林俊雄

林俊雄

林俊雄（はやし としお、1949年3月 - ）は、日本の歴史学者・考古学者であり、中央ユーラシアの歴史と考古学を専門としています。創価大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫 研究部研究員。

略歴

東京都中野区出身。桐朋学園高等学校を経て、東京教育大学（現・筑波大学）文学部史学方法論専攻に進学。考古学を専攻し、1972年に卒業。その後、東京大学大学院人文科学研究科東洋史学科に進み、1979年に博士課程を単位取得退学。

1979年4月、古代オリエント博物館研究員に就任。1985年5月には主任研究員に昇進しました。1991年4月に創価大学文学部助教授となり、1994年に教授に昇格。2019年に創価大学を退任し、名誉教授となりました。現在は公益財団法人東洋文庫 研究部研究員として研究活動を続けています。

業績

林俊雄氏は、中央ユーラシアの歴史と考古学、特に遊牧民の文化や社会に関する研究で知られています。スキタイ、匈奴、突厥、ウイグルといった遊牧国家の成立や発展、文化交流について、考古学的な発掘調査や文献研究を通じて、多角的に考察しています。

著作

単著

『ユーラシアの石人』〈ユーラシア考古学選書〉（雄山閣 2005 / 第2版 2019）
『グリフィンの飛翔：聖獣からみた文化交流』〈ユーラシア考古学選書〉（雄山閣 2006）
『スキタイと匈奴 遊牧の文明』〈興亡の世界史 2〉(講談社 2007)
『スキタイと匈奴 遊牧の文明』〈興亡の世界史〉(講談社学術文庫 2017)
『遊牧国家の誕生』〈世界史リブレット 98〉（山川出版社 2009）

共著・編著

『シルクロード歴史地図』（林俊雄 構成・解説, 加藤九祚監修, 池崎功イラスト, 新時代社 1982 )
『内陸アジア・西アジアの社会と文化』（護雅夫編, 山川出版社 1983 ）|「匈奴における農耕と定着集落」
『中央ユーラシアの世界』〈民族の世界史 4〉（護雅夫・岡田英弘編, 山川出版社 1990 ）「草原の民：古代ユーラシアの遊牧騎馬民族」25-58頁.
『騎馬民族の謎』（江上波夫・佐原真・埴原和郎・小貫雅男・陳舜臣共著, 読売新聞大阪本社編, 學生社 1992 ）
『日本と世界の考古学：現代考古学の展開』（岩崎卓也先生退官記念論文集編集委員会編, 雄山閣 1994 ）「北方ユーラシアの火打金：ウラル以東」352-369頁.
『地球と文明の画期』〈講座 文明と環境 2〉（伊東俊太郎・安田喜憲編, 朝倉書店 1996 ）新装版 2008年 4.7「草原遊牧文明は成立するか？」160-171頁.
『文明の危機：民族移動の世紀』〈講座 文明と環境 5〉（安田喜憲共編, 1996 ）新装版 2008年 2.2「遊牧騎馬民族スキタイの侵入」35-48頁.
『歴史と気候』〈講座 文明と環境 6〉（吉野正敏・安田喜憲編, 1995 ）新装版 2008年 4.1「フン族あらわる」78-92頁.
『中華の形成と東方世界‐2世紀』〈岩波講座 世界歴史 3〉（樺山紘一ほか編, 岩波書店 1998 ）「草原遊牧文明論」125-149頁.
『世界美術大全集 東洋編 15 中央アジア』(田辺勝美・前田耕作編, 小学館 1999 )「草原遊牧民の美術」56-72頁, 336-351頁.
『中央ユーラシアの考古学』〈世界の考古学 6〉（藤川繁彦編, 同成社 1999 ）第5章「草原世界の展開：中世の中央ユーラシア」263-339頁.
『中央ユーラシア史』〈新版 世界各国史 4〉（小松久男編, 山川出版社 2000 ）第1章「草原世界の展開」15-88頁.
『生産と流通』〈岩波講座 天皇と王権を考える 3〉(網野善彦ほか編, 岩波書店 2002 )「遊牧民族の王権：突厥・ウイグルを例に」115-139頁.
『北アジアにおける人と動物のあいだ』（小長谷有紀編, 東方書店 2002 ）「ユーラシア草原における馬の埋納遺跡（スキタイ時代以前）」103-157頁.
『古代王権の誕生』III：中央ユーラシア・西アジア・北アフリカ編（角田文衞・上田正昭監修, 角川書店 2003 ）第1部第3章「中央ユーラシア遊牧民の古墳から見た王権の成立と発展」46-69頁.
『鍑(ふく)の研究：ユーラシア草原の祭器・什器』〈ユーラシア考古学選書〉（草原考古研究会編、雄山閣 2011 ）「フン型鍑」341-382頁.
『環境変動と人間』〈中央ユーラシア環境史 1〉（窪田順平監修・奈良間千之編, 臨川書店 2012 ）「ユーラシアにおける人間集団の移動と文化の伝播」164-208頁.
『テュルクを知るための61章』〈エリア・スタディーズ 148〉（小松久男編著, 明石書店 2016 ）「ビザンツ史料に見えるテュルク：テュルクの外交感覚」189-193頁.
『中央ユーラシア史研究入門』（小松久男・荒川正晴・岡洋樹編, 山川出版社 2018 ）第1章「騎馬遊牧民の誕生と発展：スキタイ時代から突厥・ウイグルまで」17-32頁.
『ユーラシアのなかの宇宙樹・生命の樹の文化史』〈アジア遊学 228〉（山口博監修・正道寺康子編, 勉誠出版 2018 ）「ユーラシ草原文化と樹木」47-61頁.
『ユーラシアの大草原を掘る：草原考古学への道標』〈アジア遊学238〉（草原考古研究会編, 勉誠出版 2019 ）「草原考古学とは何か：その現状と課題」7-35頁.
『中央アジアの歴史と現在：草原の叡智』〈アジア遊学 243〉（松原正毅編, 勉誠出版 2020 ）「中央アジアにおける土着信仰の復権と大国の思惑：考古学の視点から」
『日本の古墳はなぜ巨大なのか：古代モニュメントの比較考古学』（国立歴史民俗博物館・松木武彦・福永伸哉・佐々木憲一 編, 吉川弘文館 2020 ）「ユーラシア草原の大型墳墓：草原の古墳時代」20-53頁.
『神話世界と古代帝国』〈アジア人物史 1〉（姜尚中総監修・青山亨ほか編, 集英社 2023 ）第8章「遊牧国家の君主はこうあらねばならぬ - 冷酷にして寛大、先読みは鋭く」445-506頁.
『中央ユーラシア文化事典』（編者代表 小松久男, 梅村坦・坂井弘紀・前田弘毅・松田孝一共編, 丸善出版 2023 ）

