フラットフィールド

株式会社フラットフィールドについて

株式会社フラットフィールドは、神奈川県厚木市に本社を構える輸送機器メーカーです。トラックやバスなどの大型商用車を中心に、市販車を低公害車へと改造する事業を展開しています。また、天然ガス自動車（CNG車）、水素自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、ガスタービン自動車といった、幅広い低公害車の研究開発・製造にも注力しています。

1995年11月に、自動車販売業を営んでいた平野智一氏によって設立されました。当初は東京都渋谷区に本社を置き、東村山市に開発センターを設置していましたが、後に厚木市へと本社と開発センターを移転しました。設立当初から低公害車の研究開発とCNG改造に特化しており、特にバス車両のCNG改造においては、株式会社協同と市場を二分する存在として知られています。その結果、東京都や埼玉県を中心に、コミュニティバスにおける小型CNGバスが早くから普及しました。

事業概要

フラットフィールド製の改造車の販売は住友商事が担当しており、CNGバスのボディ改造は2000年よりヤナセ製造事業部が行っています。屋根上のガスボンベ収納部分のFRP製カバーのデザインは、2001年5月の小田急バスのエアロミディMJを除き、ヤナセのデザインによる直線的なものが特徴です。一方、株式会社協同の改造車は、ボンベ収納部分が丸みを帯びた曲線的なデザインであるため、この部分でCNG車の改造メーカーを判別できます。

1998年にバス車両のCNG改造を開始し、三菱ふそう・エアロミディMKを2台CNG改造して、協同観光バス（現：協同バス）へ販売しました。この導入にあたり、協同観光バスは熊谷営業所にCNG充填施設を建設しています。協同観光バスでは、その後もフラットフィールド製の改造車や、日産ディーゼルRM・UAなどの国産メーカー純正車、輸入車のクセニッツCITYなど、様々なCNGバスを導入してきましたが、株式会社協同が2002年から自社でCNG改造車の製造事業を開始したため、フラットフィールドはCNG改造専業メーカーとしての地位を確立しました。

しかしながら、年々厳しくなる排出ガス規制によってディーゼル自動車の低公害性能が向上し、天然ガス価格の高騰によって軽油の方が割安になったため、CNGバスは普及が進みませんでした。そのため、CNG自動車改造専業メーカーとして出発したフラットフィールドは、政府のエコカー政策の転換に対応し、近年は電気自動車やハイブリッド車、燃料電池自動車などの研究開発に力を入れています。同社が製造した低公害車の導入実績は、日本全国で1,000台以上に及んでいます。

沿革

1995年11月 - 会社設立。
1997年10月 - 小型塵芥車のCNG改造車を市販1号車として発売。
1998年 - バス車両のCNG改造を開始。三菱ふそう・エアロミディMKツーステップ（貸切車）2台をCNG改造し、協同観光バスへ販売。ガスボンベは床下に搭載。
1999年 - 三菱ふそう・ローザのCNG改造を開始。ガスボンベは床下に搭載。
1999年度 - 名古屋市「エコチャイルドバス導入支援事業」により、幼稚園・保育園の園児送迎バス用の低公害車を受注、ローザのCNG改造車を同市へ納入。
2000年 - フラットフィールド製のCNGバスボディ改造をヤナセが担当開始。
2000年4月 - 東京都東村山市に開発センターを設置、専任技術者5人を配置。
2000年10月 - 日野・リエッセのCNG改造を開始。初の路線バス車両として、杉並区コミュニティバス「すぎ丸」専用車両として京王バス東に納入。
2001年5月 - 初のノンステップバスCNG改造として、小田急バスのエアロミディMJを手掛ける。
2002年 - 西東京市「はなバス」専用車両として、リエッセを西武バスに納入。リエッセの屋根上CNG車の改造を開始。
2003年 - エアロミディMEのCNG改造を開始。東村山市「グリーンバス」や東大和市「ちょこバス」など、各地のコミュニティバスにリエッセやエアロミディMEを納入。
2009年4月 - 東京都市大学と日野自動車の共同開発によるリエッセ水素燃料バスの製造を担当。
2012年4月 - 山梨交通で、フラットフィールドが改造を手掛けた水素燃料バスの実証運行が開始。

主な改造車種

CNGバスの改造は、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの小型バス・マイクロバスが中心です。CNGバスのガスボンベは3本使用し、室内や床下に搭載する場合は堅牢な鋼製ボンベ、屋根上に搭載する場合は軽量なアルミライナー複合容器のボンベを使用します。

ツーステップのリエッセは、屋根上に軽量ボンベを2本載せ、床下の燃料タンク部分に鋼製ボンベ1本を設置します。リエッセでは、2003年1月納入の東村山市グリーンバスではCNGタンクを屋根上の前部に置いていましたが、以降の車両では前軸の耐荷重の関係で仕様を変更し、屋根上ガスタンクの位置を後方にずらしています。

ノンステップバス（エアロミディME・MJ、レインボーHR）は、床下に設置スペースを取れないため屋根上に3本積載します。エアロミディMEでは車幅の狭い屋根上に3本ボンベを積むため、重心が高くなり転倒角度に注意が必要です。

