第7師団 (日本軍)

第7師団：北海道の守護神、その歴史と軌跡

第7師団は、大日本帝国陸軍の師団の一つであり、北海道に駐屯する常備師団として、その北辺の守りを担っていました。北海道民からは畏敬の念を込めて「北鎮部隊」と呼ばれ、その存在は地域に深く根ざしていました。

成立と背景

第7師団は、他の常設師団とは異なり、1885年（明治18年）に北海道開拓と防衛を兼ねて設置された屯田兵を母体としています。1896年（明治29年）5月12日に正式に編成されました。補充担当は旭川師管区で、北海道内を旭川、札幌、函館、釧路の4つの連隊区に分け徴募が行われました。北海道出身の兵士で構成される建前でしたが、実際には人口が希薄であったため、東北地方出身の兵士も多く含まれていました。

当初は4個歩兵連隊を基幹とする4単位師団でしたが、1940年（昭和15年）に編成が改正され、歩兵第25連隊（札幌）が樺太混成旅団に転出し、3単位師団となりました。

沿革

1896年1月、渡島・後志・胆振・石狩の4ヵ国に徴兵令が施行され、札幌の屯田兵本部に仮司令部が置かれ、初代師団長には屯田兵司令官であった永山武四郎将軍が任命されました。明治天皇がこの師団を「だい"しち"しだん」と読んだことが、正式な読み方となったとされています。

1898年1月からは全道11ヵ国に徴兵令が適用され、北海道の中央、上川地域に師団司令部を置き、北方警備の中心とする計画が進められました。1899年には鉄道が開通し、敷地買収と兵舎建設が開始されました。1901年10月30日、師団司令部などは鷹栖村（現在の旭川市）に移転し、1902年には新庁舎に移転しました。

1904年（明治37年）には日露戦争に出征し、旅順攻略戦や奉天会戦に参加しました。1909年には、旭川町との間で町税課税を巡る対立が発生し、師団が町からの分離独立を主張する問題が起こりましたが、翌年には両者間の協定により回避されました。この協定に基づいて、常磐公園が整備されました。

1917年から2年間は満洲に駐屯し、シベリア出兵にも参加しました。1934年と1936年にも満洲に派遣され、1938年には関東軍の指揮下に入り満洲に派遣、張鼓峰事件に出動しましたが、交戦前に終結しました。1939年のノモンハン事件では、一部が第23師団に配属されソ連軍と交戦し、師団主力も増援部隊として動員されました。特に、須見新一郎連隊長率いる歩兵第26連隊は、ガソリン瓶でソ連軍機甲部隊に抵抗し、その奮戦は語り草となっています。しかし、第7師団は北海道の守りを担う重要な師団であるため、1940年には北海道に帰還しました。

太平洋戦争中には、1942年に一木支隊がミッドウェー島からガダルカナル島へ、北海支隊がアッツ島へ派遣されましたが、師団本体は1940年8月以降、「動かざる師団」として北海道に留まりました。1944年2月には留守第7師団を基幹に第77師団が新設され、第5方面軍に編入されました。同年3月には師団司令部を帯広に移駐し、道東方面の防衛に専念しました。歩兵第26連隊は帯広、第27連隊は釧路、第28連隊は北見に配置され、計根別平野（現中標津町）を決戦地として定め海岸陣地やトーチカを構築しましたが、連合軍の襲来はなく終戦を迎えました。1945年9月22日、帯広にて復員しました。現在でも、根室、釧路、十勝の海岸線には、師団が設営したトーチカが残されています。

歴代師団長

以下に、歴代の師団長の一部を記載します。

永山武四郎 少将（初代）
大迫尚敏 中将
上田有沢 中将
上原勇作 中将
林太一郎 中将
宇都宮太郎 中将
藤井幸槌 中将
内野辰次郎 中将
国司伍七 中将
渡辺錠太郎 中将
新井亀太郎 中将
佐藤子之助 中将
杉原美代太郎 中将
宇佐美興屋 中将
三毛一夫 中将
園部和一郎 中将
国崎登 中将
鯉登行一 中将

歴代参謀長

以下に、歴代の参謀長の一部を記載します。

浅田信興 歩兵大佐
松永正敏 歩兵大佐
小泉正保 歩兵大佐
摺沢静夫 歩兵大佐
石黒千久之助 歩兵中佐
吉田平太郎 騎兵大佐
小池安之 歩兵大佐
吉橋徳三郎 騎兵中佐
矢野目孫一 工兵大佐
久世為次郎 歩兵大佐
木村戒自 砲兵大佐
磯林直明 歩兵大佐
永谷清治 歩兵大佐
木村聞三 砲兵大佐
宮内英熊 騎兵大佐
斎藤瀏 歩兵大佐
嶋永太郎 歩兵大佐
天野六郎 歩兵大佐
伊田常三郎 歩兵大佐
浜本喜三郎 歩兵大佐
松室孝良 騎兵大佐
横山臣平 歩兵大佐
服部暁太郎 工兵大佐
池田浚吉 砲兵大佐
岩切秀 歩兵大佐
大本四郎 大佐
鈴木敬司 大佐
土田穣 中佐
江田稔 大佐

編制

最初編成

歩兵第13旅団
歩兵第25連隊
歩兵第26連隊
歩兵第14旅団
歩兵第27連隊
歩兵第28連隊
騎兵第7連隊
野砲第7連隊
工兵第7連隊
輜重兵第7連隊

最終編制

歩兵第26連隊（旭川）：山口定大佐
歩兵第27連隊（旭川）：長嶋秀雄大佐
歩兵第28連隊（旭川）：新井花之助大佐
山砲兵第7連隊（旭川）：佐竹千代光大佐
捜索第7連隊（旭川）：西川勝雄少佐
工兵第7連隊（旭川）：中村松寿少佐
輜重兵第7連隊（旭川）：寺尾明中佐
第7師団通信隊：山根福重少佐
第7師団兵器勤務隊：西條初太郎中尉
第7師団衛生隊：山根正純少佐
第7師団第1野戦病院：小原徳行軍医大尉
第7師団第2野戦病院：山田大秋軍医大尉
第7師団第3野戦病院：青野茂軍医大尉
第7師団第4野戦病院：鈴木鉄太郎軍医大尉
第7師団病馬廠：岩上雄三郎獣医中尉
第7師団防疫給水部：太田藤市郎軍医少佐

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧
北鎮記念館
ゴールデンカムイ
木彫りの熊
第7師団 (陸上自衛隊)

外部リンク

* 旭川市の指定文化財／第七師団関係記録


第7師団は、その創設から終戦まで、北海道の防衛と発展に大きな役割を果たしました。その歴史は、北海道の歴史そのものであり、今もなお、その遺構や記録が残されています。

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