オーストリアの作曲家イグナーツ・ヤーコプ・ホルツバウアーは、マンハイム楽派の中心人物の一人として活躍しました。その音楽は、ドイツの美術・文芸運動であるシュトゥルム・ウント・ドラングとも共鳴する情熱的な表現を特徴とし、多岐にわたる作品を残しました。特にオペラはモーツァルトも称賛するなど、当時の音楽界に大きな影響を与えています。
アントン・シュターミッツは18世紀に活躍したチェコ系ドイツ人の作曲家・ヴァイオリニスト。マンハイムで音楽の基礎を築き、パリへと活動拠点を移した。ヴェルサイユ宮殿でフランス王室演奏家を務め、多岐にわたる作品を残したが、晩年の消息は途絶えている。
ドイツのヴァイオリニスト、作曲家（1785-1842）。設立間もないプラハ音楽院のヴァイオリン教授として多くの弟子を育て、プラハ・ヴァイオリン楽派の礎を築いた。著名なヴァイオリニストに学び、演奏家・教育者としてプラハの音楽水準向上に大きく貢献した。
スイスのジュネーヴに位置する公的な音楽教育機関。1835年創立の長い歴史を持ち、一般向け教育に加え、2009年に独立した高等音楽院がプロフェッショナルな人材育成を担う。州の音楽学校協会の一員として、ジュネーヴの音楽文化振興に貢献している。
17世紀から18世紀にかけて発展したソナタの一種。舞曲主体の室内ソナタに対し、フーガや対位法を用いたより学術的な内容を持つ。名称に反し、教会以外でも演奏され、コレッリが確立した緩急緩急の楽章構成は後世の楽曲にも影響を与えた。
イタリア出身の著名な音楽学者、音楽評論家（1910-1998）。トマゾ・アルビノーニの体系的な作品目録編纂で評価される一方、《アルビノーニのアダージョ》の「編曲」者として広く名を知られたが、これは彼の創作と明らかになった。
英国の著名な音楽学者・作曲家、マイケル・トールボットは、17〜18世紀のイタリア・バロック音楽、特にヴィヴァルディ研究の第一人者として国際的に評価されている。リヴァプール大学名誉教授として後進の指導にもあたり、音楽学界に多大な貢献をした。
ジョヴァンニ・レグレンツィ（1626-1690）は、17世紀後半にイタリア・ヴェネツィアを中心に活躍したバロック音楽の巨匠。作曲家、オルガニストとして知られ、北イタリアの後期バロック様式の発展に極めて大きな影響を与えました。
17世紀後半から18世紀初頭にかけて、オランダ・アムステルダムで活躍したフランス生まれの出版業者。プロテスタント（ユグノー）としてフランスから亡命し、特に楽譜出版で成功。バロック期の著名作曲家の作品を数多く刊行し、ヨーロッパ有数の音楽出版社を築きました。
レモ・ジャゾット作曲ながら、長らくトマゾ・アルビノーニ作と誤認されてきたことで知られる「アダージョ ト短調」。哀愁に満ちた美しい旋律で、クラシック音楽入門、映像作品のBGM、そして葬儀など、幅広い場面で利用され親しまれている。その成立の背景や、サラエボでの感動的なエピソードも持つ、世界的に有名な楽曲である。
NHK-FMで1957年から放送されている日本国内唯一の現代音楽専門ラジオ番組。長年にわたり、著名な作曲家や音楽学者が解説を務め、日本の現代音楽界の動向や歴史を紹介。武満徹作曲賞の全作品放送など、貴重な情報発信源となっています。
オーボエ奏者および指揮者として国際的に活躍する古部賢一（1968年生）。大阪の銭湯に育ち、中学でオーボエに出会う。東京藝術大学在学中に新日本フィルハーモニー交響楽団の首席奏者となり、出光音楽賞を受賞。後進の指導や銭湯文化大使としても多岐にわたる活動を展開している。
フランス生まれのスロベニア系作曲家、即興演奏家、トロンボーン奏者。型破りな演奏技術と即興性を取り入れた実験音楽、社会的なメッセージを持つ作品で知られる。卓越したトロンボーン奏者としても国際的に活躍。
フランス南西部の海岸リゾート、ロワイヤン。歴史的な要衝として栄えるも、幾度かの破壊を乗り越え、戦後「都市計画の実験場」として近代建築の街として再建されました。現在は芸術と歴史の街として多くの観光客を惹きつけています。
