京都の鞍馬寺が運営する鞍馬山鋼索鉄道は、宗教法人が手掛ける日本で唯一の鉄道です。全長0.2kmと日本一短く、鞍馬寺への参拝者が利用。運賃は実質寄付金となっており、独自の運行形態と歴史を持つユニークなケーブルカーです。
青森県外ヶ浜町の青函トンネル記念館が運営するケーブルカーです。地上の記念館駅から地下の体験坑道へ至り、元々は青函トンネル建設用の斜坑を利用。非常時の避難経路も兼ね、鉄道事業法に基づき運行。世界最深の地下駅を持つ、トンネルの歴史と技術を体感できる貴重な乗り物です。
福岡県北九州市にある皿倉山を登るケーブルカー。正式名称は帆柱ケーブル線で、皿倉登山鉄道が運営しています。約440mの高低差を約6分で結び、天井まで窓の新車両からの眺望や夜景が魅力です。
屋島ケーブルは、かつて香川県高松市の屋島登山口駅と山上駅を結んでいたケーブルカー路線です。屋島山上の観光地への重要なアクセス手段でしたが、観光客の減少と経営難により2005年に廃止されました。その歴史と現状は、地域の観光史を伝えるものです。
京都府宮津市にある丹後海陸交通のケーブルカー路線。日本三景・天橋立の観光や成相山成相寺への参詣ルートの一部を担います。府中駅から傘松駅間を結び、短い距離ながら急勾配を克服。リフトも併設されており、年間を通じて多くの人が利用します。
大分県別府市にある遊園地「ラクテンチ」を結ぶケーブルカー路線。1929年開業の歴史を持ち、急勾配を克服して訪問客を運ぶ。車両は何度かデザインが変更されており、特に台車は日本最古級として知られています。地元住民の生活路線としての役割も併せ持ちます。
徳島県海部郡の美波町と牟岐町にまたがる五剣山（ごけんざん）は、標高638.2mの山。山頂が五つの峰に分かれていることが名の由来。日和佐川上流と橘川に挟まれた山稜に位置し、砂岩が露出した断崖も特徴。地域の歴史を記す文献にも登場する。
1975年に公開された日本のドキュメンタリー映画。監督は“日本のヤコペッティ”と呼ばれた井出昭。長年にわたり監督自身が戦地のベトナムで撮影した膨大な映像を基に、ベトナム戦争の総集編として編まれた。その内容は公開当時、評価が分かれた。
日本の脚本家、映画監督。東映入社後、「女番長シリーズ」で脚本家として成功を収める。監督デビューも果たしたが、その後はテレビ時代劇の脚本・演出で活躍。東映を退社し家業の中華料理店を継承した異色のキャリアを持つ。
1972年公開の日本映画『女番長ゲリラ』は、「女番長シリーズ」の第3作。鈴木則文が監督を務め、主演が杉本美樹に交代した一方、前作までの主演を務めた池玲子も共演。スケバンたちの抗争を描く。シリーズの転換点とも位置づけられる一作。
1974年に公開された『女番長シリーズ』の最終作。主演女優の叶優子が撮影中に重傷を負ったため製作が一時中断、公開が延期されたが、復帰後に完成。シリーズの掉尾を飾る一編となった異色の作品。
1973年公開、東映『女番長シリーズ』の第5作。不良少女たちが収容された感化院を舞台に、厳しい規律からの脱走を目指す姿を描く。杉本美樹主演、豪華キャストが集結。シリーズ中でも異色の設定が光る青春アクション映画。
1974年1月15日に公開された日本映画で、『女番長シリーズ』の第6作として知られています。当初予定されていた公開順序が、別の作品の主演女優の負傷によって変更されたという特殊な経緯を持つ一作。池玲子ら多くのキャストが出演。
1952年新潟県生まれの女優、丘ナオミ。東映でデビュー後、日活ロマンポルノを中心に活躍。丘奈保美、岡尚美など数回の改名を経て、ピンク映画や一般作品にも出演し、助演女優賞も受賞した実力派。
