ホメーロスの叙事詩『オデュッセイアー』に登場する、イタケー王妃ペーネロペーの求婚者。ドゥーリキオン出身で武勇に秀で、オデュッセウスによる求婚者粛清の際、抵抗を試みるも、女神アテーナーの妨害を受け、オデュッセウスの槍に斃れた人物。
古代ギリシア神話に登場する、パイアーケス人の盲目の楽人デーモドコス。ムーサイから歌の才能を授かり、ホメロスの『オデュッセイア』ではアルキノオス王の宮殿でオデュッセウスのためにトロイア戦争にまつわる叙事詩などを歌い、客人の深い感動と涙を引き出し、彼の正体を明かす重要な契機を作った。
テューローはギリシア神話におけるサルモーネウスの娘。海神ポセイドーンやクレーテウス、シーシュポスとの間に複数の子をもうけ、波乱に満ちた生涯を送った女性。特にポセイドーンとの子ペリアースとネーレウスは、後に彼女を救う重要な役割を果たします。
テオクリュメノスはギリシア神話に登場する同名の人物。特に、予言者メラムプースの子孫でオデュッセイアに登場する予言者と、エジプト王プローテウスの子でエウリーピデースのヘレネーに登場する暴虐な王が知られる。それぞれの物語における役割を紹介する。
ギリシア神話に登場する、ピュロスの賢王ネストールの子。ストラティコスとも呼ばれます。ホメーロスの叙事詩『オデュッセイアー』において、父を捜すテーレマコスがピュロスを訪れた際に面会した人物の一人。
ギリシャ神話のクリュトネーオスという名前の人物には、アルゴナウタイの一員として卓越した航海術を発揮したナウボロスの子と、パイアーケス人の王子として驚異的な俊足で知られるアルキノオスの子の二人がいる。
クティメネーは、イタケー島の王ラーエルテースとアンティクレイアの娘であり、有名な英雄オデュッセウスの妹にあたる女性です。幼少期は母と忠実な豚飼に育てられ、成人後にはサメー島へと嫁ぎました。彼女の夫が誰であったかについては、オデュッセウスの部下であったエウリュロコスとする説や、ドゥーリキオンの王ピューレウスとする説など、複数の伝承が存在します。
ギリシア神話に登場するオデュッセウスの部下エルペーノール。戦場での功績は語られないが、トロイア戦争を生き延びる。しかし、魔女キルケーの島で不慮の事故により命を落とし、冥府でオデュッセウスに埋葬を懇願する悲運の人物。
ギリシア神話において「エケプローン」（Ἐχέφρων）という名を持つ人物は複数確認されています。特に著名なのは、トロイア戦争時代のピュロス王ネストールの子、トロイア王プリアモスの子、そして大英雄ヘーラクレースの子の3名です。
古代ギリシア神話に登場する人物、エケネーオス（Ἐχένηος）。長音を省略してエケネオスとも表記される。スケリア島のパイアーケス人社会において、賢明な老臣として王アルキノオスに仕えた。特に、漂着したオデュッセウスへの適切な対応を王に進言したことで知られる、ホメロスの叙事詩における脇役の一人。
古代ギリシア神話に登場する人物。イタケー王オデュッセウスの忠実な部下でありながら、しばしば主と衝突した。姻戚関係も伝えられ、臆病な一面と悲劇的な最期がホメロス『オデュッセイアー』に描かれている。
エウリュクレイア（古希: Εὐρύκλεια）は、古代ギリシアの伝承に登場する女性。主にオデュッセウス王家の忠実な乳母として知られるほか、テーバイ王家の異説における王妃としても言及される。
エウリュアロス（Εὐρυάλος）は、ギリシア神話に登場する同名の人物複数名。特に有名なのはアルゴナウタイやエピゴノイに参加したメーキステウスの子で、トロイア戦争にも参戦しました。他にも、カリュドーンの王に対する陰謀に関わった者や、ペーネロペーの求婚者、アイネイアースの部下としてもその名が見られます。
ギリシア神話に登場する、ホメーロスの叙事詩『オデュッセイアー』の中心人物オデュッセウスに仕えた忠実な豚飼い。幼少期に故郷シュリエー島から連れ去られ、イタケー島の王家に売られた。オデュッセウス不在中も主への忠誠を守り、帰国した主人の正体を知る最初の人物の一人となり、王権回復のための戦いで重要な役割を果たした。
