日本のユダヤ人

日本のユダヤ人とは、日本に一定期間在住するユダヤ人のみに留まらず、ユダヤ教に改宗した日本人やその子孫、日本に帰化した人々、さらには日本と深い関わりを持つ人々を指します。この記事では、これらの人々について詳しく解説します。

日本のユダヤ人社会の歴史

かつて神戸や長崎には比較的大きなユダヤ人コミュニティが存在しましたが、第二次世界大戦の影響で、戦後多くの在日ユダヤ人はアメリカ合衆国などへ移住しました。現在の日本在住ユダヤ人の多くは、ユダヤ系アメリカ人などの一時滞在者や、イスラエルからの移住者です。また、ごく少数ですが、個人的にユダヤ教に改宗した日本人も存在します。

初期のユダヤ人の来日

1572年: キリスト教に改宗したスペインのナポリ系ユダヤ人が長崎に来航。その後、ユダヤ教に復帰した者もいた。
1848年〜1854年: ユダヤ系イギリス人宣教師ベッテルハイムが那覇に居住。
1859年: 日米修好通商条約締結後、横浜の外国人居留地にユダヤ人50家族が居住。レイフル・ショイアーなどが市長を務めた。
1861年: ロシアやポーランドからのポグロム難民が長崎に移住。
1867年: 瀬戸のユダヤ人コミュニティが消滅。

コミュニティの形成と衰退

1896年: 長崎に日本初のシナゴーグが設立。
1905年: 日露戦争終結後、長崎のコミュニティは衰退。
同時期、イラク系ユダヤ人コミュニティが神戸に形成され、1941年頃までに40家族が居住。

第二次世界大戦とユダヤ人難民

1938年: 樋口季一郎少将が、満州国境で亡命を拒否されたユダヤ人難民を救済する「ヒグチ・ルート」を確立。4,000人〜2万人のユダヤ人が上海へ渡った。
1939年～1940年: 王替夫や杉原千畝が、多くのユダヤ難民にビザを発給。
1941年: 約6,000人のユダヤ人難民が神戸に移住。その後、神戸のコミュニティの多くが上海へ移動し、18,000人のコミュニティを形成した。

戦後のユダヤ人コミュニティ

戦後、キリスト教関係者がユダヤ人社会やイスラエル国との交流を促進。
1953年: 東京・広尾にアメリカ軍関係者を中心としたコミュニティが形成。日本ユダヤ教団が設立。
1961年: 日本イスラエル文化研究会が設立。

その後の動き

1979年: ユダヤ社会に関する入門書「ユダヤ人はなぜ優秀か」が刊行。
1980年代後半: ミシュナの翻訳出版が開始。
1995年: 広島県福山市にホロコースト記念館が設立。関西に日本ユダヤ文化研究会が設立。
1996年: イスラエル商工会議所が設置。
2000年: 大阪に民間レベルの商工会議所が設置。
2003年: ミシュナの翻訳出版が進む。

長崎のユダヤ人コミュニティ

長崎のコミュニティは、帝政ロシアからの移民が中心でした。1896年にシナゴーグが設立されましたが、日露戦争や第一次世界大戦の影響、指導者の死などにより、1924年にその役割を終えました。

東京ユダヤ人社会のラビ

東京のユダヤ人社会では、正統派、保守派、改革派のラビが活動しており、それぞれの宗派の指導者がコミュニティを支えています。

シナゴーグ

現在、日本には神戸、東京、横浜、名古屋に4つのシナゴーグが存在します。

ユダヤ系日本人

カルメン・マキ、ケニー野村、剣太郎セガールなど、ユダヤ系の血を引く著名な日本人も存在します。

日本で活躍したユダヤ人

日本で活躍した、あるいは現在活躍しているユダヤ人の一覧を以下に示します。

あ行

アイザック・シャピロ
アリー・セリンジャー
アルフレッド・バーンバウム
アルバート・モッセ
アレクサンドル・ストローク
アレクサンドル・モギレフスキー
アントニン・レーモンド
アンナ & レイフル・ショイアー
石角完爾
ヴィリー・フライ
ウラディーミル・アシュケナージ
エマヌエル・メッテル
エミール・オルリック
オスカル・レーフ
オフェル・フェルドマン