日本の女優、歌手、タレント。幼少期から活動を始め、須藤リカ、立原和美など芸名を変遷。東映の女番長映画や人気番組『ウィークエンダー』のレポーターとして知られ、歌手としてもアニメ主題歌などを手掛けた多才な人物。
飯塚書店（いいづかしょてん）は、俳句、短歌、川柳といった短詩型文学の書籍を主に扱う出版社。1948年の創業以来、国内外の詩歌作品に加え、20世紀の革命的な詩人たちの翻訳や著名な外国文学の著作集も多数刊行し、日本の文学界に貢献している。
チャンス青木（青木博志、1943/44-2016）は、漫才協会理事として浅草の舞台を支えたお笑い芸人。Wチャンス結成後、漫談家として活躍。ナイツがネタにする「浅草の師匠」の一人として知られ、後進の育成にも尽力。心不全により72歳で逝去。
日本のお笑い芸人、タレント、実業家。本名・金子載。東京都出身。テレビ番組『TVチャンピオン』のカレー選手権での活躍で知られ、カレー関連のコメンテーターや商品プロデュース、飲食店の経営も行う。また、芸能事務所ゴールデンチャイルドプロダクションの代表も務めるなど、多岐にわたる分野で活動している。
日本の脚本家（1923-1991）。五社英雄監督作品で頭角を現し、『三匹の侍』の成功で知られる。テレビドラマ、特撮、アニメ、映画と多岐にわたり活躍。特に円谷プロダクション作品のメインライターとして多くの人気番組を手がけた。日本シナリオ作家協会功労賞を受賞した、テレビ黄金期を支えた一人。
歌舞伎役者が代々使用する名跡の一つ。江戸時代初期から存在が確認され、近代以降は中村翫右衛門家にゆかりのある人物や、五代目・六代目中村歌右衛門門下、前進座参加者などが襲名。多様な背景を持つ俳優に受け継がれた歴史ある名跡。
「イレギュラー」は、英語で「不規則な」「変則的な」を意味する言葉。野球ではイレギュラーバウンドの略として、ゲーム『ロックマンX』シリーズでは危険なレプリロイドを指す名称として、また楽曲タイトルとしても使われる。通常とは異なる、予期せぬ状態や存在を表す多義的な言葉です。
1976年に日活ロマンポルノとして公開された、長谷部安春監督作品。衝動的な殺人を犯した若い男女が、やがてその行為から倒錯的な快楽を見出し、連続殺人へと走る姿を描く。人間の暗部と破滅を描いた衝撃作であり、後の「快楽殺人」をテーマとする作品に通じる一面も持つ。国内外で上映される機会もあった。
1973年にフジテレビ系列で放送された全9回の時代劇『戦国ロック はぐれ牙』。戦乱の世を舞台に、凄腕の女剣士「はぐれ牙」冴が孤高の戦いを繰り広げるアクション作品。梶芽衣子主演作として期待されたが、短命に終わり、現在ソフト化もされていない幻のドラマ。
1969年に日活が製作、長谷部安春が監督を務めたアクション映画『広域暴力 流血の縄張』。小林旭主演。警察の圧力で偽装解散した広域暴力団の生き残りが、かつての仲間たちの妨害に立ち向かう様を描く。
「俺の血が騒ぐ」（おれのちがさわぐ）は、1961年に封切られた日本の海洋アクション映画です。若きスター赤木圭一郎が主演を務め、父親を殺害された主人公が復讐を誓い、危険な密輸船の世界へ足を踏み入れる姿を描きます。兄弟、そして婚約者との複雑な人間模様がサスペンスフルに展開するドラマです。
五木寛之の同名小説を原作とする1994年の日本映画。モータージャーナリストの主人公が、謎多き美術工芸鑑定家と出会ったことから始まる運命的な物語を描く。惹かれ合う二人の関係は、周囲の警告や過去の因縁、そして予期せぬ悲劇によって激しく揺さぶられていく。