ギリシア神話に登場するトリオプスの娘。アローエウスとの間に巨人の息子アローアダイや娘パンクラティスをもうけたとされるが、特にアローアダイについては海神ポセイドーンの子とする説が有名。息子たちの破滅や、自身と娘の誘拐など、数奇な運命をたどった女性。
ギリシア神話に登場するクレーテー島の王。トロイア戦争ではアカイア軍の主要な指揮官として活躍し、戦後は故郷へ帰還するが、不運な出来事によって息子を犠牲にし、島を追われる悲劇的な運命をたどる。
ギリシア神話に登場するイオカステーは、テーバイ王ラーイオスの妃であり、悲劇の主人公オイディプースの母。後に運命に導かれ、息子と知らずに結婚し、ポリュネイケースら四子をもうけた悲劇の女性。ソポクレースの『オイディプス王』等に描かれ、その名は木星の衛星や小惑星にも冠されている。
ギリシア神話におけるアンティポスという名は、複数の異なる人物を指す。中でもトロイア戦争で活躍または犠牲となった者が著名であり、トロイア王プリアモスの子、タライメネースの子、テッサロスの子、イタケーのアイギュプティオスの子などが挙げられる。それぞれが独自の物語を持っている。
ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場する、オデュッセウスの妻ペーネロペーに求婚した男たちの中心的人物。イタケーのエウペイテースの子で、傲慢かつ乱暴な性格からペーネロペーにも恐れられた。乞食に変装したオデュッセウスを侮辱し、求婚者の中で最初に彼の報復の犠牲者となった。
アンティクロスは、古代ギリシア神話に登場する人物で、トロイア戦争に参加したギリシア軍の武将です。トロイア攻略の鍵となった木馬作戦の一員でしたが、木馬内で妻の声に動揺し、オデュッセウスによって口を塞がれ、そのまま命を落とした悲劇的な運命をたどりました。
ギリシア神話に複数存在する女性名。特に、盗みの名手アウトリュコスの娘で、オデュッセウスの母として知られる人物が著名。他にメッセーネー地方の王ディオクレースの娘などが同名で伝えられています。
ギリシア神話に複数登場する男性名。アレートス（古希: Ἄρητος）は、主にベブリュケス人の王アミュコスの臣下、トロイア王プリアモスの息子、そしてピュロス王ネストールの子として知られる。それぞれ異なる系譜と神話上の役割を持つ。
アルナイオス、通称イーロスは、ホメロス『オデュッセイア』に登場するイタケー島の乞食。変装したオデュッセウスと物乞いの縄張りを争い、求婚者たちの前で戦いを挑むが敗北し、惨めな結末を迎える。その名は使い走りから虹の女神イリスにちなむ。
ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場する伝説的な犬。20年にわたり主人の帰還を待ち続け、再会を果たした直後に息を引き取った忠犬として描かれます。文学における忠誠心と悲劇的な運命の象徴として、後世に大きな影響を与えています。
ギリシア神話に登場する伝説的なパイアーケス人の賢王。スケリア島またはケルキューラ島を統治し、王女ナウシカアーの父。漂着したオデュッセウスを歓待し、故郷への帰還を助けた人物として特に知られる。
アムピメドーンはギリシア神話におけるイタケーの有力者。メラネウスの子で、オデュッセウスの妻ペーネロペーへの求婚者の一人でした。トロイア戦争に先立ち、イタケーを訪れたアガメムノーンを手厚く歓待したとされます。オデュッセウス帰還後、求婚者誅殺の際に息子のテーレマコスに討たれ、死後冥府でアガメムノーンと再会したと語られています。
ギリシア神話に登場するペーネロペーの求婚者の一人。多くの求婚者の中でも際立って人柄が優れ、王妃ペーネロペーからも好意を寄せられていた人物。しかし、悲劇的な結末を迎えることとなる。
ギリシア神話において、アゲラーオス（Agelāos）は複数の人物に与えられた名前です。中でも、オムパレーとヘーラクレースの子、トロイア王プリアモスの召使、ペーネロペーの求婚者の一人、そしてヘーラクレイダイの一員として知られる人物たちが存在します。