以下に、主な改造車種をまとめます。

日野自動車

リエッセ（CNG車・電気バス・水素自動車）
リエッセII（CNG車）
レインボーHR（CNG車）
ブルーリボンHT/HU（CNG車）
ブルーリボンII（CNG車）
メルファ（CNG車・電気自動車）
ポンチョ（CNG車・電気自動車）
レンジャー（CNG車・水素自動車）

三菱ふそうトラック・バス

ローザ（CNG車）
エアロミディシリーズ
エアロミディMK（CNG車）貸切車
エアロミディMJ（CNG車）
エアロミディME（CNG車）
ファイター（CNG車）
キャンター（CNG車）

三菱自動車工業

ミニキャブ（CNG車）
パジェロ（CNG車）
シャリオ（CNG車）
リベロ（CNG車）

いすゞ自動車

エルガ（電気自動車）
エルフ（CNG車）
ギガ（CNG車）

トヨタ自動車

コースター（CNG車）
ハイエース（CNG車）
タウンエース（CNG車）
ハイラックス（CNG車）
ランドクルーザープラド（CNG車）
クラウン（CNG車）
カローラ（CNG車）
カルディナ（CNG車）
プラッツ（CNG車）

日産自動車

シビリアン（CNG車）
キャラバン（CNG車）
ステージア（CNG車）
ウイングロード（CNG車）

マツダ

ボンゴ（CNG車）
デミオ（CNG車）
ロードスター（CNG車）

スズキ

エブリイ（CNG車）

主な納入実績

CNGバス

日野・リエッセ
杉並区すぎ丸 - 京王バス東・永福町営業所
東村山市グリーンバス - 西武バス小平営業所、銀河鉄道
小金井市CoCoバス - 京王バス中央・府中営業所
府中市ちゅうバス - 京王バス中央・府中営業所
調布市ミニバス - 京王バス東・調布営業所
さいたま市コミュニティバス - 西武バス、東武バスウエスト、国際興業バス
国分寺市ぶんバス - 京王バス中央・府中営業所
江東区しおかぜ - 都営バス深川営業所
新潟市南区区バス - 新潟交通観光バス潟東営業所
日野・レインボーHR
朝霞市内循環バス（レインボーHR 7m車） - 国際興業バス・東武バスウエスト・西武バス
伊予鉄バス（レインボーHR 10.5m車）
三菱ふそう・エアロミディMJ
世田谷区コミュニティバス南北路線（ノンステップ） - 小田急バス狛江営業所
リビングデザインセンターOZONEシャトルバス（ワンステップ） - 京王バス東・永福町営業所
三菱ふそう・エアロミディME
調布市ミニバス - 小田急バス狛江営業所
東大和市ちょこバス - 西武バス小平営業所
取手市コミュニティバス - 関東鉄道守谷営業所・大利根交通自動車
町田市まちっこ - 神奈川中央交通町田営業所
町田市かわせみ号 - 神奈川中央交通東・大和営業所
町田市玉川学園コミュニティバス - 小田急バス町田営業所
世田谷区喜多見・宇奈根地区コミュニティバス - 東急バス瀬田営業所

水素自動車

東京都市大学（日野・リエッセ）- 日野自動車との共同開発。日本初の公道走行可能な水素バス。
東京都市大学（日野・デュトロハイブリッド）- 日野自動車との共同開発。水素ハイブリッドトラック。
山梨交通（日野・リエッセ）- 日本初の水素バス路線運行。

ハイブリッドバス

丸の内シャトル・メトロリンク日本橋 - 日の丸自動車興業
加越能バス（日野・ポンチョ）

電気バス

早稲田大学本庄キャンパス（日野・ポンチョ）
七戸町電気シャトルバス（日野・リエッセ）- 十和田観光電鉄
サントリー（日野・メルファ）
長野市ぐるりん号（日野・ポンチョ）- アルピコ交通（川中島バス）
岩手県北自動車（日野・レインボーHR）
港区ちぃばす（日野・ポンチョ） - フジエクスプレス
ポケモン電気バス（いすゞ・エルガ） - 三重交通
関電トンネル電気バス（日野・ブルーリボン） - 関西電力

参考文献

『バスラマ・インターナショナル No.77』「特集：小型CNGバスの新しい動き　CNGバス改造メーカーを訪ねて フラットフィールド／株式会社協同」ぽると出版、2003年4月25日、ISBN 4-89980-077-0
『バスラマ・インターナショナル No.142』「特集：電気バス2014　メーカーに聞く 日野自動車／フラットフィールド／東京アールアンドデー」ぽると出版、2014年2月25日、ISBN 978-4-89980-142-9
ケーススタディ 電気バスを軸に次の展開を見据える フラットフィールド 日経ESG経営フォーラム、日経BP、2020年4月13日、2020年8月26日閲覧。

外部リンク

株式会社フラットフィールド
水素自動車エンジン開発の道を拓く 古浜庄一 - 日本自動車殿堂
東京都市大学　水素燃料エンジンバスの開発に成功【2009年4月3日発表】 - 五島育英会 公式YouTubeチャンネル
東京都市大学　水素ハイブリッドトラックの開発に成功！【2010年11月】 - 五島育英会 公式YouTubeチャンネル

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