昭和期に日本の映画・テレビ界で活躍した殺陣師、技斗家。日活アクション黄金期を支え、「技斗」という名称を考案し広く普及させた。東映や人気テレビドラマ「特捜最前線」でもその手腕を発揮し、晩年は後進育成のため高瀬道場を主宰した。
1967年、長谷部安春監督、小林旭主演により日活で製作された『爆弾男といわれるあいつ』は、人気シリーズ「あいつシリーズ」の第4作目にして完結編です。現金輸送車襲撃事件での旧友の死の謎を追う主人公の活躍を描く、ハードボイルドなサスペンス作品です。
日本の映画俳優、柳瀬志郎（1930-2021）。日活ニューフェイス第2期生として銀幕デビュー。石原裕次郎との共演で注目され、洒脱さと渋みを兼ね備えた演技で日活アクションや任侠映画を支えた。
日本の俳優。1940年生まれ、東京都出身。劇団俳優座養成所を経て、主にテレビドラマや映画で活躍。刑事ドラマや時代劇など、数多くの人気作品にゲスト出演し、安定した演技で物語を支えた。
1967年、人気絶頂期を迎えていたザ・スパイダースが世に送り出した楽曲。作詞・作曲は浜口庫之助氏が手掛け、中でも堺正章氏がソロで歌唱したこの曲は大きなヒットを記録しました。印象的なストリングスが特徴で、『あしたのジョー』にも登場するなど、昭和歌謡史にその名を刻んでいます。
日活製作のロック・ミュージカル映画。森永健次郎がメガホンを取り、エレキバンドに夢をかける若者たちの姿を描く。仲間との出会い、バンド結成、そしてコンテスト優勝を目指す青春群像劇。
日本のノンフィクション作家、鈴木俊子（1928-1986）。夫の特派員活動に同行し長期滞在したソ連の内実を描いた『誰も書かなかったソ連』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。難民支援や法務省委員など社会活動も行った。
元落語家、俳優として多方面で活躍した桂小かん氏。桂小金治門下で、日活映画やテレビドラマ『桃太郎侍』のかん平役などで親しまれた。現在は俳優業から引退し、世田谷で経営していた寿司店は息子が継承しています。
日本の元俳優（1941-）。京都府出身。1960年に日活へ入り青春映画などで活躍。兄や仲間とバンド「ヤングアンドフレッシュ」を結成しレコードも発表。フリー転身後は特撮ドラマ『ミラーマン』『ジャンボーグA』の安田隊員役で知られる。共演者からの温かい人柄への言及も伝わるが、近年の消息は不明とされている。
和歌山県出身の元プロ野球選手、木下雅弘氏。1931年生まれ。海南高校、神奈川大学を経て、1950年の球団創設と同時に国鉄スワローズへ入団。黎明期を支えた選手の一人として、プロ野球選手として7年間活躍しました。
1968年製作、斎藤耕一監督による松竹のミュージカル映画。伝統ある学園で優秀な生徒に贈られる指輪を巡る騒動と、次期候補者となった若者たちの青春を描く。ヴィレッジ・シンガーズ主演で、当時の人気グループや俳優が多数出演し、ヒット曲が彩る。
1947年生まれの日本の建築家、構造家。大学で構造力学を専攻後、ゼネコン勤務を経て独立。設計事務所を設立し、構造設計から住宅設計・監理へ業務を拡大。現在は住宅コンサルタントとして、住まい選びや家づくりに関する情報発信や執筆活動を積極的に行っている。
「太陽の翼」は、1967年3月1日に発売されたザ・スパイダースの代表曲の一つ。日本航空の世界一周路線開設を記念して制作され、作詞作曲は利根常昭。堺正章のソロ歌唱で大ヒットを記録し、グループにとって初のファズ使用楽曲としても知られる。当時のグループサウンズを象徴する一曲。
