日本における女性の合戦参加の年表

日本における女性の合戦参加年表

この年表は、日本の歴史における女性の戦争、合戦、戦闘への参加を時系列にまとめたものです。軍勢の指導的立場から、一兵卒としての参加まで幅広く扱います。

年表

記紀時代

神武天皇東征：神武天皇の東征において、女軍が女坂に配置され、敵軍を混乱させたという記述があります（『日本書紀』）。これは神話時代の出来事です。
景行天皇の肥前国巡幸：景行天皇が肥前国を巡幸した際、土蜘蛛の女性首長たちが抵抗したため、討伐されました（『肥前国風土記』）。
仲哀天皇9年：神功皇后が兵を率い、羽白熊鷲や田油津媛を討伐。その後、三韓征伐のため朝鮮半島へ出航し、新羅を降伏させました。
神功皇后1年：神功皇后が反乱を起こした忍熊皇子を討伐するため紀伊国に上陸し、武内宿禰らに命じて鎮圧しました。

弥生時代

根獅子遺跡：平戸島の根獅子遺跡から、弥生時代中期に戦闘に参加したと見られる女性の人骨が発見されました。抜歯や頭骨鏃から、統率者的立場にあったと考えられています。
『三国志』魏書東夷伝：3世紀半ば、邪馬台国と狗奴国が交戦していたと記述されています。邪馬台国は女王が統治していました。

飛鳥時代

舒明天皇9年（637年）：上毛野形名の妻が、蝦夷に包囲された砦で、女性たちに弓を持たせ弦を鳴らすことで、大軍がいると誤認させ、蝦夷を撤退させました。
斉明天皇7年（661年）：斉明天皇が百済救援のため西征を決行しましたが、朝倉宮で崩御しました。

平安時代

治承・寿永の乱：女武者である巴御前が、宇治川の戦いで源義仲に付き従い活躍したとされます。ただし、この記述は『平家物語』などの後世の創作に限られ、実在については疑問視されています。

鎌倉時代

建仁元年（1201年）：建仁の乱で、坂額御前が越後で反乱軍の将として蜂起し、鳥坂城で奮戦しました。弓術に長け、敵を射倒す活躍を見せましたが、捕虜となり、後に浅利義遠の妻となりました。
文永11年(1274年)、弘安4年(1281年)：元寇で、本渡城主の播磨局が水軍を率いて出陣しました。