雑誌論文

古代オリエント博物館紀要
「鮮卑・柔然における農耕と城塞」第5号 1983年, 377-394頁.
"Agriculture and Settlements in the Hsiung-nu" 第6号 1984年, 51-92頁.
"The Development of a Nomadic Empire: The Case of Ancient Turks (Tuque)" 第11号 1990年, 135-184頁.
"Discoveries and Investigations of the Barrows in the Ili Basin"（張玉忠著, 林俊雄訳）第21号 2000年, 37-64頁.
林俊雄「掠奪・農耕・交易から觀た遊牧國家の發展 : 突厥の場合」『東洋史研究』第44巻第1号、東洋史研究會、1985年6月、110-136頁
金大考古
林俊雄「中国史料から見た匈奴の城塞と農耕」『金大考古』第77巻、金沢大学人文学類考古学研究室、2019年12月、102-106頁
林俊雄「フン時代の[考古学]：赤色石象嵌製品の考察」『金大考古』第81巻、金沢大学人文学類考古学研究室、2022年12月、75-89頁
林俊雄「フン時代の[考古学] : フン型鍑」『金大考古』第82巻、金沢大学人文学類考古学研究室、2023年3月、33-47頁

翻訳

『ユーラシア』（加藤九祚監修, 伊東一郎と共編, 新時代社）
新1号 1983年 「中央アジアにおけるウマ信仰」79-105頁.
新2号, 1985年 「『李陵の宮殿』、あるいは一つの伝説の終り」2-22頁,「中世ロシアの絹織物」109-127頁,「日本石器時代の旅」128-131頁.
『世界考古学大図典』(田辺勝美監訳, 同朋舎 1987)「スキタイとユーラシア草原」ヴェロニック・シルツ著, 210-225頁.
編訳『中世初期ユーラシア草原における馬具の発達』〈馬の博物館叢書〉（根岸競馬記念公苑編, 馬事文化財団 1988）
翻訳・監修『ウクライナの至宝展：スキタイ黄金美術の煌めき』（ブレーントラスト編, 2011）

エッセイ

コラム〈歴史の風〉「忘れがたいあの一言」『史学雑誌』第130編 第9号（史学会編, 山川出版社 2021）38-40頁.

外部リンク

林俊雄（教授）/ 創価大学HP - ウェイバックマシン（2018年9月29日アーカイブ分）
林 俊雄 - researchmap
林 俊雄 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
* 草原考古研究会

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