ギリシア神話に登場する人物。神々の伝令使ヘルメースの子で、比類なき盗みの技と巧妙な偽誓の術に長けた名人として知られる。アルゴナウタイの一員でもあり、英雄オデュッセウスの外祖父にあたる。
エジプト初期王朝期に上下エジプトを統合し、統一国家の礎を築いたと伝わる伝説的なファラオ、メネス。歴史上の人物としての実在は議論の対象であり、現代のエジプト学では通常、第1王朝初代のファラオ・ナルメルと同一人物と見なされています。
古代エジプト第12王朝第5代ファラオ、センウセレト3世は、中王国時代の最盛期を築いた支配者。州侯の権力を抑え国内を安定させ、広範なヌビア遠征で領土を拡大。ダハシュールに大ピラミッドを建造するなど、多くの建築事業も行った。
アメンエムハト3世は古代エジプト第12王朝第6代ファラオ。父王の治世から続く中王国時代の最盛期を築き、ファイユームの干拓事業を完成させ農業と経済を飛躍的に発展させた。シナイ半島での鉱山開発にも注力し、その繁栄を示す巨大ピラミッドなどを建造。中王国時代の栄華を象徴する最後の王。
「横恋慕（よこれんぼ）」とは、既に特定の相手と恋愛関係や婚姻関係にある人に対して、別の第三者が恋愛感情を抱く状況を指します。既存の関係の「横」から割り込む感情であり、秘められることもあれば、関係を求めて行動に移されることもあります。これは三角関係や二股、浮気など複雑な人間関係を引き起こし、社会的な規範と個人の感情の間で葛藤を生じさせ、関係者の選択や関係の露見がその行方を大きく左右する、人間の愛情や関係性の複雑さを示す概念です。
ギリシア神話に登場する人物、ラピテース（ラピトス）。テッサリアーの河神ペーネイオスの娘スティルベーとアポローンの子とされる、ラピテース族の名祖が著名。ペーネイオス川流域を支配し、子孫は各地で活躍した。同名の人物が数名いる。
ギリシア神話のエーリス地方の英雄、モリオネまたはモリオニダイは、アクトールとポセイドーンの子とされるエウリュトスとクテアトスの二人組を指します。母の名にちなみ、双生児あるいは結合双生児とも伝えられる彼らは、優れた戦士としてヘーラクレースとも戦い、その強さから諺にもなりました。
ギリシア神話に登場する「ポルバース」という名前は、複数の同名人物を指します。ラピテース族の英雄、アルゴスの王、太陽神の子、テーバイの羊飼いなど、様々な系譜や役割を持つ人物が知られています。
古代ギリシャ神話に登場する英雄。ラピテース族の王ペイリトオスとヒッポダメイアの子として生まれ、トロイア戦争では40隻の船団を率いた将の一人。戦後はコロポーンへ移住したとされる人物。
ギリシャ神話に登場する女性「ペリメーレー」について解説します。主に3人の同名人物が存在し、それぞれ異なる系譜と逸話を持ちます。アミュターオーンの娘、アドメートスの娘、そしてヒッポダマースの娘として語られる彼女たちの物語を紹介します。
ギリシャ神話に登場する人物ヒュプセウス。名前は「天の王」を意味するとされ、テッサリアーの河神ペーネイオスとニュンペーのクレウーサの子。ラピテース族の王として知られ、娘たちの系譜を通じて神や英雄との繋がりを持つ。
ギリシア神話に登場する女性名で、「馬を飼いならす者」を意味します。この名前を持つ女性は複数知られており、特にペロプスの妻、ラピテース族王ペイリトオスの妻、トロイア王族アンキーセースの娘などが有名です。それぞれの生涯は波乱に富んでいます。
小惑星帯に位置する天体、「ネフェレ（431 Nephele）」に関する解説。1897年にフランスのニースでオーギュスト・シャルロワが発見し、ギリシア神話の人物にちなんで名付けられたこの小惑星の基本的な情報と背景について詳述します。
ギリシア神話に登場するテミストーは、ラピテース族の王ヒュプセウスの娘であり、オルコメノスの王アタマースの第三の妻として知られる女性です。アタマースとの間に子をもうけましたが、自らの子供を殺害するという凄惨な悲劇の主人公として語られます。また、複数の同名人物も存在します。
