では帝都高速度交通営団（現・東京メトロ）有楽町線や西武鉄道西武有楽町線、埼玉新都市交通伊奈線といった新線・延伸が開業し、ネットワークが拡大しました。私鉄では京阪電気鉄道の昇圧、東武鉄道の路線廃止なども大きな話題となりました。

月ごとの出来事

1月
1月10日：国鉄石北本線の多数の駅（桜岡、伊香牛、中愛別、天幕、中越、奥白滝、上白滝、下白滝、瀬戸瀬、安国、金華、緋牛内、西女満別、呼人）が無人化されました。
1月20日：熊本市交通局の上熊本線に県立体育館前停留場が新設されました。
2月
2月8日：大阪市交通局（現・大阪市高速電気軌道）谷町線が大日駅まで1.8km延伸され、大日駅が開業しました。
3月
3月22日：国鉄筑肥線が大幅に改良・再編されました。
唐津～西唐津間（2.2km）と姪浜～唐津間（42.6km）が直流1500Vで電化されました。
筑肥線の姪浜駅付近が高架化されました。
東唐津～唐津間（3.3km）が延伸開業しました。
虹ノ松原～東唐津間のルートが移設されました。
和多田駅が新設され、東唐津駅が移設されました。
博多～姪浜間と東唐津～山本間の旧線が廃止されました。
廃止区間にあった筑前簑島駅、筑前高宮駅、小笹駅、鳥飼駅、西新駅、鏡駅、久里駅が廃止されました。
同日：福岡市交通局1号線（現・空港線）が姪浜～室見間（1.5km）、中洲川端～（仮）博多駅間（1.7km）で延伸開業。
姪浜駅、祇園駅、（仮）博多駅（現在の博多駅の一部）が開業しました。
国鉄筑肥線と福岡市地下鉄1号線との相互直通運転が開始されました。
4月
4月1日：国鉄志布志線の西都城～志布志間における貨物営業が廃止されました。
同日：仙台臨海鉄道に仙台西港線（仙台港～仙台西港間 2.5km）が開業し、仙台西港駅が開業しました。
4月27日：国鉄東北本線に自治医大駅が新設されました。
6月
6月1日：東武鉄道熊谷線（熊谷～妻沼間）が廃止され、熊谷、上熊谷、大幡、妻沼の各駅も廃止となりました。
6月5日：南海電気鉄道高野線の一部区間（千早口～天見間、紀見峠～御幸辻間）が複線化されました。橋谷信号所が廃止されました。
6月15日：名古屋鉄道美濃町線の新関～美濃間で昼間時間帯のワンマン運転が開始されました。
6月17日：神戸市交通局（現・神戸市営地下鉄）山手線が大倉山～新長田間（4.3km）で延伸開業し、大倉山駅、湊川公園駅、上沢駅、長田駅が開業しました。
6月21日：国鉄中央本線（中央東線）の小淵沢～信濃境間が複線化されました。
6月24日：帝都高速度交通営団（現・東京メトロ）有楽町線が営団成増～池袋間（9.3km）で延伸開業。営団成増、営団赤塚、平和台、氷川台、小竹向原、千川、要町の各駅が開業しました。
7月
7月5日：国鉄中央本線（中央東線）に新しいルート（岡谷～みどり湖～塩尻間 11.7km）が開業し、みどり湖駅が新設されました。従来の岡谷～辰野～塩尻間は支線化されました。
7月21日：東武鉄道野田線の新柏～増尾間が複線化され、新柏駅が新設されました。
同日：名古屋鉄道河和線に阿久比駅が新設されました。
8月
8月8日：国鉄関西本線に朝日駅が新設されました。
8月21日：名古屋鉄道瀬戸線の森下～矢田間が高架化され、これにより路線距離がわずかに延長されました。
9月
9月1日：国鉄瀬棚線の国縫～瀬棚間における貨物営業が廃止されました。
同日：近畿日本鉄道東信貴鋼索線（信貴山下～信貴山間）が廃止され、信貴山駅も廃止されました。
9月22日：山万ユーカリが丘線が中学校～井野～公園間（1.3km）で延伸開業し、井野駅が開業しました。
10月
10月1日：国鉄東北本線に土呂駅、大阪環状線に大阪城公園駅がそれぞれ新設されました。
同日：西武鉄道西武有楽町線（新桜台～小竹向原間 1.2km）が開業し、新桜台駅、小竹向原駅が開業しました。
西武有楽町線と営団有楽町線の間で相互直通運転が開始されました（当時は営団車両のみの運用）。
10月12日：国鉄中央本線の東塩尻信号場が廃止されました。
10月23日：国鉄白糠線（白糠～北進間）が廃止され、上白糠駅、共栄仮乗降場、茶路駅、縫別駅、上茶路駅、下北進駅、北進駅も廃止となりました。
11月
11月1日：国鉄日中線の喜多方～会津加納間における貨物営業が廃止されました。
11月15日：国鉄中央本線の平出信号場が廃止されました。
11月30日：近畿日本鉄道田原本線に佐味田川駅が新設されました。
12月
12月1日：国鉄鹿島線の鹿島神宮～北鹿島間における旅客営業が廃止されました。
同日：鹿島臨海鉄道鹿島臨港線の北鹿島～鹿島港南間における旅客営業が廃止され、鹿島港南駅が廃止、神栖駅での旅客扱いが廃止されました。
同日：西武鉄道拝島線の武蔵砂川～西武立川間が複線化されました。
12月4日：京阪電気鉄道の京阪本線、宇治線、交野線において、運転電圧が直流600Vから直流1,500Vに昇圧されました。
12月8日：国鉄日豊本線の柳ヶ浦～豊前長洲間が複線化されました。
12月12日：西武鉄道拝島線に武蔵砂川駅が新設されました。
12月22日：埼玉新都市交通伊奈線（大宮～羽貫間 11.6km）が開業し、大宮駅、大成駅、加茂宮駅、東宮原駅、今羽駅、吉野原駅、原市駅、沼南駅、丸山駅、志久駅、伊奈中央駅、羽貫駅が開業しました。
12月23日：東京都交通局（都営地下鉄）新宿線が東大島～船堀間（1.7km）で延伸開業し、船堀駅が開業しました。
12月31日：国鉄倉吉線の倉吉～西倉吉間における貨物営業が廃止されました。