ミュゼット（musette）は、フランスの音楽文化において多様な意味を持つ言葉です。17-18世紀に流行した宮廷バグパイプや、それを模した楽曲、民族楽器、アコーディオンの特殊な調律法、さらにはフランスのポピュラー音楽ジャンルまで、幅広い概念を指します。
フランス出身のオーボエ奏者マルセル・タビュトーは、主にアメリカで活動し、フィラデルフィア管弦楽団の首席奏者として活躍しました。カーティス音楽院で多くの後進を指導し、名教師としても知られます。特にオーボエのリード製作における「アメリカン・スタイル」を確立し、後世に多大な影響を与えました。その生涯と功績は、今なおオーボエ界で語り継がれています。
ドイツのオーボエ奏者、指揮者、教育者。ドイツ・バッハ・ゾリステンの中心としてバロック音楽普及に貢献。デトモルト音楽院教授として多数の日本人演奏家を育成し、日本楽壇とも深い繋がりを持った。
ペンシルベニア州ピッツバーグに本拠を置くアメリカ有数のオーケストラ、ピッツバーグ交響楽団。1895年の創立以来、幾多の困難を乗り越え、フリッツ・ライナーやウィリアム・スタインバーグといった名匠によって国際的な地位を築きました。その輝かしい歴史と現在の活動、そして本拠地ハインツ・ホールについて解説します。
ハンス・カメシュ（1901-1975）は、オーストリアの著名なオーボエ奏者。ウィーンに生まれ、ウィーン音楽院で研鑽を積んだ後、ウィーン国立歌劇場管弦楽団を経て、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で長年活躍。宮廷音楽家の称号を持つ。
アメリカ合衆国の著名なオーボエ奏者、教育者。フィラデルフィア管弦楽団の首席を長年務め、リヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲誕生の契機を作った人物としても知られる。カーティス音楽院の院長も務めた。
オーボエの標準的なキーシステム。19世紀にトリエベールが従来の欠点を改良し、パリ国立高等音楽・舞踊学校に認められたことが名の由来。正確な音程と容易な演奏を可能にした、現在世界中で広く使われている方式。
ドイツを代表するオーボエ奏者、アルブレヒト・マイヤーは、1992年よりベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務める。卓越した技術と豊かな表現力で国際的に活躍し、オーボエの魅力を世界に発信し続けている。
オルフェオ・バロック管弦楽団は、オーストリア・リンツを拠点とする古楽器オーケストラ。1996年設立、音楽監督ミヒ・ガイグ。バロックから初期ロマン派、無名曲まで幅広く扱い、CD・コンサートで活躍し欧州で注目される。
ロバート・D・レヴィンは、1947年生まれのアメリカ合衆国の著名な音楽家。ピアノ演奏、音楽学研究、作曲と多岐にわたり活動。特に、18世紀の未完楽譜の補筆や、歴史的奏法に基づく演奏、教育者としての貢献でも知られる。
「ルフラン」はフランス語由来の言葉で、音楽では楽曲中の繰り返し部分や、それを特徴とする楽曲形式（リフレイン形式）を指します。特定のアルバムやシングルのタイトルにも使われる、繰り返しや心に残る旋律を意味する言葉です。
モーツァルトが1778年に作曲した「フルートと管弦楽のためのアンダンテ ハ長調」Kv.315は、オランダの裕福な商人ド・ジャンのための楽曲群の一つ。フルート協奏曲第1番 Kv.313の代替楽章、または未完の第3協奏曲の楽章として書かれたと考えられています。素朴ながらも美しい旋律が魅力です。
18世紀イタリアの音楽家、ジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニは、ボローニャを中心に活躍した傑出した理論家、作曲家です。モーツァルトら多くの著名な音楽家に厳格対位法を指導し、その教育者としての功績は特に知られています。音楽史料の収集家としても名を残しました。
