向島 (墨田区)

向島（むこうじま）

東京都墨田区に位置する向島は、隅田川と北十間川に挟まれた地域で、古くから歴史と文化が息づく場所です。

地理

向島は、墨田区の中西部に位置し、一丁目から五丁目までがあります。西側を隅田川、南側を北十間川が流れ、自然豊かな景観を形成しています。北は首都高速入口を挟んで堤通、北東は東向島、南東は押上、そして南は北十間川を隔てて吾妻橋や業平と隣接しています。

地価

2024年 1月1日の公示地価によれば、向島3-14-6の地点で住宅地の地価は54万4000円/m²となっています。この価格は、向島が都心に近い住宅地として一定の価値を保っていることを示しています。

沿革

向島の歴史は古く、昭和6年（1931年）に本所区の町名として向島一丁目から三丁目が誕生しました。この地域は、関東大震災後の区画整理によって新設された町名であり、以前は新小梅町、向島小梅町、向島須崎町、向島中ノ郷町といった名称で呼ばれていました。

昭和39年（1964年）には住居表示が実施され、向島一丁目から五丁目が成立しました。この際、隅田公園、向島一丁目から三丁目、小梅一丁目から三丁目、向島須崎町、向島請地町、寺島町一丁目、二丁目といった広範囲な区域が再編されました。

向島は、大部分が旧本所区の区域であり、現在も本所地域として扱われることが多いです。全域が本所税務署の管轄であり、大部分が本所警察署、本所消防署の管轄となっています。ただし、旧寺島町の一部は向島警察署、向島消防署の管轄です。

公的施設

向島には、東京都立本所高等学校、墨田区立墨田中学校、墨田区立小梅小学校、墨田区立言問小学校などの教育機関があります。また、すみだ郷土文化資料館や、すみだ福祉保健センターなど、地域住民のための施設も充実しています。

特に隅田公園は、向島一丁目、二丁目、五丁目に位置し、区民の憩いの場となっています。

主要交通

向島は、主要道路として三ツ目通り、水戸街道（国道6号）、墨堤通り、小梅通り、曳舟川通りなどが通っており、交通の便が良い地域です。また、言問橋や桜橋などの橋梁が隅田川を渡るための重要なアクセスとなっています。

首都高速6号向島線も向島を通っており、向島出入口が設置されています。鉄道は、東武伊勢崎線（東武スカイツリーライン）が向島一丁目の南端を通っており、とうきょうスカイツリー駅が利用可能です。

世帯数と人口

2024年 4月1日現在の墨田区の発表によれば、向島の世帯数と人口は以下の通りです。（具体的な数値は変動するため、省略します）

人口と世帯数の変遷

国勢調査による人口と世帯数の推移からも、向島の歴史的な変化を読み取ることができます。（具体的な数値は変動するため、省略します）

事業所

2021年の経済センサス調査によれば、向島の事業所数と従業員数は以下の通りです。（具体的な数値は変動するため、省略します）

事業者数と従業員数の変遷

経済センサスによる事業所数と従業員数の推移からは、向島の経済活動の変遷を把握することができます。（具体的な数値は変動するため、省略します）

学区

向島の区立小・中学校の学区は以下の通りです。（具体的な学区は変動するため、省略します）

町会

向島には、向島一丁目町会、小梅一丁目町会、向島二・三町会、向島二丁目睦町会など、多くの町会が存在します。これらの町会は、地域コミュニティの維持・活性化に重要な役割を果たしています。

花柳界

向島には、伝統的な花街（花柳界）が存在し、100名以上の芸妓が活躍しています。向島2丁目や5丁目付近の向島墨堤組合を中心に料亭が点在しており、伝統文化を守り続けています。

見番通りは、言問橋東交差点から北に伸びる約700mの道路で、すみだ郷土文化資料館や小梅小学校、三囲神社、向島墨堤組合、弘福寺、長命寺などが隣接しています。この通りは、向島の歴史と文化を感じさせる重要な場所です。

その他

向島の郵便番号は131-0033であり、向島郵便局が集配を担当しています。

向島（地域名）

江戸時代には、隅田川東岸のうち、隅田堤に沿った地域を「向島」と通称していました。この範囲は、木母寺付近から小梅の水戸家下屋敷までとされており、現在よりも広い範囲を指していました。

歴史

江戸時代

寛永20年（1643年）頃、徳川将軍家の鷹狩の休息所として、木母寺境内に隅田川御殿が建てられました。この御殿は、約140年間存在し、向島の歴史に深く関わっています。

「向島」の名の由来には諸説あり、隅田川御殿から見える中洲を指したのが起源とする説や、隅田川の向う側という意味に転じたとする説があります。

江戸時代には、向島という村名はなく、複数の村を包括する総称でした。将軍家の鷹狩の場として自然が保全され、桜の植樹も行われたため、風光明媚な地として文人墨客や遊山客に人気を集めました。

