日本音楽文化協会

社団法人日本音楽文化協会について

社団法人日本音楽文化協会（旧字体：日本音󠄁樂文󠄁化󠄁協會）は、第二次世界大戦中の1941年11月に設立された国策団体です。当時の日本では、軍部が強い影響力を持ち、文化活動も統制下に置かれていました。日本音楽文化協会は、内務省情報局と文部省の共同所管として設立され、音楽を通じた国民教化と戦意高揚を目的としていました。

設立の背景

当時、軍部はドイツの例に倣い、文化統制を強化していました。日本文学報国会や大日本言論報国会などの組織が作られ、文化活動は国家の管理下に置かれました。日本音楽文化協会もその一つで、内務省、厚生省、警視庁、大政翼賛会の後押しを受け、設立されました。

活動内容

協会の活動は多岐にわたりました。主な活動内容は以下の通りです。

音楽指導: 日本人の作品を必ず演奏会に加えるよう指導しました。
士気高揚と情操純化: 音楽会を開催し、国民の士気を高め、情操を純化することを目指しました。
工場への音楽隊派遣: 工場労働者の士気を高めるため、音楽隊を派遣しました。
演奏会の許可: 演奏会の開催を許可するかどうかを決定しました。

協会には、山田耕筰、山根銀二、野村光一、井口基成、属啓成、諸井三郎、柴田南雄など、当時の著名な音楽家が多数参加していました。協会に属さない音楽家は、紙の配給を受けられず、楽譜の入手も困難でした。これにより、音楽家は事実上、協会への参加を義務付けられました。

組織と変遷

1943年8月には、演奏家協会と合併し、組織を拡大しました。本部を東京に置き、大阪と京都に支部を設置しました。協会は、楽曲の制定と普及、演奏会の企画と実施、演奏家の統制、対外宣伝、挺身活動などを通じて、音楽による国民教化と戦意高揚を推進しました。

解散

日本の敗戦後、1945年10月に日本音楽文化協会は解散しました。戦時中の音楽文化統制の一翼を担ったこの協会は、その短い歴史を終えました。

その他

当時、内務省の官吏であった吉田秀和が、嘱託として協会に出向していました。彼は晩年、当時の思い出を語っています。このことからも、この協会が当時の社会情勢と深く関わっていたことがわかります。

役員一覧

会長

徳川義親

副会長

山田耕筰

顧問

岡部長景
大倉喜七郎
加藤成之
京極高鋭
近衛秀麿
武井守成
武富邦茂
徳川頼貞
乗杉嘉寿
藤山愛一郎

参与

石倉小三郎
川上淳
神戸絢子
小松耕輔
鈴木のぶ子
田辺尚雄
田村虎蔵
外山国彦
颯田琴次
永井幸次
福井直秋
堀内敬三
増澤健美
三浦環

名誉会員

田中正平
幸田延
安藤幸

理事長

辻荘一

理事

有坂愛彦
井口基成
井上武士
大木正夫
奥田良三
城多又兵衛
清瀬保二
小森宗太郎
佐藤清吉
柴田知常
鈴木鎭一
園部三郎
田中常彦
中山晋平
長坂好子
野村光一
宮田東峰
諸井三郎
山根銀二
山本直忠

幹事

高野高太郎
萩原英一
弘田龍太郎

参考文献

レコード芸術編『吉田秀和 音楽を心の友と』p.34-35（音楽之友社、2012年）

関連項目

* 新興作曲家連盟

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