キラー・ブルックス

キラー・ブルックス：狂乱のヒールレスラーの生涯

キラー・ブルックス（本名：ティモシー・ポール・ブルックス、1947年12月4日 - 2020年6月30日）は、アメリカ合衆国テキサス州出身のプロレスラーである。1944年生まれという説もある。

火のついた葉巻をくわえ、動物の骨を振りかざして入場するブルックスは、観客を熱狂させる強烈なヒールとして知られていた。その試合スタイルは、殴る、蹴るといったラフプレーに加え、凶器を用いた反則攻撃を駆使するもので、まさに狂乱のファイターと呼ぶにふさわしかった。常に観客の激しいブーイングを浴びながらも、独特の存在感を放ち、多くのプロレスファンを魅了した。

プロレスラーとしてのキャリア

1960年代後半、従兄弟であるディック・マードックの誘いを受けプロレスラーとしてデビュー。テキサス州ダラス地区を本拠地としてキャリアをスタートさせ、その後、ザ・シークが勢力を伸ばしていたデトロイト地区にも進出。フレッド・カリー、タイガー・ジェット・シン、ザ・ストンパーなど、当時のスターレスラーたちと数々の激闘を繰り広げた。ベビーフェイス陣営との対戦だけでなく、シークやジョージ・スティールといったヒールレスラーとのタッグを組むこともあった。

1972年には初来日を果たし、日本プロレスのワールドリーグ戦に出場。ゴリラ・モンスーン、アブドーラ・ザ・ブッチャーらと共闘し、日本のプロレスファンに強烈な印象を残した。その後も全[[日本プロレス]]など、日本の複数の団体に参戦。常に観客を沸かせ、その存在感は日本マットにおいても際立っていた。

デトロイト地区では、ザ・シーク率いる団体から選手を引き抜き、新団体を設立するクーデターを起こした。このレスリング・ウォーは、NWAという後ろ盾を持つシークに軍配が上がり、ブルックスはオハイオ州に移転したが、結局新団体を離脱することとなった。この新団体は後にIWAとして発展する母体となったことは特筆すべき点である。

テキサスに戻ったブルックスは、レイ・スティーブンスらと共闘してドリー・ファンク・ジュニアやテリー・ファンクと抗争。NWA世界ヘビー級王座にも挑戦するなど、トップレスラーとしての地位を確固たるものにしていった。また、スタン・ハンセンとのタッグではNWAテキサス・タッグ王座を獲得するなど、数々のタイトルを獲得した。

1977年にはカナダのスタンピード・レスリングに進出し、北米ヘビー級王座を獲得。同年には国際プロレスに登場し、常連外国人ヒールとして活躍。ラッシャー木村のIWA世界ヘビー級王座に幾度となく挑戦し、チェーン・デスマッチなど、過激な試合を展開した。アニマル浜口&マイティ井上組とのIWA世界タッグ王座戦など、多くのタイトルマッチを経験している。

国際プロレス以外にも、パシフィック・ノースウエスト・レスリングではロディ・パイパーとタッグを組み、NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座を争うなど、アメリカ各地で活躍。シングルでは、ジェシー・ベンチュラやアンドレ・ザ・ジャイアントとデスマッチで対戦するなど、そのキャリアは多岐に渡る。

1980年代には、全[[日本プロレス]]を主戦場とし、チャンピオン・カーニバルにも出場。ブルーザー・ブロディとタッグを組み、長州力&谷津嘉章組と対戦するなど、日本マットで大きな存在感を示し続けた。

アメリカでは、ジョージア・チャンピオンシップ・レスリング、サウスウエスト・チャンピオンシップ・レスリングなど、様々な団体で活躍。NWAナショナル・ヘビー級王座、SCWサウスウエスト・ヘビー級王座などを獲得し、その実力を改めて証明した。

古巣のダラスのWCCWでは、マーク・ルーイン、ワンマン・ギャングと組んでNWA世界6人タッグ王座を獲得。新[[日本プロレス]]のIWGPリーグ戦にも参戦するなど、精力的に活動を続けた。

1988年には、NAWAというプロレスリング・スクール兼任のインディー団体を設立し、若手選手の育成にも携わる。NAWA出身者には、ブルマン・ダウンズ、クリス・クロニックなどがいる。

1997年に引退した後も、NAWAの責任者兼ヘッドトレーナーとして、後進の育成に尽力した。

2020年、癌のため72歳で死去。

得意技と獲得タイトル

ブルックスの得意技は、ギロチン・ドロップ、エルボー・ドロップ、エルボー・バットなど。しかし、彼の代名詞は、噛みつき、かきむしりといった反則攻撃と凶器攻撃であった。

数々の団体で活躍したブルックスは、NWAテキサス・ヘビー級王座、NWAテキサス・タッグ王座、北米ヘビー級王座、NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座、NWAナショナル・ヘビー級王座、SCWサウスウエスト・ヘビー級王座など、数多くのタイトルを獲得している。

キラー・ブルックスは、まさに時代を駆け抜けた、伝説的なヒールレスラーであったと言えるだろう。彼の残した功績は、プロレス史に永遠に刻まれるであろう。

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