スパイロス・アリオン

スパイロス・アリオン：黄金のギリシャ神話

スパイロス・アリオン（Spiros Arion、本名：Andres Labrakis、1940年9月3日 - ）は、ギリシャ出身の元プロレスラー。その輝かしいキャリアから「ザ・ゴールデン・グリーク（The Golden Greek）」の異名を持ち、アメリカ合衆国のWWWF（後のWWE）やオーストラリアを主戦場に活躍した。

デビューから豪州での成功

フランス人プロレスラー、アンドレ・ボレーの指導のもと、1961年にパリでプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせた。ヨーロッパ各地を転戦後、1964年にオーストラリアへ渡り、ジム・バーネットが主宰するワールド・チャンピオンシップ・レスリング（WWC）に参戦。

甘いマスクのベビーフェイスとして、特にギリシャ系移民からの熱狂的な支持を集め、1965年7月31日にはWWCの主要タイトルであるIWA世界ヘビー級王座を、強豪キラー・コワルスキーから奪取。その後もカール・クラウザー、ガイ・ミッチェル、キラー・カール・コックス、ゴリラ・モンスーンといった強豪を次々と打ち破り、1969年2月までに同王座を計6回獲得する偉業を達成した。

アメリカでの活躍

1966年、アリオンはアメリカにも進出し、ニューヨークのWWWFに登場。同年12月8日には、イタリア出身のアントニオ・プリエーゼとのタッグで、バロン・ミケル・シクルナ&スマッシャー・スローン組からUSタッグ王座を奪取した。さらに、1967年7月24日には、ブルーノ・サンマルチノとのコンビでザ・シチリアンズ（ルー・アルバーノ&トニー・アルティモア）を破り、再び同王座を手にした。

その後も、ドクター・ビル・ミラー、ジョニー・バレンタイン、カウボーイ・ロッキー・フィッツパトリック、ザ・シーク、クレージー・ルーク・グラハム、ケンタッキー・ブッチャー、ブル・ラモスら、当時のトップヒールたちを相手に勝利を重ね、アメリカのプロレス界でも確固たる地位を築き上げた。

日本での挫折

オーストラリアとニューヨークを股にかけるアリオンの活躍は、日本のプロレスファンからも注目を集めていた。1970年6月、国際プロレスが企画した外国人選手招聘のファン投票で1位を獲得し、同年9月に初来日が決定。しかし、日本プロレスの妨害により来日は中止となり、翌1971年2月、ファン投票2位のミル・マスカラスと共に日本プロレスに参戦することになった。

シリーズのエースとして期待され、シングルではジャイアント馬場のインターナショナル・ヘビー級王座に、タッグではマスカラスと組んでBI砲（馬場&アントニオ猪木）のインターナショナル・タッグ王座に挑戦したが、期待外れの試合内容でファンを失望させた。以降、日本では「期待外れの外国人選手」として語られることが多くなった。

その後

オーストラリアでは、1972年に新設されたNWA豪亜ヘビー級王座の初代チャンピオンとなり、再び活躍。ブルドッグ・ブラワー、ブルート・バーナード、ワルドー・フォン・エリックらとタイトルを争い、マーク・ルーインをパートナーにタッグ戦線でも活動した。

1974年には全日本プロレスに参戦。同年後半からはWWWFに復帰し、チーフ・ジェイ・ストロンボーとのコンビでバリアント・ブラザーズのWWWF世界タッグ王座に挑戦したが、ブルーノ・サンマルチノへの挑戦権が得られないことに不満を持ち、ストロンボーを裏切ってヒールに転向。フレッド・ブラッシーをマネージャーに迎え、1975年にはマディソン・スクエア・ガーデンの定期戦で、3ヶ月連続でサンマルチノのWWWFヘビー級王座に挑戦した。

1976年3月にWWWFを離れた後、1977年9月から10月にかけてカナダのモントリオール地区に登場。ベビーフェイスとしてエドワード・カーペンティアとタッグを組み、ターザン・タイラー、セーラー・ホワイト、マッドドッグ・バションらと対戦した。その後再びヒールとなり、1978年4月24日のMSG定期戦ではダスティ・ローデスと対戦、6月26日には新王者ボブ・バックランドのWWFヘビー級王座に挑戦した。

1979年2月には新日本プロレスへの来日が予定されていたが、これは中止となった（代打としてスタン・スタージャックが来日）。

引退後はギリシャに戻り、1997年4月に訃報が伝えられたが、詳細は明らかにされていない。

得意技

アトミック・ドロップ
ダイビング・ニー・ドロップ

獲得タイトル

IWA世界ヘビー級王座（オーストラリア版）：6回
IWA世界タッグ王座（オーストラリア版）：2回（w / マリオ・ミラノ、マーク・ルーイン）
NWA豪亜ヘビー級王座：3回
NWA豪亜タッグ王座：1回（w / マーク・ルーイン）
* WWWF USタッグ王座：3回（w / アントニオ・プリエーゼ、アーノルド・スコーラン、ブルーノ・サンマルチノ）

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