イタリア生まれの作曲家・ヴァイオリニスト、ジュゼッペ・カンビーニ（1746?頃-1825）。1773年パリに移り、多数の作品を発表して人気を博したが、晩年は不遇だった。多作家として知られ、特に室内楽曲が高い評価を受けている。
巨匠パブロ・カザルスが1957年、プエルトリコのサンファンに創設した国際的な音楽祭。カザルスの理念を受け継ぎ、世界的な演奏家が集まる。設立当初のエピソードや多様なプログラムも特徴。
オットー・ヤーン（1813-1869）は、ドイツの考古学者、文献学者、そして芸術・音楽に関する著作家です。各地の大学で教鞭を執り、特にモーツァルトの伝記は後世の研究に大きな影響を与えました。
アメリカ合衆国ニューヨーク市に拠点を置くセントルークス管弦楽団は、バロックから現代まで幅広いレパートリーを持つ名高い室内オーケストラです。柔軟な編成で演奏し、ニューヨークを代表する存在として世界的に知られています。
アメリカの作曲家、打楽器奏者、教育者（1924-2005）。吹奏楽や合唱の分野で独創的な作品を数多く発表し、国際的に高い評価を得た。教育者としても数多くの音楽家を育て、吹奏楽および打楽器芸術の発展に大きく貢献した。
ミシェル＝シャルル・ル・セーヌ（1683/84-1743）は、フランス・ユグノー出身で、オランダを拠点に活躍した書籍・楽譜出版業者。特にアントニオ・ヴィヴァルディの『四季』を含む楽譜の出版で知られ、当時の主要な音楽出版社の一つであったエティエンヌ・ロジェの事業を継承するなど、重要な役割を果たしました。
フレデリック・ショパン作曲の『序奏と華麗なるポロネーズ』作品3は、チェロとピアノのためのハ長調の室内楽曲。華やかな序奏と陽気で技術的に高度なポロネーズからなる。パトロンのために書かれ、1831年に出版。ヨーゼフ・メルクに献呈された約8分半の作品。
フレデリック・ショパンが1828年に作曲した、彼の数少ない室内楽曲の一つであり、唯一のピアノ三重奏曲。若きショパンの初期ロマン派的な重厚な書法が光る作品。チェロの名手のために書かれ献呈されたが、演奏機会は多くない。楽器間のバランスについての作曲家自身の言及も興味深い。
ショパン最晩年の傑作、ピアノソナタ第3番 ロ短調 作品58。古典的構成美と壮大な規模を誇り、父の死という悲劇を乗り越えて完成された。ショパンの3つのソナタで唯一、終結部が長調で締めくくられる。
フレデリック・ショパンが遺した唯一の歌曲集。1829年から1847年にかけて作曲された17曲を、親友フォンタナが没後に出版。個人的な動機で書かれ、素朴な魅力を持つ作品群。「願い」など多くの愛される旋律を含む。
ヴィオラ・ダモーレは、17世紀末から18世紀前半のバロック期に主に用いられた擦弦楽器。演奏弦に加え同数の共鳴弦を持ち、「愛のヴィオラ」の名の通り甘美で温かい独特の響きを生み出します。
ポール・バズレール（1886-1958）は、フランスのチェロ奏者、作曲家、そして高名な音楽教育者です。パリ音楽院で輝かしい成績を収めた後、国際的な演奏活動で活躍しました。同時に、母校の教授としてピエール・フルニエをはじめとする後進の育成に尽力し、フランスのチェロ界の発展に多大な貢献を残しました。
19世紀フランスの作曲家バンジャマン・ゴダール。多作ながらオペラ作曲家としての野心は報われず、多くが忘れられた。今日ではサロン小品によってわずかに記憶されている。パリ音楽院で学び、作曲コンクール優勝経験も持つ。
フランスの画家ジャン＝アンドレ・リクセン（1846-1925）は、歴史画から肖像画、公共施設の装飾まで幅広い分野で活躍しました。トゥールーズとパリで学び、ローマ賞での評価、パリ万博での金賞受賞を経て国際的な地位を確立。国民美術協会の設立メンバーとしても知られ、後年には印象派の影響を受けた作品も手掛けました。国家からレジオンドヌール勲章も授与されています。