熊本生まれの新劇俳優、大町文夫（おおまち ふみお）は、村山知義らの新協劇団に参加後、劇団民藝の創設メンバーとして舞台で活躍。戦後は映画やテレビドラマにも数多く出演し、個性的な脇役として親しまれた。
ザ・スパイダースの代表曲「夕陽が泣いている」は、1966年に発表された感傷的なバラード。堺正章のソロ歌唱が光り、公称120万枚を超える大ヒットを記録した。1967年には同名映画も製作され、グループサウンズの時代を象徴する一曲として語り継がれています。
写真家・坂東正男（1916-2007）は、1950-60年代の日活映画隆盛期に活躍したスチルマン。「修整の神様」として知られ、石原裕次郎、小林旭らの作品世界を写真で表現し、日本映画史に貢献。
1967年に東宝系で公開された『駅前』シリーズ第21作。東宝創立35周年記念映画として製作され、シリーズの原点『駅前旅館』の世界を再現。明治百年にちなみ、主要キャストが二役を演じた。
東京都生まれ、京都府育ちのベーシスト、加藤充（1934年3月3日生）。通称「カッペちゃん」。サンズ・オブ・ウェストを経てザ・スパイダースのメンバーとして活躍。GS解散後もスタジオミュージシャンとして活動し、晩年は再び音楽に情熱を傾けライブ活動を行った。多岐にわたるキャリアを歩んだ人物。
1967年11月から約10ヶ月間、TBS系列で放送された日本ビクター協賛の音楽バラエティ番組。ザ・スパイダースらがレギュラー出演し、ヒット曲やコミカルな企画を展開。3年間続いた金曜夜7時半のビクター枠の掉尾を飾った。
1965年に西ドイツのビートバンド、レインボウズが発表した楽曲『バラ・バラ』。ベーシストのホルスト・リポック作。単純な英語の繰り返しが特徴的なこの曲は、本国ドイツのみならず、遠く離れた日本でも大きな成功を収め、多くのアーティストにカバーされることになった。
ザ・ビーバーズは1966年に結成され、1967年に「初恋の丘」でデビューしたグループ・サウンズのバンド。1969年に解散したが、メンバーの高い演奏力で玄人筋からも評価された実力派GSとして知られる。
1968年に日活で公開された、人気グループサウンズ「ザ・スパイダース」主演映画シリーズ第3作。衝突事故に端を発する奇妙な騒動と、当時のサイケデリックな感覚を取り入れたライブシーンが展開される青春音楽映画。
1968年公開、ザ・スパイダース主演第2作となる日活製作のGS映画。ビートルズの『ヘルプ!』に触発された物語で、人気バンドとなった彼らが秘宝と設計図を狙う悪の一味と対決。奇妙な事件に巻き込まれ、全国を舞台に活躍する姿を描く。
1967年公開、ザ・スパイダースが初主演した日活映画。歌謡コンクール優勝者の言葉をきっかけに、7人の若者が横浜から東京まで障害を厭わず一直線に行進するという、奇想天外な青春コメディ。
1968年にザ・スパイダースが発表したシングル「ガラスの聖女」は、井上孝之が初めてメインボーカルを務めた点でグループの歴史において特筆される楽曲です。ザ・テンプターズの松崎由治が作曲、なかにし礼が作詞を担当。B面には井上順のソロを収録し、多様な音楽性を見せました。アルバム版の別テイクも存在します。
1968年に公開された青春映画。人気グループ、ザ・スパイダースが主演を務め、彼らの解散前最後の主演作として知られます。親子の確執や町の開発問題、そして密輸事件に巻き込まれる若者たちの姿を描き、堺正章の実父・堺駿二の遺作としても注目されました。