ギリシャ神話に登場する女性、スティルベーは、テッサリアー地方の河神ペーネイオスと水のニュンペー、クレウーサの娘。太陽神アポローンとの間にラピテース、ケンタウロスらを生み、ラピテース族の始祖に関わる重要な存在とされる。
ギリシア神話に登場する、力強い狩人の女性あるいは女神。河神の娘として生まれ、獰猛なライオンを退治したことから光の神アポローンに見初められ、その伴侶となった。彼との間に養蜂術の英雄アリスタイオスなどをもうけたとされる。北アフリカの都市キュレネ（キューレーネー）の名の由来とも関連づけられる。
テーバイ王オイディプースの息子で、兄ポリュネイケースとの王位継承争いに敗れずに彼を追放した人物。故郷を取り戻しに来た兄との激しい戦いの末、互いに傷つけ合い命を落とすという、オイディプース家の悲劇を象徴する最期を迎えた。
ギリシア神話における「アンドレウス」（古希: Ἀνδρεύς）という名前を持つ人物は、主に二つの伝承に現れます。ボイオーティア地方の都市オルコメノスの創始者とされる王と、アイガイア海のアンドロス島に都市を創建した王、それぞれの物語を紹介します。
ギリシア神話に登場する女性、アステュアギュイア。テッサリアー地方を拠点とするラピテース族の王ヒュプセウスの娘であり、同族の王ペリパースの妃。長男アンティオーンをはじめとする8人の子供たちの母であり、有名なイクシーオーンの祖母にあたります。
ギリシア神話に登場する男性名「アクトール」（Aktōr）。同名の人物が多数存在し、それぞれの系譜や神話での役割は多岐にわたる。主要な人物には、ミュルミドーンの子やポルバースの子などが知られ、多くの英雄や神々の系譜に関係している。
ギリシア神話の人物アクタイオーンは、アリスタイオスとアウトノエーの子。狩猟中に誤って女神アルテミスの裸体を見てしまい、その怒りに触れる。鹿に変えられ、自らの猟犬に追われ食い殺されるという悲劇的な最期を遂げた。この物語は特にオウィディウスの『変身物語』で有名である。
ギリシア神話におけるエーリス地方の王。ヘーラクレースの十二の功業、特に汚れた家畜小屋の掃除で知られ、イアーソーン率いるアルゴナウタイの一員にも数えられる人物。「輝ける男」を意味するとも伝わる。
古代ギリシャを構成する主要集団の一つ、アイオリス人に関する解説。紀元前2000年頃にギリシャ本土からエーゲ海を経て小アジアへ移住し、独自のポリスや文化を築いた彼らの歴史的足跡を追います。
古代エジプトにおいて、鎌首をもたげたコブラを様式化した蛇形記章（ウラエウス）は、王権や主権、神性の強力な象徴とされました。特にファラオの冠に欠かせない装飾として、下エジプトの守護女神ウアジェトの庇護と支配の正当性を示し、その歴史と信仰に深く根差しています。
ナイル川が地中海に注ぎ込む広大なデルタ地帯に位置するエジプトの北部地域。古くから上エジプトと並び称される二大地域として、時には分立して覇を競い、時には統一王朝の中心地となった。古代エジプトの歴史、文化、象徴において独自の役割を果たした地。
エジプト神話に登場する、人間の赤子や死者を養育する乳母としての側面と、人々の運命、特に幸運や富を司る側面を持つ多面的な女神。コブラの姿で表されることもあり、死後の審判にも関わります。
古代エジプトの神、モンチュ（メンチュとも）に関する記事。隼の頭に太陽円盤を持つ姿で描かれ、戦いの神として信仰された。テーベを中心に、特に第11王朝時代に重要な存在と見なされた神について解説します。
古代エジプトの信仰において、メンヒトは獰猛なライオンの姿をとる戦争の女神として崇められました。主に下エジプト地方で信仰され、狩猟神オヌリスの配偶神とされます。同じくライオンの女神であるテフヌトやセクメトとしばしば同一視されました。
「静寂を愛する女性」を意味する名を持つ、下エジプトの女神。主に死者の守護者や王墓の守り手として信仰され、コブラや蛇の姿で描かれる。中王国時代から存在し、新王国時代に特に崇敬された。
古代エジプト神話の出産の女神メスケネトは、妊婦や幼児の守護者であり、生まれてくる者に魂を吹き込み運命を定めると信じられた神。誕生レンガの神格化ともされ、人の一生に関わる重要な存在です。