ベルギーのヴァイオリニスト、教育者ギヨーム・レミー（1856-1923）。パリで研鑽、室内楽奏者として活躍。メサジェらとトリオを組み、作曲家らの初演に貢献。パリ音楽院で後進育成に尽力。
マルタン・ベルトー（1691-1771）は、フランスのチェロ奏者、音楽教師、作曲家。チェロ演奏におけるフランス楽派の基礎を築いた人物として知られ、多くの優れたチェリストを育て後世に影響を与えた。
モーツァルトが1789年、プロイセン国王への謁見を願う中で作曲したピアノ変奏曲。国王寵愛の音楽家デュポールのメヌエットを基に生まれました。生前は出版されず、現在は一部を除き演奏機会は少ない作品です。
19世紀フランスの建築家フェリックス・デュバン。エコール・デ・ボザールでネオ・グレコ世代を牽引し、ローマ賞を受賞。古典に加え、ブラマンテやボンベイ遺跡に学び、彩色豊かな建築を追求。サント・シャペル修復でも知られる。
日本の現代音楽作曲家・編曲家、鈴木行一（1954-2010）。東京藝術大学で学び、管弦楽や室内楽など多岐にわたる作品を発表。黛敏郎のアシスタントや「題名のない音楽会」での編曲、教育、指揮など、幅広い分野で活躍しました。
日本の会計学者、諸井勝之助。東京大学、青山学院大学で教鞭を執り名誉教授。会計学、特に経営財務分野の研究教育に尽力し、多くの著作・翻訳を世に送り出した。2000年、勲二等瑞宝章受章。
森垣桂一は日本の作曲家、指揮者。国内外の著名な音楽教育機関で学び、多くの著名な師に指導を受けた。主要な音楽コンクールでの受賞歴を持ち、現在は国立音楽大学などで後進の指導にあたっている。
日本の指揮者、堀俊輔（1950年生）。早稲田大学、東京芸術大学で学び、国内外のオーケストラで活躍。東京交響楽団副指揮者を経て、中部フィルハーモニー交響楽団正指揮者。教育活動や合唱指揮にも力を入れ、著書もある。
フランスの作曲家、音楽理論家マルセル・ビッチュ（1921-2011）。パリ国立高等音楽院でローマ大賞第一位を獲得。管楽器を中心に幅広いジャンルの楽曲を創作し、『調性和声概要』などの理論書も著すなど、教育分野にも貢献した。
スペイン黄金世紀演劇を代表する劇作家、ティルソ・デ・モリーナ（本名ガブリエル・テジェス、1579-1648）。メルセス修道会士でもあり、『セビーリャの色事師と石の招客』をはじめとする傑作を多く残し、スペイン文学に多大な貢献をした。
ヴァージル・フォックス（1912-1980）は、アメリカを代表するオルガニストです。若くして頭角を現し、欧米で研鑽を積みました。教育者、教会オルガニストとして活躍する一方、戦時中の慰問や革新的な演奏スタイルでオルガン音楽の普及に貢献しました。
20世紀アメリカ合唱界の巨匠、ロジェー・ワーグナー（1914-1992）。ロジェー・ワーグナー合唱団やロサンゼルス合唱団を設立・率い、アメリカ合唱芸術の発展に大きく貢献した指揮者。
フランスの作曲家、編曲家、オルガン奏者、そして教育者。パリ音楽院で名師に学び、パリのサントゥスタッシュ教会首席オルガニストを長年務め、後進の育成にも尽力し多大な影響を与えた音楽家。
20世紀フランスの作曲家・オルガニスト。ジャン・アラン（1911-1940）は、独創的な作風で知られ、とりわけオルガン作品が高く評価される。第二次世界大戦中に若くして戦死した。
フランスのオルガニスト、ピアニスト、作曲家、教師。マルセル・デュプレに師事し、驚異的な記憶力と卓越した演奏技術で国際的な名声を確立。パリの主要教会でオルガニストを務め、教育者としても貢献。短い生涯ながら、オルガン曲をはじめ多くの作品を遺した。
フランスの作曲家、オルガニスト、音楽教師。幼くして失明、パリ音楽院で学びマルセル・デュプレらに師事。盲者初のローマ賞受賞。聖フランソワ＝ザヴィエ教会オルガニスト、教育者としても活躍。多くのオルガン作品を残し、フランス教会音楽を広めた。
