1968年の鉄道

1968年（昭和43年）の鉄道

1968年は、日本の鉄道網において多様な動きが見られた一年でした。都市部では地下鉄や私鉄の延伸、神戸地区では新会社による広範なネットワークの開業、地方では合理化による路線の廃止が進みました。幹線においては複線化や電化が着実に進捗し、輸送力強化が図られました。また、次世代を担う様々な新型車両が登場し、一方で役目を終える形式も見られました。残念ながら複数の鉄道事故も発生しています。

主な出来事

• - 1月：伊予鉄道横河原線に福音寺駅が開業。名古屋鉄道名古屋本線から広江駅、東知立駅が廃止。国鉄中央本線の一部区間が複線化。姫路市交通局モノレール線の大将軍駅が休止となりました。
• - 2月：国鉄紀勢本線の和歌山駅（初代）が紀和駅に改称されました。
• - 3月：国鉄紀勢本線の東和歌山駅が和歌山駅（2代）に改称。国鉄鹿児島本線の一部区間が複線化。近畿日本鉄道奈良線に東生駒駅が開業。京福電気鉄道（現・えちぜん鉄道）三国芦原線の電車三国駅〜東尋坊口駅間が廃止され、関連駅も廃止されました。
• - 4月：国鉄函館本線の狩太駅がニセコ駅に、船川線が男鹿線に改称され、船川駅も男鹿駅に改称。羽越本線の羽後平沢駅が仁賀保駅に改称。国鉄丸森線（現・阿武隈急行線）槻木駅〜丸森駅間が開業し、新駅が設置されました。関東鉄道常総線に新取手駅、東京急行電鉄（現・東急電鉄）田園都市線が長津田駅〜つくし野駅間を延伸し、つくし野駅が開業。神戸高速鉄道が東西線（現・阪神神戸高速線、阪急神戸高速線）、南北線（現・神戸電鉄神戸高速線）を開業させ、広範な新駅が誕生しました。これに伴い、京阪神急行電鉄（現・阪急電鉄）神戸本線の神戸駅が三宮駅に改称され、山陽電気鉄道本線の電鉄兵庫駅〜西代駅間が廃止されました。
• - 5月：京成電鉄本線に勝田台駅が開業。新京成電鉄新京成線の前原駅〜京成津田沼駅間が経路変更され、新津田沼駅が移設、藤崎台駅が廃止されました。国鉄室蘭本線の豊泉駅が廃止。西武鉄道の上水線が拝島線に改称され、玉川上水駅〜拝島駅間を延伸し、西武立川駅、拝島駅が開業しました。
• - 6月：赤城登山鉄道の利平茶屋駅〜赤城山頂駅間が廃止。伊予鉄道高浜線に西衣山駅が開業。東武鉄道徳川河岸線が廃止。東京都交通局地下鉄1号線（現・浅草線）の新橋駅〜大門駅間が複線化。長崎電気軌道本線が思案橋停留場〜正覚寺下停留場（現・崇福寺停留場）間を延伸。国鉄山陽本線に朝霧駅が開業。都営地下鉄1号線が大門駅〜泉岳寺駅間を延伸し、新駅が開業、京浜急行電鉄本線も泉岳寺駅〜品川駅間を延伸し、相互乗り入れを開始しました。
• - 7月：東武鉄道野田線に七光台駅が開業。能勢電気軌道（現・能勢電鉄）妙見線にときわ台駅が開業。京福電気鉄道福井支社の丸岡線が廃止。国鉄東北本線（現・青い森鉄道線）の野内駅〜青森駅間が経路変更され、東青森駅が開業し、浦町駅、浪打駅が廃止されました。
• - 8月：国鉄信越本線、北陸本線、鹿児島本線、中央本線、奥羽本線の各一部区間が複線化。静岡鉄道駿遠線の大井川駅〜堀野新田駅間が廃止。
• - 9月：東武鉄道伊勢崎線の須影駅が南羽生駅に改称。国鉄室蘭本線、信越本線、奥羽本線、北陸本線、鹿児島本線、函館本線、中央本線、山陽本線の各一部区間が複線化または3線化され、電化・交流化も進みました。豊橋鉄道田口線が廃止されました。
• - 10月：国鉄仙石線貨物支線が延伸し石巻埠頭駅が開業、宗谷本線に北旭川駅（貨物駅）、東海道本線に新蒲原駅、和歌山線に下兵庫駅が開業。中央本線の三留野駅が南木曽駅に、信越本線の柏原駅が黒姫駅に、大糸線の信濃四ツ谷駅が白馬駅に、飯山線の越後外丸駅が津南駅に改称。名松線の伊勢田尻駅が一志駅に移転・改称。北海道拓殖鉄道新得駅〜瓜幕駅間が廃止。京葉臨海鉄道臨海本線が延伸し袖ケ浦駅（現・北袖駅）が開業。名古屋鉄道蒲郡線に蒲郡競艇場前駅が開業し、塩津駅と拾石駅が統合廃止されました。
• - 11月：国鉄漆生線貨物支線の漆生駅〜稲築駅間が廃止。東京都交通局地下鉄1号線が泉岳寺駅〜西馬込駅間を延伸し、新駅が開業しました。
• - 12月：苫小牧港開発により会社線が開業。東野鉄道西那須野駅〜黒羽駅間が廃止。大阪市営地下鉄（現・大阪市高速電気軌道）2号線（現・谷町線）が谷町四丁目駅〜天王寺駅間を延伸。近畿日本鉄道京都線に近畿日本丹波橋駅（現・近鉄丹波橋駅）が開業。東京都交通局地下鉄6号線（現・三田線）巣鴨駅〜志村駅（現・高島平駅）間が開業し、新駅が多数設置されました。