古代エジプト神話に登場する、真理、法、正義を司る重要な女神マアト。頭部の羽根は真実の象徴であり、死後の世界で行われる「心臓の計量」において、死者の魂の善悪を測る基準として不可欠な役割を果たしました。宇宙の秩序そのものを体現する存在として崇拝されました。
古代エジプト神話において、ミイラ化された遺体の内臓を収めるカノプス壺と、そこに納められた臓器を守護する四柱の神々。それぞれが特定の臓器、方角、守護女神と結びつき、死者の復活や天への旅立ちを助ける役割も担った存在。
古代エジプトでセベク神の神聖なワニを指す言葉、ペトスコス。「セベクに仕える者」を意味し、神の使いや化身と見なされた。クロコディポリスなどで手厚く飼育され、装飾やミイラ化の対象となり、ナイルの氾濫との関連から豊穣の象徴としても崇拝された。
古代エジプト、ヘリオポリスで崇拝された女神ネベトヘテペト。「捧げもの」「満足できる女性」を意味する名は、アトゥムの女性的な片割れとしての性質を示す。アトゥムの手の擬人化として女性の創造原理を象徴したが、他の明確な役割は限定的だった。
エジプト神話のヘリオポリス九柱神の一柱、葬祭を司る女神ネフティス。大地神ゲブと天空神ヌトの子で、オシリス、イシス、セトの末妹。夫セトだが、長兄オシリスとの間にアヌビスをもうける。オシリスの悲劇においてイシスと協力し、死者の守護神となる。
エジプト神話の神ネフェルトゥムは、睡蓮を名に持つ創世に関わる存在。メンフィスの三神として主神プタハとセクメトの子とされ、太陽神ラーの鼻孔を守護する役割を担いました。また、病を鎮め、冥界で罪人を裁く力も持ち、獅子の頭に睡蓮などの飾りを付けた姿で表されます。
エジプト神話における上エジプトの守護女神ネクベトは、ファラオや王権の象徴として重要視されました。白い王冠を被ったハゲワシの姿で表されることが多く、下エジプトのウアジェトと対をなす存在です。
エジプト神話における天空の女神ヌトは、ヘリオポリス九柱神の一柱。大気の神シューと湿気の神テフヌトを親に持ち、大地の神ゲブを配偶者とする。オシリスら五柱の親であり、死と再生を司る重要な存在。
エジプト神話において湿気を司る女神テフヌト。ヘリオポリス九柱神の一柱で、創造神アトゥムの子。大気の神シューを夫に持ち、大地の神ゲブと天空の女神ヌトの母。ライオンの姿で表され、夫と共に世界の安定を支える重要な存在です。
古代カルタゴを中心に崇拝されたフェニキアの女神タニトは、豊穣や出産、成長を司る重要な存在でした。バアル・ハモン神の配偶者とされ、西地中海世界に広く信仰が及び、様々な文化や他の神々と同一視されました。
エジプトのアレクサンドリア近郊に位置する、プトレマイオス朝時代の重要な神殿複合体。オシリス神の聖地とされ、古代の祭儀や貿易の中心地でもあった。近年、クレオパトラやアントニウスの墓発見の可能性で注目されている。
古代エジプトで家庭と出産を守護した女神タウエレト。恐れられたカバの姿で表されながらも、出産の困難から人々を救う存在として慕われた。王宮での重要性は低かったが、市井では広く信仰を集めた。
ソプデトは古代エジプトで崇められた豊穣とシリウス星の女神。星の神サフを夫に持ち、戦いの神ソペドの母とされる。豊穣の女神イシスと関係深く、ナイルの洪水の時期を告げる星として農耕に不可欠な存在とされた。聖獣は雌犬で、名は「尖ったもの」に由来。
エジプト神話に登場する、ライオンの頭を持つ強力な女神セクメトについての解説。ラーの片目から生まれ、破壊、復讐、戦いを司る一方で、伝染病をもたらし、また鎮める力も持つ多面的な存在です。
エジプト神話に登場する大気の神。ヘリオポリス九柱神の一柱として創造神アトゥムから生まれ、妹テフヌトとの間に天と地の神をもうけた。天と地を引き離した神話で知られる。
エジプト神話におけるサテトは、ナイル川の洪水を神格化した女神。古代エジプト南端の要衝エレファンティネを起源とし、豊穣と国土防衛を司る存在と見なされました。エレファンティネの神格アンケトと関連が深いとされています。