チェコ共和国の首都プラハに位置する、1945年に創立された国立の芸術大学。音楽、演劇、映像の三つの学部を擁し、それぞれの分野で高度な専門教育を提供しています。チェコの舞台芸術・映像芸術教育を牽引する中心的な存在です。
チェコの作曲家パヴェル・ボシュコヴェツ（1894-1972）はプラハ出身。プラハ音楽院で学び、後に同地で教鞭を執り、多くの音楽家を育てた。オペラ、協奏曲、室内楽など多岐にわたる作品を残し、チェコ音楽界に貢献した。
デンマークの首都コペンハーゲンに位置するDRコンサートホールは、公共放送局DRの本社複合施設「DRバイエン」内にある主要な文化施設です。著名な建築家ジャン・ヌーヴェルの設計により2009年に開館し、1800人の収容能力を誇ります。DR放送交響楽団の本拠地としても知られています。
ゲオルク・アントン・ベンダは、前古典派音楽の時代に活躍したチェコ系ドイツ人の作曲家（1722-1795年）。特に劇音楽の分野で功績を残し、革新的なメロドラマ作品は後のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトらにも影響を与えました。著名な音楽家一家に生まれ、ゴータの宮廷楽長を務めた人物です。
英国王室の音楽師範は、クラシック音楽の作曲家に授与される栄誉ある役職です。国王や女王の在位中に名を変え、王室の記念祭や儀式など、特別な行事のために音楽を作曲する役割を担います。その歴史は古く、桂冠詩人に相当するとされます。
イギリスの作曲家・オルガン奏者、モーリス・グリーン（1696-1755）。セント・ポール大聖堂での音楽教育を経て、同大聖堂オルガン奏者を務める。後に王室礼拝堂オルガン奏者、ケンブリッジ大学音楽教授、英国王室楽長を歴任し、当時のイギリス音楽界の中心的人物の一人となった。
18世紀イギリスの作曲家ウィリアム・ボイス（1711-1779）。ロンドンに生まれ、オルガン奏者として活躍。国王の音楽師範や王室礼拝堂オルガン奏長を歴任。難聴により演奏活動を断念するも、師の教会音楽編纂に尽力し、英国教会音楽に貢献。後に再評価された人物。
パリ7区に位置するサント・クロチルド聖堂は、1857年竣工のネオゴシック様式の教会。高い尖塔が特徴的なこの聖堂は、献堂後バシリカに昇格。壮麗な内部にはステンドグラスや彫刻が飾られ、カヴァイエ＝コル製のオルガンと歴代の著名なオルガニストでも知られる。周辺の庭園を見下ろす美しい建築。
フランスのオルガニスト・音楽教師、アンドレ・マルシャル（1894-1980）。生まれつき全盲ながらパリ音楽院で首席、サントゥスタシュ教会などで活躍。即興演奏の名手として知られ、多くの後進を育て現代フランスのオルガン復興に貢献した。
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが1740年にジョン・ミルトンの詩をもとに作曲した世俗的な声楽曲。快活、沈思、そして中庸という人間の心象を描いた全3部構成。しばしばオラトリオにも分類されるが、田園的頌歌とも称される。
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが1710年代に作曲し、1720年に刊行した8曲のハープシコード組曲集。海賊版に対抗して出版された正規版であり、ヘンデル初の著作権行使作品。多様な楽章構成を含む「8つの大組曲集」。
ヘンデル初の英語オラトリオ『エステル』（HWV 50）は、旧約聖書のエステル記に基づく劇的な作品です。1718年頃の仮面劇を元に1732年に改訂・初演され、ユダヤ人絶滅の危機を描く物語は大きな成功を収めました。
アントニオ・ヴィヴァルディが1711年に発表した最初期の協奏曲集、作品3『調和の霊感』。多様な編成と新旧様式の融合が見られるこの名曲集は、その後のバロック音楽、特にドイツの作曲家たちに大きな影響を与えました。