明治時代

明治時代に入ると、漢詩人の小野湖山が「向島」の名称が「雅馴ならず」として「夢香洲（むこうしゅう）」という名を提唱しました。また、明治5年（1872年）には水戸徳川家の下屋敷を中心とした地域で新小梅町が作られました。

明治11年（1878年）には郡区町村編制法により南葛飾郡が設置され、隅田村、寺島村、須崎村、小梅村、請地村、中ノ郷村、押上村が南葛飾郡の一部となりました。同時に本所区が設置され、新小梅町、小梅瓦町は本所区に組み込まれました。

明治22年（1889年）には町村制に基づき南葛飾郡内の村が統合され、隅田村、寺島村、吾嬬村、大木村などが成立しました。同時に市制に基づき東京市が設置され、本所区は東京市内に含まれました。

明治24年（1891年）には本所区内の町名が再編され、「向島」を冠した町名が誕生しました。これが行政地名としての「向島」の最初の使用例です。

明治43年（1910年）には荒川水系の氾濫により隅田川両岸で大水が発生し、向島一帯は甚大な被害を受けました。

大正時代

大正時代には、荒川放水路の建設が進められ、大木村が廃村となりました。また、隅田川には白鬚橋が完成し、交通の便が向上しました。

大正12年（1923年）の関東大震災により、本所区の大部分が焼失し、帝都復興計画に基づいて区画整理が行われました。この結果、町名が再編され、現在の向島の基礎が築かれました。

昭和時代

昭和3年（1928年）には言問橋が、昭和6年（1931年）には白鬚橋（鉄橋）が完成しました。また、昭和5年（1930年）には荒川放水路が完成し、治水対策が完了しました。

昭和6年（1931年）には本所区内の町名として、隅田公園、向島一丁目から三丁目が新たに作られました。

昭和7年（1932年）には南葛飾郡が東京市に編入され、隅田町、寺島町、吾嬬町が合併して向島区が新設されました。これにより、北十間川から北側の地域は全て公的に「向島」を冠する地名となりました。

昭和22年（1947年）には向島区が本所区と合併して墨田区となり、向島区の名は消滅しました。しかし、旧向島区の区域は「向島地域」として現在も呼ばれています。

昭和39年（1964年）から昭和41年（1966年）にかけて住居表示が施行され、堤通、向島、押上、東向島、墨田、京島、文花、八広、立花、東墨田が新たに誕生しました。

平成・令和時代

平成時代には、桜橋や水神大橋が完成し、隅田川を渡るための手段が増えました。また、すみだ郷土文化資料館が開館し、地域文化の発信拠点となっています。

令和時代には、東京スカイツリーや東京ソラマチが完成し、新たな観光名所となりました。さらに、隅田公園の整備や、すみだリバーウォークの開通など、向島の魅力がさらに向上しています。

神社仏閣

向島には、隅田川神社、香取神社、白鬚神社、多賀神社、長浦神社、高木神社、飛木稲荷神社、牛嶋神社、三囲神社、秋葉神社など、多くの神社があります。また、隅田山多聞寺、醍醐山円徳寺、月光山正福寺、梅柳山木母寺、晴河山法泉寺、宝寿山長命寺など、多くの寺院も点在しています。これらの神社仏閣は、地域住民の信仰の場であり、歴史的な遺産でもあります。

向島の名を冠する施設

向島には、首都高速道路6号向島線、向島出入口、向島税務署、向島郵便局、向島百花園、向島労働基準監督署、向島消防署、向島警察署など、多くの「向島」の名を冠する施設があります。

年中行事

向島では、隅田川七福神めぐり、墨堤さくらまつり、梅若忌大念仏法要、早慶レガッタ、白鬚神社ぼんでん祭、隅田川花火大会など、様々な年中行事が行われます。これらの行事は、地域の文化と伝統を伝えています。

登場作品

向島は、能『隅田川』、人形浄瑠璃や歌舞伎の『雙生隅田川』、歌舞伎『隅田川続俤』、歌舞伎『隅田川花御所染』など、多くの演劇や舞踊の舞台となっています。また、永井荷風の『すみだ川』や『濹東綺譚』、堀辰雄の『水族館』や『幼年時代』など、多くの小説や随筆にも登場しています。

名所・名物・ご当地キャラクター等

向島には、向島の桜、東京スカイツリーなどの名所があります。また、長命寺桜もち、言問団子などの名物があります。ご当地キャラクターとしては、おしなりくん、向嶋言問姐さん（言ちゃん）、カッパのコタロウ、寺島茄子之介などが知られています。

参考文献

向島の歴史と文化を研究するための多くの参考文献があります。これらの文献は、向島の理解を深めるために役立ちます。

外部リンク

向島に関する詳しい情報は、墨田区の公式サイト、墨東歳時記・百花園、すみだ郷土文化資料館、長命寺桜もち、向島言問団子などの公式サイトで確認できます。

向島は、その豊かな歴史と文化、そして自然が織りなす魅力的な地域です。伝統と革新が共存するこの地を訪れ、その魅力を体感してください。

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