劉喬

劉喬（りゅう きょう）

劉喬（249年 - 311年）は、中国西晋時代の人物。字は仲彦。南陽郡安衆県（現在の河南省南陽市臥竜区）の出身。後漢の侍中劉廙を従祖父に、魏の陳留太守劉阜を父に持つ。

生涯

劉喬は前漢の宗室、長沙定王劉発の庶子である安衆康侯劉丹の子孫であり、代々安衆侯を世襲する家柄であった。

若い頃から秘書郎に任じられ、後に建威将軍王戎の招きで参軍となる。咸寧5年（279年）の呉征伐では、王戎の命により羅尚と共に長江を渡り、龍驤将軍王濬と合流して武昌へ侵攻。江夏郡太守劉朗と都督武昌諸軍事虞昺を降伏させた。帰還後、功績により滎陽県令に任じられ、後に太子洗馬へ異動した。

永平元年（291年）3月、賈南風らが楊駿を誅殺する政変に加担し、関中侯に封じられ、尚書右丞に任じられた。永康元年（300年）には、趙王司馬倫が賈南風らを誅殺するクーデターに協力。安衆男に封じられ、散騎常侍、御史中丞と昇進した。

永康2年（301年）4月、王輿が司馬倫を失脚させると、斉王司馬冏が朝政を掌握。司馬冏の腹心である董艾が権勢を振るう中、劉喬は董艾の振る舞いを弾劾し続けた。疎まれた劉喬は屯騎校尉に降格された。

太安2年（303年）、張昌が江夏で挙兵すると、劉喬は威遠将軍・豫州刺史として汝南に駐屯。張昌の配下である黄林率いる2万の兵を撃退し、李楊らを江夏へ派遣して張昌を討伐した。この功績により左将軍に昇進した。

永安元年（304年）11月、張方が恵帝を伴い長安へ遷都を強行すると、劉喬は皇帝奪還を目指し挙兵。永興2年（305年）8月、東海王司馬越が司馬顒・張方討伐を掲げ挙兵すると、劉喬は安北将軍・冀州刺史に任じられたが、司馬越の独断によるものだったため拒否。司馬越一派と対立し、劉輿兄弟の罪を訴え、司馬顒へ援軍を要請した。さらに兵を挙げ、許昌の司馬虓を攻撃、長男の劉祐を派遣して司馬越の進軍を阻んだ。

10月、司馬顒は劉喬からの要請を受け、劉弘らに劉喬への加勢を命じ、劉喬自身を鎮東将軍に任じた。しかし、司馬顒は劉喬の力を頼りにはするものの、その献策は聞き入れなかった。

劉喬は許昌を攻略し、司馬虓・劉琨を河北へ敗走させた。劉琨の父母を捕らえ、脅して囚人護送車に乗せた。

12月、司馬虓・劉琨は王浚の支援を受け黄河を渡り、劉喬は考城で迎え撃つも敗北。敗残兵をまとめ考城から撤退した。司馬虓らは司馬楙を破り、劉琨は許昌へ侵攻し占拠。劉琨は司馬越と合流し劉祐を攻め、劉祐は戦死。劉喬はわずか500騎を率いて平氏に駐屯した。

光熙元年（306年）5月、王浚配下の祁弘が長安を攻略し恵帝を奪還。司馬越は混乱を鎮めるため劉喬の罪を問わず、太傅軍諮祭酒に任じた。

永嘉5年（311年）3月、司馬越が石勒討伐に出陣すると劉喬も従軍。司馬越の死後、劉喬は都督豫州諸軍事・鎮東将軍・豫州刺史に任じられた。4月、晋軍は石勒の強襲を受け壊滅。劉喬は捕らえられ、他の将校と共に処刑された。享年63。

建興末年、愍帝は劉喬に司空を追贈した。

逸話

斉王司馬冏が嵆紹を特別扱いしていた際、劉喬は司馬冏に対し、かつて孫秀を恐れて誰も財物を拒めなかった状況を引き合いに出し、嵆紹が裴家や張家の財産を蓄えていることを批判した。また、司馬冏が嵆紹ばかりを敬うことを諫めたため、司馬冏は嵆紹への特別待遇を取りやめた。後に嵆紹が理由を尋ねると、劉喬は「正人からの忠言があったからだ」と答え、嵆紹を黙らせたという。

参考文献

『晋書』巻59 列伝第29、巻61 列伝第31
『資治通鑑』巻85 - 巻87

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