1966年12月25日に発売されたザ・スパイダースのヒット曲。かまやつひろし作詞作曲によるカントリー調のメロディと、大野克夫のスティール・ギター、井上順のソロボーカルが特徴的。多くのCMや番組で使用され、後世にも影響を与えた日本のグループ・サウンズを代表する一曲。
1967年10月25日に発売されたザ・スパイダースの7枚目シングル。A面は井上順がソロで歌う「いつまでもどこまでも」、B面はかまやつひろしの代表曲となり、後に多くのアーティストにカバーされた「バン・バン・バン」を収録。グループの黄金期を飾った一枚。
明治期に活躍した関脇・高見山宗五郎は、上総国出身の小兵力士。巧みな技で三役を務め、引退後は温厚な人格で慕われた年寄として、2代高砂を襲名し、協会の重鎮として数多くの名力士を育てた。
阿武松（おうのまつ）は、日本相撲協会に存在する由緒ある年寄名跡です。江戸時代に活躍した第6代横綱、阿武松緑之助の功績を記念してその四股名が受け継がれており、相撲界の伝統を象徴する重要な名跡の一つとして位置づけられています。
落語家の名跡「雷門助六」について、その歴史と個性的な芸風、そして歴代の噺家たちがどのようにこの名を継承し、発展させてきたのかを紹介します。特に、踊り芸を確立した八代目と現在の九代目を中心に解説します。
日本の民俗学者、話芸研究者として知られる関山和夫。落語など「話す芸」の源流を仏教説話に見出し、「話芸」という言葉を提唱。佛教大学名誉教授、京都西山短期大学学長を歴任し、多くの研究者や落語愛好家に影響を与えた。
江戸時代に端を発し、現在の東京を中心に演じられる古典落語。派手な演出を排した「素噺」と「人情噺」を特徴とします。鹿野武左衛門の座敷噺に始まり、烏亭焉馬の会を経て三笑亭可楽により寄席芸能として確立。天保改革の試練を乗り越え、三遊亭圓朝らにより大成されました。上方落語との交流もしつつ、現代も息づく伝統芸能です。
落語家、九代目桂文治（1892-1978）。本名・高安留吉。波瀾万丈の芸歴を経て独自の高座を築き、「留さん」の愛称で親しまれた。「美学のある吝嗇家」として数々の逸話が残る一方、人情家の一面も持つ。最晩年は落語協会の顧問も務めた。
木遣（きやり）は、古くは複数人での共同作業時に歌われた労働歌（作業唄）です。力を合わせるための掛け声や合図として始まりましたが、時代とともに祭礼や儀式での唄としても各地に伝承されています。無形文化財に指定され、近年はオリンピック開会式でも披露されるなど、日本の伝統文化として大切にされています。
摺鉦とは、日本の伝統的な打楽器の一つで、金属製の皿状をしています。祭囃子や郷土芸能、芝居の下座音楽などで用いられ、「当たり鉦」や「チャンチキ」など複数の名称で呼ばれます。鹿の角の付いた棒（撞木）で叩き、叩く位置や持ち方によって多彩な音色を生み出す楽器です。その独特な響きは、日本の様々な音楽文化を彩っています。
落語『始末の極意』（東京では『しわい屋』）は、度を超えた節約術をテーマにした古典演目。極端な吝嗇家たちの滑稽なエピソードが多数登場し、他の噺のマクラにも用いられる。その奇妙な節約術の果てに「始末の極意」が明かされる。
落語家の名跡「三遊亭銀馬」に関する項目。かつては烏亭焉馬の流れを汲んだ名であったが、後に三遊亭の亭号で継承された。本項では、特に昭和期に活躍し、二代目三遊亭金馬門下から三代目金馬門下へ移り、この名を名乗った三遊亭銀馬（1902-1976）の生涯を中心に解説する。
