ジル・ポワソン

ジル "ザ・フィッシュ" ポワソン

ジル "ザ・フィッシュ" ポワソン（Gilles "The Fish" Poisson、1946年 - ）は、カナダ・ケベック州出身の元プロレスラーです。フランス系カナダ人であり、ヒールのラフ&パワーファイターとして、カナダのモントリオール地区を主戦場に、WWWFやAWAなどアメリカのメジャー団体でも活躍しました。

日本では「ギルス・ポイソン」などと呼称されましたが、本記事では原音に近い表記を使用します。 "Poisson" はフランス語で魚類を意味し、ニックネームの英訳 "Fish" は俗語で「嫌な奴」といった意味合いを持ちます。

来歴

プロレスラーになる前はアマチュアレスリング選手として活躍し、1968年のメキシコシティオリンピックにカナダ代表として出場する予定でしたが、怪我のため出場を断念しました。プロデビュー後は、マッドドッグ・バションの仲介で、スチュ・ハートが主宰するカルガリーのスタンピード・レスリングにて、アレックス・ザ・ブッチャー（Alex the Butcher）のリングネームで活動を開始。ヒールとしてギル・ヘイズとタッグを組み、1970年にはビル・ロビンソン、ジョージ・ゴーディエンコ、アンジェロ・モスカ、ウェイン・コールマン、アブドーラ・ザ・ブッチャーといった強豪とも対戦しました。

その後、ピエール・レ・グラン（Pierre LeGrande）と名乗り、バンクーバー地区に登場。1970年7月にはこの名義で日本プロレスに初来日し、無名ながらその巨体を買われ、札幌中島スポーツセンターでジャイアント馬場とのシングルマッチが組まれました。日本遠征後は、太平洋岸北西部のパシフィック・ノースウエスト・レスリングに参戦し、ディーン・ホー、ダッチ・サベージ、ムーンドッグ・メイン、ミスター・フジ、スタン・スタージャックらと対戦しています。

1971年3月末には、バスター・マシューズ（Buster Mathews）のリングネームで国際プロレスに来日。ロビンソン、モンスター・ロシモフ、カール・ゴッチ、シーン・リーガンらが参加した第3回IWAワールド・シリーズに「アメリカ代表」として出場しました。パンフレットにはピエール・レ・グラン時代の素顔写真が掲載されていましたが、シリーズでは覆面を被って参戦。5月9日の金沢大会では、ドクター・デスとの覆面コンビでサンダー杉山&グレート草津のIWA世界タッグ王座に挑戦しました。杉山やラッシャー木村との金網デスマッチも行っています。1973年4月には、ザ・カナディアン（The Canadian）という別の覆面レスラーとして再来日し、マッドドッグ・バション、イワン・コロフ、ターザン・タイラー、ラーズ・アンダーソンら大物ヒールのパートナーを務めました。

地元ケベックのモントリオールでは、マッドドッグ&ブッチャー・バションが主宰していたグランプリ・レスリング（GPW）にて、ジル・ポワソン（Gilles Poisson）として活動。少年時代から憧れていたというキラー・コワルスキーのパートナーとなり、1972年11月13日にハリウッド・ブロンズ、1973年10月2日にブルーノ・サンマルチノ&エドワード・カーペンティアからGPWタッグ王座をそれぞれ奪取しました。1974年にはシングルのGPWヘビー級王座も獲得しています。

1975年7月、新日本プロレスに来日（表記はギルス・ポイソン）。ハンス・シュミットやブルート・バーナードに次ぐ3番手外国人のポジションで、7月4日の後楽園ホールでのシリーズ開幕戦では、メインイベントでアントニオ猪木とのシングルマッチが組まれました。シリーズ中は猪木をはじめ、坂口征二やストロング小林ともシングルマッチで対戦しています。

1976年1月からは、実在したケベックの怪力男と同名のルイ・シル（Louis Cyr）をリングネームにWWWFに登場。フレッド・ブラッシーをマネージャーに迎え、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンではボボ・ブラジル、パット・バレット、ドミニク・デヌーチと対戦。クラッシャー・ブラックウェルやバロン・シクルナとタッグを組み、トニー・パリシ&ルイ・セルダンが保持していたWWWF世界タッグ王座にも再三挑戦しました。

1976年9月から1977年3月にかけては、ピエール・ポワソン（Pierre Poisson）の名義でAWAにて活動。ペドロ・モラレス、ピーター・メイビア、ラリー・ヘニング、コシロ・バジリ、グレッグ・ガニア、ジム・ブランゼルらと対戦し、国際プロレスでも共闘したムース・モロウスキーと組んでガニア&ブランゼルのハイ・フライヤーズが保持するAWA世界タッグ王座にも挑戦。カナダのウィニペグではマッドドッグ・バション&バロン・フォン・ラシクともトリオを組みました。

以降はリングネームをジル "ザ・フィッシュ" ポワソンに定着させ、1970年代後半は西ドイツに遠征して1977年のハノーバー・トーナメントにも出場。1978年にはオットー・ワンツ主宰のキャッチ・レスリング・アソシエーションにて、ワンツ、ドン・レオ・ジョナサン、スティーブ・ライト、イワン・ストロゴフ、ビッグ・ジョン・クイン、デビッド・テイラーと対戦しました。

1980年代はジノ・ブリットらが主宰していたモントリオールのインターナショナル・レスリング（Lutte Internationale）を主戦場に、1982年にはセーラー・ホワイトと組んでカナディアン・インターナショナル・タッグ王座を獲得。その後、ディノ・ブラボー、パット・パターソン、リック・マーテルらスター選手との抗争を経て、インターナショナル・レスリングが活動を停止した1987年に現役を引退しました。

2019年にはバション兄弟のドキュメンタリー映画 "Mad Dog & The Butcher" に声のみ出演しています。

得意技

スープレックス
ベアハッグ
エルボー・ドロップ
カナディアン・バックブリーカー

獲得タイトル

グランプリ・レスリング
GPWヘビー級王座：1回
GPWタッグ王座：3回（w / キラー・コワルスキー×2、クリス・マルコフ）
スタンピード・レスリング
スタンピード北米ヘビー級王座：1回
トランス・カナダ・レスリング
TCWマリタイムズ・タッグ王座：1回（w / マスクド・モウラー）
インターナショナル・レスリング
* カナディアン・インターナショナル・タッグ王座：1回（w / セーラー・ホワイト）

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