アントニオ・ヴィヴァルディの作品7にあたる「12の協奏曲」は1719-20年頃にアムステルダムで出版された重要な曲集。全12曲の約半数がヴィヴァルディ以外の作曲家によるものと近年特定されており、その真贋問題を巡る研究が注視されています。
ソビエト連邦時代に活躍したアルメニア系の作曲家、ミカエル・タリヴェルディエフ。特に数々の人気映画に提供した印象的な音楽で知られ、数多くの栄誉に輝きました。彼の遺志は現在も様々な形で受け継がれています。
フランスの作曲家、シャルル・トゥルヌミール（1870-1939）は、卓越したオルガン奏者、特に即興演奏の名手としても知られます。フランク、ダンディに師事し、聖サント・クロティルド教会のオルガニストを務めました。教会暦に基づくオルガン曲集「神秘のオルガン」は代表作。作風は初期の伝統から後期にはモダニズムへと変化しました。
オルガンと管弦楽のための交響曲は、パイプオルガンとオーケストラが共に演奏する交響曲形式の楽曲を指します。有名なサン＝サーンス「オルガン付き」をはじめ、ヴィドール、ギルマン、デュプレ、コープランドといった作曲家がこのジャンルに挑みました。オルガンの持つ荘厳で持続的な響きと、オーケストラの多様な音色や表現力が融合することで、独特の壮大な音楽世界が創り出されることが特徴です。オルガンが独奏楽器として活躍する場面もあれば、オーケストラの響きに厚みを加える役割を担うこともあります。
エルフリーダ・アンドレーは、スウェーデンの作曲家、オルガニスト、指揮者。スカンジナビア初の女性大聖堂オルガニストとして歴史に名を刻み、女性解放運動にも尽力。その音楽は多岐にわたり、特にオルガン交響曲は今も親しまれています。
常動曲（無窮動）は、常に一定の音符が続く急速な楽曲形式。ラテン語やイタリア語で「永久運動」を意味し、楽章の一部または独立した小品として存在。高度な演奏技巧を要求されることも多く、多くの作曲家がこの形式で作品を生み出した。
八音音階は、半音と全音を交互に配列した8つの音からなる特殊な音階です。全半音階やジャズにおけるディミニッシュ・スケールとも呼ばれ、オリヴィエ・メシアンが「移調の限られた旋法」の第2番として分類しました。多様な和音構成音を含み、特に19世紀後半から20世紀にかけて、リストやリムスキー＝コルサコフ、ストラヴィンスキー、メシアンなど多くの作曲家によって特徴的に用いられ、独特な響きを生み出しました。
19世紀ドイツの音楽史家、出版者。ヘンデル作品をはじめとする多数の楽譜校訂と出版を行い、音楽学の草分け的存在と見なされる。バッハ『ミサ曲 ロ短調』手稿譜の再発見者としても名高い。
ピーター・テイラー・フォーサイスは、イギリスの著名な牧師・神学者（1848-1921）。カール・バルト以前の「バルト」と称され、20世紀のキリスト教神学、特に新正統主義に深い影響を与えた人物。その思想は日本の神学界、とりわけ高倉徳太郎にも大きな示唆を与えた。
チャールズ・ケンジントン・サラマンは、19世紀から20世紀にかけて活躍したイングランドの作曲家・ピアニスト。ロンドン音楽協会を設立し、宗教音楽の分野で功績を残したほか、ユダヤ人に関する著書も発表した人物である。
19世紀後半のイングランドを代表する作曲家の一人。オペラ、歌曲、管弦楽曲など幅広い分野で活躍し、特にオペラ『エスメラルダ』や『ナデジダ』は高く評価された。フランスで研鑽を積み、優れた旋律と劇的な音楽で才能を示したが、41歳で短い生涯を閉じた。
オーストラリア、クイーンズランド州の州都ブリスベンで発行される日刊新聞『クーリア・メイル』。1933年に世界恐慌下の二紙合併により創刊され、歴史を持ちます。ニューズ・コーポレーション傘下で自由市場主義などの論調を掲載。2006年には国内第4位、ブリスベン唯一の日刊紙であり、タブロイド判へ移行しました。
