ピアノ曲

ピアノ曲とは

ピアノ曲とは、ピアノという楽器で演奏するために作られた楽曲の総称です。その歴史は、ピアノという楽器の発展とともに、様々な作曲家によって多彩な表現が生み出されてきました。クラシック音楽からポピュラー音楽、ジャズまで、幅広いジャンルで多くのピアノ曲が親しまれています。

クラシック音楽におけるピアノ曲

クラシック音楽の分野では、数多くの優れたピアノ曲が作曲されてきました。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、リストなど、多くの作曲家がピアノという楽器の可能性を追求し、独創的な作品を残しています。

主な作曲家と作品

以下に、特に有名な作曲家と代表的なピアノ作品を、作曲家の生年順に紹介します。

1756年 モーツァルト - きらきら星変奏曲、幻想曲ハ短調
1770年 ベートーヴェン - エリーゼのために、6つのバガテル、エコセーズ
1797年 シューベルト - 楽興の時、即興曲D899とD935
1806年 ブルグミュラー - 25の練習曲（「貴婦人の乗馬」など）
1809年 メンデルスゾーン - 無言歌（「春の声」など）、厳格な変奏曲
1810年 シューマン - 謝肉祭、クライスレリアーナ、幻想曲、子供の情景（「トロイメライ」など）、森の情景（「予言の鳥」など）
1810年 ショパン - 小犬のワルツ、英雄ポロネーズ、幻想ポロネーズ、幻想即興曲、24の前奏曲（「雨だれ」など）、練習曲（「別れの曲」、「革命のエチュード」など）
1811年 リスト - パガニーニによる大練習曲（「ラ・カンパネッラ」など）、愛の夢、超絶技巧練習曲（マゼッパなど）、ハンガリー狂詩曲、3つの演奏会用練習曲（「ため息」など）、巡礼の年（「ダンテを読んで」「エステ荘の噴水」など）、コンソレーション、メフィスト・ワルツ
1813年 アルカン - 鉄道、長調による12の練習曲、短調による12の練習曲
1830年 ランゲ - 花の歌
1833年 ブラームス - ハンガリー舞曲、2つのラプソディー
1837年 バラキレフ - イスラメイ
1838年 バダジェフスカ - 乙女の祈り
1839年 ムソルグスキー - 展覧会の絵
1841年 ドヴォルザーク - スラヴ舞曲、ユーモレスク
1843年 グリーグ - 抒情小曲集
1843年 フォーレ - 夜想曲など
1860年 アルベニス - イベリア
1862年 ドビュッシー - ベルガマスク組曲（「月の光」など）、喜びの島、アラベスク、子供の領分、前奏曲集、映像、練習曲
1866年 サティ - ジムノペディ、グノシエンヌ、神秘的なページ（ヴェクサシオンなど）、ジュ・トゥ・ヴー
1872年 スクリャービン - 練習曲、幻想曲、左手のための夜想曲、焔に向かって
1873年 ラフマニノフ - 前奏曲、音の絵、楽興の時、ピアノ協奏曲第1番・第2番・第3番
1875年 ラヴェル - 水の戯れ、クープランの墓、マ・メール・ロワ、亡き王女のためのパヴァーヌ、高雅で感傷的なワルツ、古風なメヌエット、夜のガスパール、鏡、ハイドンの名によるメヌエット
1881年 バルトーク - ルーマニア民俗舞曲、ミクロコスモス、アレグロ・バルバロ
1881年 ストラヴィンスキー - ペトルーシュカからの3楽章
1882年 シマノフスキ - マズルカ
1891年 プロコフィエフ - トッカータ
1897年 タンスマン - マズルカ集、ピアノ協奏曲第2番など
1898年 ガーシュウィン - 3つの前奏曲
1906年 メシアン - 音価と強度のモード、鳥のカタログ、幼子イエスに注ぐ20の眼差し
1912年 ケージ - 4分33秒
1923年 リゲティ - 練習曲
1928年 シュトックハウゼン - ピアノ曲I - XI
1930年 武満徹 - 閉じた眼

ピアノ以前の鍵盤楽器の楽曲

ピアノが普及する以前の18世紀後半以前には、チェンバロやクラヴィコードといった鍵盤楽器のために多くの楽曲が作曲されました。これらの楽曲も、現在ではピアノで演奏されることが多く、ピアノ曲として親しまれています。

1668年 F.クープラン - 修道女モニカ
1683年 ラモー - 鳥のさえずり、タンブーラン
1685年 J.S.バッハ - 平均律クラヴィーア曲集、インヴェンションとシンフォニア
1685年 ヘンデル - 愉快な鍛冶屋
1685年 スカルラッティ - 多数のソナタ
1694年 ダカン - かっこう

ピアノの練習曲

ピアノの練習曲は、演奏技術の向上を目的として作曲された楽曲です。指の訓練、音階、アルペジオ、リズムなど、様々な技術要素を習得するために用いられます。ブルグミュラー、ツェルニー、ショパンなど、多くの作曲家が練習曲を作曲しました。

片手のためのピアノ曲

片手のためのピアノ曲は、右手または左手のみで演奏する楽曲です。片手の強化や、障害によって片手が使えない人のために作曲されました。音域や演奏効果の観点から、左手のみで演奏する曲が多いのが特徴です。ブラームス、スクリャービン、ラヴェルなどが著名な作品を残しています。

ブラームス：左手のためのシャコンヌ（J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ ニ短調BWV1004より）
スクリャービン：左手のための前奏曲と夜想曲 作品9
ラヴェル：左手のためのピアノ協奏曲

複数手のためのピアノ曲

4手連弾や6手、8手のためのピアノ曲はよく知られていますが、3手や5手のためのピアノ曲も存在します。これらの楽曲は、複数人数での演奏を前提に作られており、独特の音楽的な面白さがあります。

日本人作曲家によるピアノ曲

日本においても、数多くの作曲家がピアノ曲を作曲してきました。瀧廉太郎、山田耕筰、諸井三郎、早坂文雄など、多くの才能ある作曲家たちが、ピアノという楽器を通して多様な音楽表現を追求してきました。

1900年 瀧廉太郎 - メヌエット
1903年 瀧廉太郎 - 憾
1903年 山田耕筰 - New Year‘s Eve
1905年 沢田柳吉 - 元旦ポルカ
1907年 山田耕筰 - ガヴォット
1908年 山田耕筰 - 憧憬の歌

（以降、1969年までの日本人作曲家によるピアノ曲リストは省略）

日本人作曲家によるピアノ協奏曲

多くの日本人作曲家が、ピアノ協奏曲も作曲しました。諸井三郎、大澤壽人、伊福部昭など、多彩な才能がピアノとオーケストラの魅力を引き出しています。

1927年 諸井三郎 - ピアノ協奏曲 ヘ短調
1933年 諸井三郎 - ピアノ協奏曲 ハ長調
1933年 細川碧 - ピアノ協奏曲 ハ長調

（以降、1969年までの日本人作曲家によるピアノ協奏曲リストは省略）

ジャズ・ポピュラー音楽におけるピアノ曲

ジャズやポピュラー音楽の分野でも、ピアノは重要な役割を果たしています。ジャズピアニストによるソロ演奏や、ポピュラー音楽におけるピアノ伴奏など、様々な形でピアノの音色が親しまれています。

関連情報

ピアノ小品
性格的小品

外部リンク

* 「ピアノ曲について調べる」（桐朋学園大学附属図書館） - レファレンス協同データベース

もう一度検索