主なダイヤ改正

1月22日：東京急行電鉄（現・東急電鉄）田園都市線の渋谷～長津田間で急行運転が開始されました。
3月22日：国鉄筑肥線と福岡市交通局1号線の相互直通運転が開始されました。
10月1日：西武有楽町線と営団有楽町線の直通運転が開始されました。
この他、名古屋鉄道などでもダイヤ改正が実施されました。

災害など

6月21日：豪雨により鹿児島交通枕崎線の伊集院～枕崎間が不通となりました（日置～加世田間は7月1日に運転再開）。

鉄道車両

この年には、以下の新たな形式の車両が登場しました。

国鉄：DD17形ディーゼル機関車、713系電車、キハ37形気動車、チサ9000形貨車、ホサ8100形貨車
私鉄・公営：西武3000系電車、東武10000系電車、営団01系電車、江ノ島電鉄1200形電車、京阪6000系電車、近鉄6600系電車、南海30000系電車、広島電鉄800形電車（2代）

また、東京急行電鉄から上田交通へクハ290形、三岐鉄道から高松琴平電気鉄道へ1013・1063形が譲渡されました。

一方、以下の形式の車両が姿を消しました。

国鉄：EF10形電気機関車、ホラ100形貨車、タム600形貨車など多数の貨車形式
私鉄・公営：東武キハ2000形気動車、京阪600系電車（2代）、1300系電車

受賞

第26回ブルーリボン賞：京浜急行電鉄2000形電車
第23回ローレル賞：国鉄200系新幹線電車、熊本市交通局8200形電車

1983年は、広範な地域で鉄道網の近代化や拡充が進み、新しい車両が登場するなど、多くの動きがあった年と言えます。

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