エジプト神話における月の神、コンス。テーベではアメンとムトの息子としてテーベ三柱神の一柱をなし、「横切る者」を意味する。新生児を守る一方、罪人には制裁を下す多面的な神で、子供のミイラや隼頭で表現される。
エジプトのコム・オンボに位置する、プトレマイオス朝時代に築かれた稀有な二重神殿。ワニの神セベクと隼の神ハロエリスという異なる二柱の神に捧げられ、建築全体が完全な左右対称構造を持つ。古代エジプト後期の信仰と建築技術の精緻さを示す重要な史跡。
エジプト神話における太陽神ラーが日の出の際に現れる形態を司る神。人間とタマオシコガネを組み合わせた姿、あるいはタマオシコガネそのものとして描かれ、スカラベの生態が太陽の運行や自己創造、そして再生の神秘と結びつけられ、畏敬の念を集めました。
カルナック神殿は、エジプトの古代都市テーベ（現ルクソール）に広がる巨大な神殿複合体。新王国時代を中心に歴代ファラオが増改築を重ねた、アメン神崇拝の中心地。ナイル川東岸に位置し、古代エジプトの歴史と信仰を伝える貴重な遺跡として、ユネスコ世界遺産に登録されています。
エジプト、ナイル川西岸に位置するエドフ神殿は、ハヤブサ神ホルスに捧げられたプトレマイオス朝時代の壮大な建造物です。国内で最も保存状態が良く、古代エジプトの歴史、宗教、建築を知る上で極めて重要な遺跡として知られています。
エジプトのルクソールから南へ約55キロ、ナイル川西岸に位置するエスナは、古代にはラトポリスと呼ばれ、ナイルパーチやクヌム神信仰の中心地でした。プトレマイオス朝からローマ時代にかけて再建された壮麗な神殿が残るこの町は、現在もナイル川観光の中継点として知られています。
エジプト神話の中心的な神々の一群である「エジプト九柱の神々」、通称「エニアド」について解説します。ヘリオポリスの創世神話における彼らの系譜、役割、そして他の神々との関連性を通じて、古代エジプトの宇宙観と信仰の基盤を探ります。
イギリスの著名な考古学者・エジプト学者ウォーリス・バッジ。大英博物館で長年要職を務め、古代エジプト・アッシリア研究の発展と、膨大なコレクション収集に尽力しました。その遺物収集における手法は、現代でも議論の対象となっています。
エジプト神話の女神ウアジェト。コブラの姿や頭にコブラをつけた女性として描かれ、湿地帯に多く生息するコブラに由来して下エジプトの守護を司る。上エジプトのネクベトと共にファラオを守護する存在。有名な「ウアジェトの目」はホルス神の失われた左目を表す。
エジプト神話におけるウァジ・ウェルは、「偉大なる緑」と称される豊饒の神です。地中海やナイル川デルタの化身とされ、雌雄同体や妊婦の姿で描かれます。生命の象徴であるアンクや食料であるパンを運び、肥沃な水資源がもたらす恵みを象徴しています。
古代エジプトの原初の女神イウサアセト（イウサアース、サオシスとも）。創造神アトゥムの配偶神とされ、スカラベの頭を持つ姿で描かれる。ヘリオポリスで崇拝され、アトゥムが世界を創造した際に用いた手が女神として擬人化された存在とされる。アカシアの木との関連も深い。
古代エジプトの信仰における女神、アンプト（Anput）。死者と冥界を司る神アヌビスの配偶者であり、その女性形とされる存在です。特定の地域（上エジプト第17ノモス）の守護神としても崇められました。冥界の王オシリスの身体を守る役割も担ったと伝えられています。
エジプト神話における原始の女神。ヘルモポリスの創世神話で八柱神オグドアドの一柱とされ、夫アメンと共に創造を担った。「隠された者」を意味し、姿が見えない最古の神々とされたが、後にムトと同一視される。
古代ヌビア、特にクシュ王国の信仰において重要な位置を占めた神、アペデマク。雄ライオンの顔に三つの頭と四本の腕を持つ異形な姿は、エジプトやインドとの文化的交流の影響を示唆します。新しい神として、他の神との間で至高神の座を争った歴史や、象との関連も語り継がれています。
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