柳家喜多八は、十代目柳家小三治門下の真打落語家。学習院大学落語研究会出身で「殿下」の愛称で親しまれた。師匠譲りの柳派の芸を土台に、独特のけだるさと鋭い演出で玄人・一般双方から高い評価を得た。多くのファンに惜しまれながら、2016年に逝去。その個性的な高座は今なお語り継がれている。
十代目柳家小三治門下の真打落語家、柳家三之助。千葉県銚子市出身。古典落語を演じる傍ら、インターネットやSNSを積極的に活用し、全国各地および海外で精力的に公演を展開。航空ファンとしての顔も持ち、多角的な活動で知られる。
東京都練馬区出身の落語家、柳家さん遊（本名：中 義夫）。1945年生まれ。五代目柳家小さんに師事し、小よし、小三太、六代目柳亭小燕枝を経て現在の名に。多くの受賞歴を持ち、人間味あふれる語り口で知られる実力派。
戦後東京で活躍した落語家、八代目 春風亭 柳枝（本名：島田勝巳、1905-1959）。温厚篤実な人柄と丁寧な物腰の芸で「お結構の勝っちゃん」と呼ばれ親しまれた。若い頃は五大力の一員として活躍し、戦後は自宅で後進の育成にも力を注いだ。
落語協会所属の落語家、三遊亭天どん。1972年東京都生まれ。三代目三遊亭圓丈に入門し、2013年に真打昇進。古典から新作まで幅広く手掛け、メディアや出版活動も行う。師匠の死去に伴い弟弟子を預かり、門下から初の真打も輩出。
古典落語『高砂や』は、豪商の婚礼で仲人を引き受けた無知な八五郎が、祝儀の謡曲『高砂』を謡うのに四苦八苦する滑稽噺です。教えてもらったことをそのまま実行しようとして失敗する、いわゆる「オウム噺」の代表的な一席とされています。
古典落語「貧乏花見」（上方落語ではこの名、江戸では「長屋の花見」）は、金銭に恵まれない長屋の人々が、代用品を駆使して花見を楽しむ姿をユーモラスに描く傑作です。貧困の中でも明るく生きる庶民のたくましさを描き、東西で広く愛されています。
古典落語「薬缶（やかん）」は、知ったかぶりを決め込む隠居と無学な男の問答を描く滑稽噺。様々な物の由来を問われた隠居が、でたらめな屁理屈で煙に巻こうとする様が見どころ。特に薬缶の由来に関する珍妙な解説が笑いを誘う。落語家の間で「やかん」は知ったかぶりを意味する隠語としても使われる。
古典落語の演目「花見の仇討ち」は、江戸を舞台にした抱腹絶倒の一席。長屋の男たちが企画した花見の余興が、予期せぬ出来事と本物の武士の勘違いにより大騒動へと発展する喜劇です。上方では「桜の宮」の題名で親しまれています。
笑話（わらいばなし）は、昔話の一種であり、笑いを目的とした短い伝承や物語を指します。特定の形式に縛られず自由に語り継がれ、多様な内容を含みます。近代以降は物語形式としては衰退しましたが、落語や漫才といった現代のお笑いにもその要素は引き継がれています。
古典落語の名作「百川」は、六代目三遊亭圓生の得意演目として知られます。江戸時代に日本橋で実在した格式高い料亭を舞台に、素朴な田舎出の若い奉公人が引き起こす、言葉の行き違いから生じる連鎖的な勘違いを描いた抱腹絶倒の喜劇です。
古典落語に頻繁に登場する架空の人物、熊五郎について解説します。通称「熊さん」と呼ばれ、頭高型で発音されます。主に乱暴で酒好きとして知られますが、情に厚く知的な一面も持ち合わせ、様々な噺で活躍します。その多彩な人となりや主な登場作品、また現代のメディアへの影響についても触れます。
古典落語の演目「松竹梅」は、結婚式で珍妙な余興を試みる三人組の騒動を描く噺です。上方落語が江戸へ移植され、忌み言葉のタブーや頓珍漢な登場人物たちのやり取りから生まれる可笑しみが特徴です。
古典落語「文違い」は、江戸の内藤新宿を舞台に、飯盛女のお杉とその馴染み客、恋人たちが繰り広げる金と欲、そして騙し合いの人間喜劇。初代柳家小せん作とされ、登場人物たちの滑稽な言動が笑いを誘う東京落語の人気演目です。