主なダイヤ改正

この年には、名古屋鉄道、西武鉄道、日本国有鉄道、近畿日本鉄道など、複数の事業者で主要なダイヤ改正が実施されました。

災害・不通・事故・事件

複数の鉄道事故が発生しました。

1月18日 南海電鉄天下茶屋駅列車衝突事故
1月27日 営団地下鉄日比谷線神谷町駅車両火災事故
4月19日 上越線群馬総社駅構内列車衝突事故
6月5日 阪急電鉄甲陽線ホーム激突事故
6月16日 横須賀線電車爆破事件
6月18日 伊豆急行川奈駅構内列車接触事故
6月28日 急行「おき」機関車脱線転覆事故
7月16日 御茶ノ水駅電車追突事故
8月17日 相模鉄道瀬谷駅構内列車衝突事故
8月26日 豊橋鉄道老津駅構内列車衝突事故
10月12日 急行かむい1号脱線事故
11月22日 京阪電鉄京津線電車脱線事故
11月23日 籠原電車区構内脱線事故
11月23日 山陽電鉄中八木 - 江井ヶ島間列車衝突事故
12月29日 十和田観光電鉄正面衝突事故

鉄道車両

多くの新形式車両が登場し、特に国鉄からは特急形電車や貨車など多種多様な形式が加わりました。

新系列・新形式

日本国有鉄道：ED78形、EF66形、EF71形、EF81形（電気機関車）、169系、485系、583系、クモヤ91形（電車）、キハ181系（気動車）、スニ40形（客車）、トラ43500形、ポム200形、レム9000形、レサ5000形、トキ21100形、トキ21500形、トキ22000形、チキ900形、チキ5500形（2代）、コム1形、コキ1000形、セキ6000形、ヨ9000形、ヤ400形、各種タンク貨車（タ10900形、タム5850形、タキ7100形（3代）、タキ10150形など多数）、ホキ7200形など
札幌市交通局：710形（電車）
岩手開発鉄道：DD56形（ディーゼル機関車）
上武鉄道：ワム8000形（貨車）
京成電鉄：3300形、モニ10形（電車）
秩父鉄道：ワキ800形、トキ500形、ヨ10形（貨車）
西武鉄道：801系（電車）、ホキ81形、ホキフ71形（貨車）
営団地下鉄：1500形、6000系（電車）
東京都交通局：6000形（電車）
京浜急行電鉄：チ60形（貨車）
相模鉄道：ホキ800形（貨車）
静岡鉄道：クモハ350形（電車）
近畿日本鉄道：2410系、6020系（電車）
阪神電気鉄道：5311形（電車）
阪急電鉄：5000系（電車）
大阪市交通局：30系（電車）
水島臨海鉄道：ワム800形（貨車）

消滅形式

日本国有鉄道：タ550形、タ1450形、タ1500形、タ1600形、タ2200形、タ2350形、タ3200形、タ4200形、タム1形、タム1700形、タム1750形、タム1800形、タム1900形、タム5500形、タラ100形、タラ300形、タラ420形、タラ600形、タサ400形、タサ1300形、クム1000形（いずれも貨車）

受賞

第11回ブルーリボン賞：581系電車
* 第8回ローレル賞：該当車なし

1968年は、都市交通の拡充、地方交通の再編、幹線輸送力の近代化が進んだ、日本の鉄道史において変化の多い年でした。

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