南北朝時代

文和2年（1353年）：山名時氏の軍勢の中に、多くの女騎が加わっていたと『園太暦』に記録されています。ただし、戦闘能力は低く評価されています。

戦国・安土桃山時代

15世紀末：与那国島の女首長サンアイイソバが、琉球王国に従う宮古島の軍勢の侵攻を受けました。
天文10年（1541年）：大祝鶴姫が大内氏の軍勢を二度にわたり撃破したとされますが、実在は確認されていません。
天文12年（1543年）：大祝鶴姫が三度大内軍を撃破後、恋人の死を悲しみ自殺したとされています。
永禄11年（1568年）：曳山城主のお田鶴の方が、徳川家康に攻められ討死しました。ただし、最期は諸説あります。
永禄6年前後：吉田重康の妻が、安芸氏の軍勢が城を攻めてきた際に、城内の女性や男たちを率いて、大軍がいるように見せかけ、敵を撤退させました。
永禄12年（1569年）：諏訪部定勝の妻妙喜が、泥酔した夫に代わって甲冑を着て出陣し、武田勢を撃退しました。
永禄12年（1569年）10月：市川局が、大内輝弘勢の攻撃に対し、10日間の籠城戦を指揮しました。
元亀3年（1572年）：井伊直虎が武田氏の侵攻を受け井伊谷城を明け渡しました。一方、岩村城のおつやの方が武田方に降伏し、その後磔刑に処されました。
天正2年（1574年）：鶴姫（上野隆徳の妻）が毛利勢に攻められた際、侍女を率いて出撃し、その後自害しました。
天正8年（1580年）：木村甲斐守の妻が、大友勢の侵攻を城兵を指揮して防戦し撃退したとされます。
天正8年（1580年）：波（別所吉親の妻）が三木合戦で奮戦後、自害しました。
天正10年（1582年）：諏訪勝右衛門の女房が、高遠城攻めで刀を振るい奮戦したと『信長公記』に記されています。
天正11年（1583年）：妙印尼が、北条氏に対抗し新田金山城に籠城しました。
天正12年（1584年）：奥村永福の妻安が、末森城の戦いで薙刀を振るい、城兵を励ましました。
天正12年（1584年）：田尻鑑種の女が、鷹尾城で大友軍の攻撃に対し防戦し、最後は川を泳いで逃れました。
天正12年（1584年）：百武賢兼の妻円久尼が、蒲船津城で立花道雪の攻撃に対し城を守り抜きました。
天正12年（1584年）-天正14年（1586年）：立花道雪の娘誾千代が、腰元女中を訓練し、敵を撃退しました。
天正13年（1585年）：阿南姫が、人取橋の戦いで南奥諸大名連合軍の一角として参戦しました。
天正14年（1586年）：妙林尼が、鶴崎城で島津勢に対する籠城戦を指揮しました。
天正14年（1586年）：鬼御前が、角牟礼城攻めで島津軍を奇襲し撃退しました。
天正15年（1587年）：妙林尼が、寺司浜の戦いで島津軍を奇襲し大勝しました。
天正16年（1588年)：阿南姫が、郡山合戦で蘆名氏・相馬氏連合軍の一角として派兵しました。
天正17年（1589年)：阿南姫の守る須賀川城が伊達氏の侵攻を受け落城しました。
天正17年（1589年）11月：お京の方が、天草国人一揆の本渡城の戦いに参加し、加藤清正に一騎打ちを挑み討たれました。
天正17年（1589年）：天草家の女性たちが、本渡城で小西行長の軍勢を迎え撃ちました。
天正18年（1590年）：妙印尼が、桐生城で豊臣方に与し、松井田城攻めなどに加わりました。甲斐姫が、忍城籠城戦に参加しました。
慶長年中（1596年 - 1615年ごろ）：藤代御前が、津軽為信に攻め込まれ戦死しました。
慶長5年（1600年）：沼田麝香が、田辺城の戦いで奮戦しました。小松姫が、沼田城の守備につきました。富田信高の妻が、安濃津城の戦いで夫の危機を救いました。誾千代の武勇を警戒した加藤清正が、柳川を迂回しました。
慶長19年（1614年）：淀殿が、大坂冬の陣で城内を巡回し兵を激励しました。
慶長20年（1615年）：淀殿が、大坂夏の陣で秀頼の出陣を拒否し、大阪城落城とともに自害しました。

江戸時代

1640年代ごろ？：女性剣術家佐々木累が、旗本奴と交戦しました。

幕末

慶応3年（1868年）：中澤琴が、薩摩藩邸焼討事件に参加し負傷しました。
慶応4年（1869年）：中野竹子、新島八重らが会津[[戦争]]で戦いました。中沢琴が、秋田戦争に参加しました。

備考

古墳時代の女性埴輪の中には、武具を持つ例が見られますが、これらは僻邪儀礼を再現したものと考えられます。
中世には、女性同士の形式的な乱闘「後妻打ち」がありました。
14世紀の財産目録には近畿圏の女性名主の記述がありますが、武具の記述はありません。
幸若舞『信田』には、女武者の活躍が描かれています。
『諏方大明神画詞』には、戦場での女性の役割として呪術を行う様子が記されています。

出典

森浩一 ほか『地域学から歴史を読む』大巧社、2004年。

関連項目

日本における女城主の一覧
別式 - 江戸時代初期の女武者。
国民義勇隊 - 昭和前期に編成された女子隊。
女性自衛官教育隊 - 陸上自衛隊の女性自衛官の教育部隊。
Category:女性自衛官 - 著名な女性自衛官の人名一覧。

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