古典落語を代表する廓噺の一つ、『居残り佐平次』は初代春風亭柳枝作と伝わる異色作。貧乏長屋の男・佐平次が品川の遊郭で豪遊し、代金を払わずに「居残り」となる騒動を描く。「おこわ」とも称される人気演目。
年末に貧乏な夫婦が、見栄を張るために餅つきの音を真似る古典落語。享和2年の笑話本が原話。女房の尻を叩いて音を出す奇抜なアイデアが噺の核。上方落語が先に成立した可能性も指摘される。貧しくも明るい夫婦のやり取りが聴きどころ。
古典落語の演目『小言幸兵衛』は、些細なことにも口出しする家主・幸兵衛の騒動を描いた滑稽噺。江戸時代の家主の立場や苦労を背景に持ち、後世の作品や「口やかましい人」を指す言葉にも影響を与えています。
古典落語「大山詣り」は、相模国大山への集団参詣を題材とする滑稽噺。酒乱の男が起こす騒動と、それに巻き込まれた仲間や家族の顛末を描く。別題「百人坊主」。狂言など古い物語を原話とする説がある。
古典落語「品川心中」は、江戸の品川遊廓を舞台に、遊女と客による心中騒動、そしてその後の滑稽な復讐劇を描く演目です。物語が長いため、前半の心中部分で打ち止めとなることが通例。古い文献に原話や落ちの形が見られ、かつては禁演落語にも数えられました。
上方落語の『伊勢参宮神乃賑』、通称『東の旅』は、喜六と清八が大坂から伊勢への旅を描く一連の噺です。基礎訓練用の前座噺として重視され、上方落語家が入門・初高座で学ぶ代表的な演目群です。
落語「五人廻し」は、かつての遊廓で一人の遊女が複数の客と相対する「廻し」制度を舞台にした廓噺です。遊女が来ないと不満を募らせる個性豊かな五人の客と、対応に追われる若い者の滑稽なやり取りを通して、当時の雰囲気を鮮やかに描き出します。
落語の演目『七段目』は、芝居に入れ込むあまり日常生活まで芝居調になってしまう若旦那と、彼を諫めに行った丁稚が、二人で『仮名手本忠臣蔵』七段目の即興芝居を演じる滑稽噺。題名はこの即興芝居に由来し、その中で起こる騒動と、階段からの転落を巡るやり取りが噺のクライマックスとなる。
古典落語「へっつい幽霊」は、かまどに取り憑いた幽霊を巡る滑稽噺。隠された大金を巡り、人間と幽霊が丁半博打で対決するさまを描く。江戸時代の笑話本を原話とし、現在も親しまれる人気演目。
古典落語「お見立て」は、江戸の吉原遊廓を舞台にした人気の廓噺です。惚れた花魁に嫌われた田舎者の客と、彼を何とか追い返したい遊女、板挟みになる店の男の駆け引きを描きます。別名「墓違い」とも呼ばれ、上方では「手向け茶屋」として知られます。終盤の墓碑銘のダジャレは聴きどころの一つです。
春の訪れを告げる桜をはじめとする花々の下で嗜む日本酒。風光明媚な景色と共に楽しむこの風習は、俳句の季語、花札の特別な役、さらには古典落語の演目としても知られ、日本の文化に深く根差しています。
古典落語の演目「看板のピン」は、サイコロ賭博を舞台にした滑稽譚です。巧妙なイカサマで博徒を諭す親分と、その手口を真似て失敗する男の対比が鮮やか。東西で親しまれ、人生の教訓めいた一面も持つ噺です。
古典落語の演目『権助芝居』は、大家の誕生祝いの余興で素人芝居に出演することになった、少し鈍い飯炊きの権助が巻き起こす抱腹絶倒の騒動を描きます。別題に『一分茶番』などがあり、サゲの金額によって題名が変遷した経緯も持つ、江戸から明治にかけての人気噺です。
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