1976年の
大相撲は、相撲界にとって多くの出来事があった年でした。
1月、横綱審議委員会委員長の舟橋聖一氏が逝去し、後任には石井光次郎氏が就任しました。また、協会役員改選では春日野理事長が再選され、新理事には二子山親方、新監事には中川親方が選出されました。大
鳴戸部屋の落成もこの月にありました。
3月には、元
関脇の陸奥嵐が引退し、年寄安治川を襲名しました。場所後には旭國が新
大関に昇進。友綱親方(元
十両の一錦)が部屋を継承しました。
5月、場所8日目には
昭和天皇、皇后両陛下が観戦されました。元
関脇の長谷川が引退し、年寄秀ノ山を襲名しました。三重ノ海は3場所で
大関から陥落しましたが、7月には1場所で
大関に復帰しました。
6月には、ハワイとロサンゼルスでの巡業が行われました。
7月には、豊山親方、君ヶ濱親方、木村庄二郎氏の3名が相撲指導のためブラジルへ出発しました。
9月には、前年に
大関から陥落した魁傑が、史上初の元
大関による平幕優勝を果たしました。元
関脇の金剛が引退し、年寄二所ノ関を襲名、
二所ノ関部屋を継承しました。また、各賞金が大幅にアップし、幕内優勝は100万円から200万円、
十両は30万円から50万円、幕下は10万円から20万円、三段目は5万円から10万円、序ノ口は3万円から50万円、三賞は20万円から50万円に引き上げられました。年寄襲名資格には「日本国籍を有する者」という項目が加えられました。元
小結の二子岳が引退し、年寄白玉を襲名しました。
11月には、
朝日山部屋の継承問題の余波で、トンガ出身の力士6名が廃業しました。力士養成奨励金制度が改正され、横綱には30万円、
大関には20万円、
関脇、
小結には10万円、幕内には5万円、
十両には3万円が支給されることになりました。26代木村庄之助が停年退職しました。
本場所の結果
一月場所(蔵前国技館)
幕内最高優勝:
北の湖敏満(13勝2敗、5回目)
殊勲賞:高見山、敢闘賞:旭國、技能賞:鷲羽山
十両優勝:小沼克行(11勝4敗)
三月場所(大阪府立体育館)
幕内最高優勝:
輪島大士(13勝2敗、8回目)
殊勲賞:北瀬海、敢闘賞:鷲羽山、技能賞:旭國
十両優勝:
播竜山孝晴(11勝4敗)
五月場所(蔵前国技館)
幕内最高優勝:
北の湖敏満(13勝2敗、6回目)
殊勲賞:北瀬海、敢闘賞:魁傑、技能賞:鷲羽山
十両優勝:栃勇義治(11勝4敗)
七月場所(愛知県体育館)
幕内最高優勝:
輪島大士(14勝1敗、9回目)
殊勲賞:麒麟児、敢闘賞:若獅子、技能賞:麒麟児
十両優勝:蜂矢敏行(11勝4敗)
九月場所(蔵前国技館)
幕内最高優勝:魁傑将晃(14勝1敗、2回目)
殊勲賞:麒麟児、敢闘賞:魁傑、技能賞:若三杉
十両優勝:
蔵玉錦敏正(10勝5敗)
十一月場所(福岡スポーツセンター)
幕内最高優勝:
北の湖敏満(14勝1敗、7回目)
殊勲賞:若三杉、敢闘賞:魁傑、技能賞:鷲羽山
十両優勝:大豪健嗣(11勝4敗)
年間最優秀力士賞(年間最多勝)は
輪島大士が77勝13敗で獲得しました。
誕生
1976年には、後に
大相撲で活躍する多くの力士や関係者が誕生しました。主な人物は以下の通りです。
1月7日:金開山龍(最高位:前頭6枚目)
1月12日:11代木村庄三郎(幕内格
行司)
1月15日:床塚(一等床山)
1月17日:安壮富士清也(最高位:
前頭13枚目)
2月6日:千代天山大八郎(最高位:小結)
2月21日:古市貞秀(最高位:
十両12枚目)
2月25日:大翔大豪志(最高位:十両筆頭)
3月2日:岩木山竜太(最高位:
小結)
4月2日:隆乃若勇紀(最高位:関脇)
4月3日:松男(
十両呼出)
4月11日:琴光喜啓司(最高位:大関)
4月21日:若東吉信(最高位:
十両13枚目)
4月29日:千代大海龍二(最高位:大関)
5月12日:
高見盛精彦(最高位:
小結)
5月21日:武州山隆士(最高位:前頭3枚目)
6月9日:
十文字友和(最高位:
前頭6枚目)
6月10日:一の谷崇帥(最高位:十両12枚目)
6月18日:隆の鶴伸一(最高位:
前頭8枚目)
7月10日:若の里忍(最高位:関脇)
7月13日:駿傑悠志(最高位:
前頭12枚目)
7月31日:5代式守慎之助(十両格行司)
8月2日:
春ノ山竜尚(最高位:
前頭10枚目)
9月21日:舞風昌宏(最高位:十両10枚目)
11月9日:
栃東大裕(最高位:
大関)
11月23日:濵錦竜郎(最高位:前頭11枚目)
12月4日:出羽乃富士智章(最高位:
十両9枚目)
死去
1976年には、相撲界の歴史を彩った以下の人物が亡くなりました。
1月29日:薩摩洋時久(最高位:十両13枚目)
2月17日:新海幸藏(最高位:
関脇)
8月20日:信州山由金(最高位:前頭4枚目)
11月1日:九ヶ錦坦平(最高位:
前頭3枚目)
1976年は、相撲界にとって激動の一年であり、多くの記録や出来事が生まれた年でした。