東北大学大学院理学研究科・理学部

東北大学大学院理学研究科・理学部の歴史と伝統

東北大学大学院理学研究科と理学部は、1911年に東北帝国大学理科大学として設立された歴史ある研究機関です。設立当初から「研究第一」と「門戸開放」を理念に掲げ、学問研究に専念できる環境と、多様な人材を受け入れる開かれた教育体制を築いてきました。

その歴史は、1906年に古河財閥による多額の寄付金提供という支援から始まりました。当初は札幌に理工科大学を設置する案もありましたが、東北地方選出の国会議員の働きかけにより、仙台への理科大学設置が決定しました。これは、東北地方の学術・産業発展に大きな転機をもたらす出来事でした。

1911年、数学科、物理学科、化学科、地質学科の4学科からなる理科大学が開設されました。建設資金には、古河財閥からの寄付金に加え、宮城県からの寄付金なども活用されました。教授候補たちは、理科大学完成までの間、欧州各地に留学し、最新の研究動向を学び、パリで教授会を開催するなど、万全の準備を整えました。

特筆すべきは、1913年に日本で初めて女子学生を受け入れたことです。黒田チカ氏（化学科）、牧田らく氏（数学科）、丹下梅子氏（化学科）の3名が、文部省からの警告を押し切って入学を許されました。この出来事は、日本の高等教育における女性進学の歴史に大きな足跡を残しました。黒田チカ氏はのちにお茶の水女子大学名誉教授となり、丹下梅子氏は日本女子大学教授として活躍しました。

その後、1919年に理科大学は理学部に改組され、1922年には生物学科、1934年には天文学講座が設置されるなど、学科の拡充が続けられました。1945年には地球物理学科、翌年には地理学科が設立され、学問分野の多様化が進みました。地質学科は、1924年に地質古生物学科と岩石鉱床学科に分離され、1949年には地学専攻に統合されるなど、学科・専攻の再編も行われてきました。1953年には大学院理学研究科が設置され、本格的な大学院教育が始まりました。

1995年の大学院重点化を経て、現在では理学部と大学院理学研究科は、数学、物理、化学、地球科学、生物の5つの分野を専門とする学科・専攻を擁する、国内屈指の規模と研究水準を誇る研究教育機関として発展を続けています。

東北大学理学部・大学院理学研究科の学科・専攻

東北大学理学部は、2022年現在、以下の学科・専攻で構成されています。入学定員は324名です。

数学系
数学科・数学専攻

物理系
物理学科・物理学専攻
宇宙地球物理学科・天文学専攻
宇宙地球物理学科・地球物理学専攻

化学系
化学科・化学専攻

地球科学系
地圏環境科学科・地球惑星物質科学科・地学専攻
地圏環境科学科・地学専攻

生物系
生物学科

過去には、地質学科、応用化学科、地学科地理学科、天文及び地球物理学第二学科、化学第二学科、物理学第二学科など、現在はない学科・専攻もありました。

著名な出身者

東北大学理学部・大学院理学研究科からは、多くの著名な研究者、政治家、実業家などが輩出されています。以下はその一部です。

政治・行政：海野三朗、大木章一、大越隆三、興直孝、神谷明彦、斎藤錬一、須田皖次、孫耕暁、髙島喜一、飛田幹男、野村竜一、羽鳥光彦、村上広史、山岸米二郎、八代五郎造など

経済：池口正剛、大島孝一、小秋元隆輝、柴田勝太郎、嶋村輝郎、田中壽一、村上東など

研究：青木謙一郎、青野茂行、赤祖父俊一、赤堀四郎、浅野清、荒川泓、飯島澄男、生田茂、池谷和信、石井武比古、石川正道、石渡明、稲場文男、今井丈夫、井村久則、井龍康文、岩崎信、枝松圭一、海老原敬吉、大内正己、大栗博毅、大越慎一、大谷栄治、大野かおる、尾形輝太郎、荻野博、小原一成、柿崎明人、角谷静夫、風間計博、加藤陸奥雄、加藤愛雄、菅野文友、金田康正、茅誠司、川添良幸、河田喜代助、川端善一郎、菊田多利男、木羽敏泰、久保田尚志、久保野茂、栗原康、郡司ペギオ幸夫、黒田武彦、黒田チカ、小竹無二雄、後藤和久、後藤秀弘、小松英一郎、今野一宏、佐藤勇、佐藤繁、斎藤靖二、佐川宏行、佐藤比呂志、佐々木力、澤田安樹、下遠野邦忠、寒川旭、島田周平、白井俊明、須賀利雄、杉浦直、鈴木厚人、鈴木邦雄、鈴木俊法、鈴木治夫、鈴木仁、蘇歩青、平朝彦、武井武、竹崎正道、田中智、田所芳秋、田中正之、玉手英利、武村雅之、田中幹子、田村俊和、丹下梅子、千葉喜彦、陳建功、𡈽山明、遠田晋次、戸部博、富田芳郎、冨山保、永海佐一郎、長尾巧、中込良廣、中島映至、長濱裕幸、二階堂副包、西平守孝、西村卓也、西山善次、花輪公雄、橋本宇一、長谷川政美、林隆夫、樋渡宏一、平間正博、藤瀬新一郎、星野敏雄、保尊隆享、本間三郎、伊達宗行、遠山啓、中澤高清、中島英彰、野口誠之、野家啓一、野副鉄男、長谷川昭、早坂忠裕、彦坂忠義、日比忠俊、平野博之、廣芝伸哉、廣根徳太郎、福村裕史、前田信代、真島正市、増原宏、松生義勝、松澤暢、松田達郎、松本重貴、丸山儀四郎、水木純一郎、宮内崇裕、森本治枝、森田裕一、諸井健夫、安田喜憲、谷田貝光克、柳川弘志、柳澤嘉一郎、山田延男、山田泰広、山本義一、吉井譲、吉原賢二、渡邊邦夫、渡部重十、渡邉信、渡辺万次郎、渡辺芳人など

教育：佐々木淳など

技術・文化：嶋正利、長谷川敦士、大道卓、円城塔、嶋中潤、中原涼、松崎有理、小池光、島田紀夫、青木貞伸、石川慶、児玉裕一など

アナウンサー・気象予報士：江幡平三郎、上原諒など

これらの名前はほんの一部であり、東北大学理学部・大学院理学研究科は、日本の科学技術、文化の発展に多大に貢献してきたと言えるでしょう。

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