か行

カルメン・マキ
グイド・フルベッキ
クラウス・プリングスハイム
クロード・レヴィ・アルヴァレス
ゲオルグ・デ・ラランデ
ケニー野村
剣太郎セガール
小辻節三

さ行

サミュエル・アイザック・シェルシェウスキー
サミュエル・ビング
サリー・ワイル
ジェイコブ・シフ
ジェイク・エーデルスタイン
G・D・グリーンバーグ
シモン・ゴルドベルク
ジュリー・ドレフュス
ジョン・シュロスバーグ
ジョン・ネイスン
スチュアート・リービー
スティーヴン・[[セガール]]
スラミフィ・メッセレル
セオドア・コーエン
セルゲイ・エリセーエフ
ゾラフ・ヴァルハフティク

た行

ダニエル・カリッチマン
団野村
チャールズ・ケーディス
デイヴィッド・グッドマン
デイヴィッド・サッスーン
デイヴィッド・ローゼン

な行

ニール・プラテック
ノーマン・メイラー

は行

バーナード・クリッシャー
パウル・ヴァインガルテン
バジル・クリッツァー
原田熊雄
ハルペン・ジャック
ハロルド・ラスキ
ハンス・エーリク・プリングスハイム
ピーター・バラカン
ピーター・フランクル
ベンジャミン・ウィルフリッド・フライシャー
東野翠れん
ひみこROSE
広河J民
福島孝徳
古歩道ベンジャミン
フランツ・オッペンハイマー
藤谷文子
ベアテ・シロタ・ゴードン
ベッテルヘイム・ベルナート・ヤーノシュ
ベドジフ・フォイエルシュタイン
ベンジャミン・クリッツァー
ヘンリク・リプシッツ
ボアズ・ハガイ

ま行

マーヴィン・トケイヤー
マーク・ゲイン
マクシム・シャピロ
マーカス・サミュエル
マーシャ・クラッカワー
マーティ・フリードマン
マルク・カルプレス
マルティン・カフカ
マンフレート・グルリット
ミッシェル・ワッセルマン
ミハエル・ウェクスラー
ミハエル・コーガン
ミヒャエル・ベーア
室井一真
モーシェ・アツモン
モーシェ服部

や行

ヤコフ・ジンベルグ
ヨーゼフ・ヘンリー・レーフィスゾーン
ヨーゼフ・ローゼンシュトック
ヨセフ・ラスカ
吉岡孝浩Joseph
ヤコブ・フリードマン

ら行

ラーム・エマニュエル
リービ英雄
リチャード・バーガー
リリー・クラウス
ルイーゼ・ヴィーゲルト
ルイス・デ・アルメイダ
ルートヴィヒ・リース
ルプ・ジ・カルヴァリョ
レオ・シロタ
レオ・メラメド
レオニード・クロイツァー
レスター・サルウィン
レフ・メチニコフ
ロイ・真・長谷川
ロジャー・パルヴァース
ロバート・アラン・フェルドマン
ロバート・クリッツァー
ロバート・ゲラー

来日した人物

アルトゥール・ルービンシュタイン
アルベルト・アインシュタイン
A・M・フォン・ポラク
エズラ・ヴォーゲル
エフレム・ジンバリスト
エマーヌエル・フォイアーマン
エーミール・レーデラー
エルンスト・ヤーコプ・オッペルト
カール・レーヴィット
グスタフ・ゾーロモン・オッペルト
シゲティ・ヨージェフ
ジョージ・W・F・ハルガルテン
ナサニエル・ペッファー
ハイイム・セリグ・スロニムスキ
ハーマン・ローゼンソール
フェリックス・ワインガルトナー
モーリッツ・フィーリプゾン
レナード・バーンスタイン
レメーニ・エデ
レーラ・アウエルバッハ
ロバート・キャパ

日系

ハルミ・クロソフスカ・ド・ローラ
カルメン・マキ
ケニー野村
剣太郎セガール
室井一真

ユダヤ教へ改宗した日本人

小辻節三
米谷ふみ子
モーシェ服部
室井一真

その他

アーサー・ウェイリー
イザヤ・ベンダサン
猪俣津南雄
佐藤千登勢
ジェイ・ルービン
ジェレミー・ブラウスティン
ジョン・M・ローゼンフィールド
東郷茂徳
東郷茂彦
東郷和彦
トム・ストッパード
野田哲也
ハーバート・パッシン
日高久子
藤本和子
マークス寿子

参考文献

レイン・アーンズ編、梁取和紘訳『長崎居留地の西洋人』
『まちなかガイドブック2』長崎史談会

日本のユダヤ人