シューベルト最晩年の傑作として知られる、ピアノソナタ第21番 変ロ長調 D 960について解説。作曲者にとって最後のピアノソナタであり、死の直前に完成された3部作の掉尾を飾る記念碑的作品です。その構成や各楽章の特徴、さらに日本人作曲家による編曲版についても詳述します。
NHK教育テレビで2005年から2006年にかけて放送されたクラシック音楽番組のシリーズ。国際的な名ピアニストを講師に迎え、国内外の若手ピアニストがプロを目指すための高度なレッスンを受ける様子を描く。演奏技術に加え、作品の深い理解や作曲者の意図を探求する過程を丁寧に紹介。古典派から近現代まで多様な楽曲を取り上げた番組。
ルーマニア出身のピアニスト、クララ・ハスキル（1895-1960）。モーツァルトをはじめ古典派・初期ロマン派の解釈で高く評価され、純粋な音色と卓越したフレージングで聴衆を魅了した。病や経済的困難に苦しみ清貧のうちに過ごしたが、晩年に正当な評価を得て伝説となった。
長野県佐久市にある公立高等学校、長野県野沢南高等学校についての解説。1911年創立の旧制女学校を前身とし、長きにわたり地域の教育を支えてきた。文化祭は校章に由来する「鈴蘭祭」として親しまれる。少子高齢化による県立高校再編計画により、2029年度に野沢北高等学校との再編統合が決定している。この歴史ある学舎の歩みと特色、そして将来像を記す。
リヒャルト・ワーグナーが若き日に作曲した2幕の喜劇オペラ『恋愛禁制』は、シェイクスピア作品を基に、シチリアの総督が発布した恋愛禁止令を巡る騒動を描きます。イタリアオペラの影響が見られる初期の重要な作品です。
ハンガリーの指揮者、ヤーノシュ・フェレンチク（1907-1984）。特にハンガリー国立交響楽団やブダペスト国立歌劇場の芸術水準向上に生涯を捧げ、国内音楽界の復興と発展に貢献した。
モーリス・ラヴェルの《シェヘラザード》は、1898年の演奏会用序曲と1904年の管弦楽伴奏歌曲集、それぞれ性格を異にする二つの作品が存在します。これらは『千一夜物語』に着想を得ていますが、序曲は初演で酷評され長く忘れられた一方、歌曲集はラヴェルを代表する声楽曲の一つとして高く評価されています。
ドイツ、バーデン＝ヴュルテンベルク州カールスルーエ市に位置する州立音楽大学。1812年に創設され、多彩な教育プログラムを提供。現代音楽やオペラ教育に特色を持ち、国際色豊かな環境で高度な専門教育を行っています。
20世紀後半を代表するドイツ－英国のソプラノ歌手、エリザベート・シュヴァルツコップ（1915-2006）。ドイツ・オーストリア歌曲、モーツァルトやR.シュトラウスのオペラでその精緻な歌唱により世界的な名声を確立し、マリア・カラスにも比肩される存在として音楽史に名を刻む。
ポール・デュカスが唯一手掛けた3幕構成のオペラ。メーテルリンクの戯曲を台本に、青ひげの城を舞台に繰り広げられる物語。その独創的な音楽と管弦楽法で、20世紀初頭のフランスオペラにおける重要な作品と位置づけられている。
アメリカ・ジョージア州アトランタを拠点とする主要オーケストラ。1945年創設以来、ウッドラフ・アーツ・センター内のアトランタ・シンフォニー・ホールを本拠地とし活動。特にロバート・ショウ時代の声楽曲における功績や、アトランタオリンピックでの演奏など、アメリカ南部を代表する楽団として重要な役割を果たしている。
ハンガリーの作曲家コダーイ・ゾルターンが生涯でただ一つ完成させた交響曲。78歳という高齢で着手され、その円熟した筆致は多くの評論家から晩年まで衰えぬ創造力の証と称賛されています。トスカニーニとの交友が作曲の契機となったこの作品は、長年の構想を経て1961年に結実しました。
リヒャルト・ワーグナーが妻コジマへ贈った、室内オーケストラのための温かく私的な器楽曲。息子ジークフリート誕生の感謝も込められ、非公開初演のサプライズから後に広く親しまれる名作となった。
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